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  作者: 鵜狩三善


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見返り美人

 学校から帰る途中、近所の野良猫がフシャーッてしてるのを見た。

 何を威嚇してるのだろうと目線を追うと、背を貼りつける格好でブロック塀に追い詰められた小さいおっさんがいた。

 おっさんは、なんていうか、もう比喩抜きでちっさいかった。ぶっちゃけ人間の背丈じゃない。

 だからと言って、「手のひらサイズの妖精さん」ってわけでもないのだ。おっさんの頭の位置は、大体私の膝くらい。絶妙に可愛いではなくキモい寄りのサイズで、全体的にがっかり感が漂っている。しかもなんか全裸だし。

 だから、慌てて駆けつけて猫を追い払った。あんなのを噛んだりしたら、病気になるかもしれないし。

 それからちらりと振り返ると、おっさんの姿は消え失せていた。恩に着ろとは言わないけれど、ちょっと味気ない世の中だなと思った。


 ……思っていたら、その夜、おっさんは律儀にも部屋に来た。

 枕元に現れて、助けてくれたお礼に願いを叶えてくれると言う。

 寝ぼけていた私はてっきり夢だと思い込み、「じゃあ美人になりたい」と適当を返した。するとおっさんは心得た風情で親指を立て、どこへともなくどろんと消えた。



 翌日から早速、「あれ、イメチェンした?」とか、「雰囲気変わったね」とか友達に言われるようになった。

 どこがどうとは指摘できないのだけれども、「なんか全体的に美人っぽくなった」とのことである。どうやらおっさん、ちゃんと恩返ししてくれたらしい。

 絶世の美女じゃなくて雰囲気美人ってのがどうも悔しいところだけれど、ま、私のしたことの程度の見返りだ。これでも十分過ぎるくらいだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] リア充にしてくれ、と頼んだらキョロ充にされたような話なのに主人公の女の子がいい子すぎて泣けた。
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