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伸びきる
縊死しているのが見つかったのは、女子供ばかり続けて6人を殺めた男だった。手配を受け、逃げ切れないと感じて身を処したのだろう。
被害者は不憫であるが、よくあると言えばよくある話だ。
しかし検死に運ばれてきたその男の体は、到底よくあるで済ませるものではなかった。
首が、首だけが異常に長くなっている。
皮どころか筋繊維も神経も、きっと内側ででろんと伸びきっている。おそらく頚骨もバラバラに外れているに違いない。
ストレッチャーにも上手く収まらなかったのだろう。その異形の首は肩の上に折り畳んで載せられていた。
死体を見慣れた自分も、思わず息を呑む奇怪さだった。
どんな力が、どんなふうに加えられればこんな有様になるのだろうか。
「ああ、こりゃ仕方ない」
慄然としたところに呟きが聞こえた。
声の主はこの事件の担当刑事だった。老齢にさしかかる彼の目は、けれど眼光の鋭さを少しも損なってはいない。ベテランという言葉がよく似合う男だった。
物問いたげなこちらの様子に気づいたのか、彼は死体のふくらはぎの辺りに視線を投げる。そして言った。
「6人もぶら下がってるんだ。伸びきったって仕方がないさ」




