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予言
バイトを終えて気が付くと、携帯電話に着信があった。
知らない番号だったが、メッセージが吹き込まれている。余程の大事か緊急の用件なのだろう。そう思って再生をした。
それは雑音混じりのひどいものだった。
電波状態が悪かったらしく、男とも女とも知れないぼそぼそとした声が、聞き取れそうで聞こえない音量で、何かを喋り続けている。
気になって耳を澄ますうちに録音時間が過ぎて、ブツリと切れた。
もう一度頭から再生し直すと、ようやくそれが朗読だと知れた。俺へ語りかけているのではなく、何かの本を読み上げているのだ。
多少気味悪くも思ったが、だからなんだと言うほどの事もない。新手の悪戯だろうと決め込んで消去した。
再生を聞きながらで歩くうちに、最寄駅はもう見えてきていた。改札を抜けて、電車待ちの間にと読みかけだった文庫を取り出す。
読み始めて、眉を寄せた。
初めて読むはずの小説だというのに、どうしてか既読の感がある。不思議に首を捻り、そして不意にその感覚の正体が知った。
一字一句を覚えているわけではないから、完全に、とは言い切れない。
だが今読んでいる文章と先の留守電の朗読は、大凡が一致していた。




