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  作者: 鵜狩三善


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過去形

 私には幼馴染の友達がいました。

 彼女はちょっとした悪戯が大好きで、誰かを驚かせたり、勘違いさせたりするのにいつも知恵を巡らしていました。私もよく標的にされたものです。

 でもそれは人を傷つけたりするような悪意あるものではなくて、された方も軽く笑って済ませられるような、本当にちょっとした悪戯なのでした。

 その友達が、ある夜泣きながら家にやってきました。


「あたし、人を殺しちゃった」


 彼女は先ほど交差点で、いつもの悪戯を仕掛けたのだそうです。

 信号がまだ赤なのに、ちょっと歩き出す素振りをしてみせる。それだけの悪さです。

 青を待ちながら携帯を見ている人が多いので、数人が釣られて歩き出しかけて、それからはっと気がついてバツが悪そうにいずまいを正す。

 大人のそんな様が面白くて、それはここ最近の彼女のお気に入りの仕業でした。

 けれど今日は。


「男の人が、()ねられちゃった」


 彼女に騙された男性は、赤に気づくのが他の人よりも一瞬遅かったそうです。そこへ折悪しく、トラックが来ていました。

 その人は手足がひしゃげてひどい有様になって、もう一目で息がないと判ってしまって、それで彼女は私のところまで逃げてきたという話でした。


 それで納得がいきました。

 さっきから彼女の後ろに立って、憎憎しげにその背を睨む男の人がいるのです。この手足のひしゃげた人は何なのだろうと、私はずっと思っていたのでした。



 私には、幼馴染の友達がいました。

 ひしゃげた人の視線が自分に向くのが怖くて、私は彼女に何も言いませんでした。

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