悪魔的デートな話
時間はかかりましたが書けました。
学校への登校中、真に気になっていたことを聞いてみた。
「あ? 悪魔との関係だ?」
「うん、ゼミウルとは敵対してるけど他の悪魔とはどうなのかなって。 ゼミウルと戦ってる間に他の悪魔が来たりとかはないんでしょう?」
タキラと知り合ったわけだけど悪魔が思ってたのと違かったので天使側の意見も聞こうと思い至ったわけである。あ、タキラのことは話してない。心配とかかけたくないし。
「そうだな・・・天使全体として仲が良いわけじゃねえな。 だが昔のように顔合わせれば殺し合うことはねえ。 今はどっちかっつーと商売敵みてえな感じだな」
「昔が殺伐しすぎじゃない?」
「時代ってやつだろ。 まあ今じゃお互い気に食わないなりに細々とだが交流もやってるらしいが・・・」
「ふぅん」
「ま、きっかけすりゃありゃもうちっとマシになるんだろうが・・・そこに今回のこれだからな。 どうなるかはわかんねえよ」
ふむふむ、思っていたより良い答えだ。
「つまり真は悪魔に対してはケンカ売られない限りは?」
「ハッ、『平和を愛する天使』が積極的にケンカ売ってちゃお笑い草だぜ?」
「サイコパスは?」
「・・・あれは例外だと思え。 つーかいい加減そう呼ぶのやめてやれよ」
「いやです」
俺は殺されかけたのを忘れはしない。悪魔でさえ捕まえるって言ってたのにあの天使殺しにくるとか控えめに言ってバーサーカーだもの。永遠に根にもってやる。
聞き取り調査を終えて帰ろうとしたら真に呼び止められた。
「おい和樹。 なにしようとしてんのかは知らねえが無茶や危険なことはすんじゃねえぞ」
「・・・うん。 あたりまえでしょ? そんな力もないし」
うーむ、さすが幼なじみ。隠し事してるのはバレてるか。
しかし嘘は言ってない。だってするのデートですしぃ?
そんなこんなでデート当日。
待ち合わせの場所に向かう俺の心臓はドキドキしぱっなしである。なにせ人生初デートなのだ。
ちなみに待ち合わせの場所は昨日のタキラへの餌付け・・・いや、食料支援の際に一緒に確認したので間違うことはない。
さて、待ち合わせ場所に来たわけだがここは人が多い。主に男が多い。こういうの見ると世界がBLってるのを再認識してしまって心が荒む。生き辛い。それはともかくまずはタキラを見つけ・・・え?うわ、一目でわかってしまった。
なんということでしょう。彼女はよりにもよってゴスロリを着てきていたのです。この世界じゃゴスロリなんて希少種なのでめっちゃ注目されちゃってるじゃないか。
やたら露出してる仕事着ではないのは非常に高得点だけどもまさかゴスロリで来るとは思わなかった。あれ普段着なの?声かけるハードルが爆上がりなんですけども。
しかし放置はできないしせっかくのデートをおじゃんにしたくない・・・ええい、男は度胸!やったるよ!
「やー、タキラ。 待たせちゃったかな?」
「あ、カズ! ううん、朝・・・あ、ちがうちがう今来たところよ!」
「今朝って言った?」
「言ってないわ!」
タキラに朝から待ってた疑惑が浮上したものの何故かドヤ顔で否定したのでそういうことにしておこう。
さて、記念すべき初デート。何をするかというとずばり買い物である。
いやほら、デートしようとは言ったけどプランなんぞなにもなかったから・・・い、いきなり遊園地とか映画とかはハードルが高いんですよ!?
いきなりそんなはりきっても失敗するのが目に見えているから最初は気軽に買い物が良いのではと考えたのだ。
・・・まあ、あとはほら、タキラがゴスロリ着てきたから着替えてほしい・・・。
実際、タキラと並んで歩き始めてからというもの周りからの視線がすごい。みんなめっちゃこっち見てる。男からは珍しいものを見る目が、女からは好奇と嫉妬に染まった目が。こわい。
・・・まあこれはタキラの服よりも男と女が仲良く歩いてること自体が珍しいからだろうけども。道行く二人組はだいたい男×男だからね。
あ、こらそこ!写真撮るんじゃない訴えるよ!
「ねえこの服どうかしら!? 一回実家帰って引っ張り出してきたんだけど!」
「え、そこまで・・・? あ、似合ってるよ? 似合ってるけど・・・ちょっと浮いてるかなぁ?」
ほんとはちょっとどころではない。だいぶ浮いてるけど本当のことを言わないのも優しさであるのだ。
しかしそのゴスロリは悪魔のセンスなのだろうか?その場合、彼女の故郷では女性はみんなゴスロリということになる。とんでもねえ、なんのイベントだよ。
「えっ、でもママがこれ着てったらいちころだって・・・」
「タキラのお母さんそういう趣味なの? いや可愛いけれども」
「か、かわっ・・・ごほん、それもあるけどこういう服が人間界にもあるからって言ってたわ。 でもおかしいわね、それなのに浮いちゃうだなんて」
「そりゃありますけれども」
メジャーではないのよね、残念ながら。男はゴスロリ着ないからねえ。その辺変わってなくてよかった・・・本当によかった・・・!
そんなわけで服屋を訪れた店員さんの力を借りてゴスロリ服から童貞抹殺服に着替えてもらった。
ふう、店員さんが女の人で助かったぜ・・・デート中だって言ったら目を輝かせてコーディネートしてくれたし。
「可愛いねえ。 よく似合ってるよー」
「そ、そうかしら。 ふ、ふふ、私の悪魔的魅力にメロメロ? 」
残念だがそのコーディネートは清楚系である。
「せっかくだし今日はそれ着てデートしない? ここで着替えちゃってさ」
「で、でも私お金ないわよ? お給金もらってないし」
「世知辛い。 いーのいーの、こういうときは男が出すもんさ」
「そ、そこまで言うなら貢がれてあげるわ! ・・・ぷ、プレゼント・・・男の子からの、初めてのプレゼント・・・」
「それじゃあレジでお金払っちゃおうか。行こっ」
なんかぶつぶつ言い出してしまったタキラの手を引きレジに向かう。
ぐっ、ある程度覚悟していたとはいえ手痛い出費である。お財布がだいぶ軽くなってしまった。
だがゴスロリじゃなくなることを思えば・・・。嫌いではないけどゴスロリの横を歩くのは俺にはまだハードルが高いのだ。
そんなわけでタキラがゴスロリじゃなくなって多少視線の暴力がマシになったのでそのあとは思うがままに遊ぶことにした。
「もうちょっと・・・もうちょっと・・・あー! 今の完全にいけてたじゃないのよ! なんでそこで離すのよ!」
「最近のアームは根性がないねえ。 あっこら、揺すっちゃダメだよ?」
「悪魔だもの! 欲しいもののためには手段は選ばないわ!」
「待って、こんなところで悪魔らしさ発揮しないで。 そんなにガンガンしたら店員にバレ・・・てない? ま、まさか例の謎結界を活用して?」
「ふふ、どう!? これが極悪悪魔テクニックよ!」
「みみっちい」
「!?」
ゲーセンに行ったり。
「な、なにこれ・・・いつものご飯よりずっと美味しいじゃない!」
「いつもはコンビニだからねえ。 ま、ファミレスに外れはないよ、基本は。 何事にも例外はあるけども」
「でもこれって結構高いんじゃないの?」
「それなんだけど・・・実は普段食べてるコンビニご飯とトータルでは値段あんまり変わらない」
「!? ど、どういうこと? このお店は採算は取れているのかしら? それともコンビニが実はぼったくりなの? 悪魔なの?」
「コンビニはほら、手軽さと保存性優先だからねえ。 一個一個は安いけどいつも何個か買うわけだし。 コンビニは悪魔ではない」
「質のファミレス、数のコンビニってところかしらね」
「なにその力と技みたいな例え。いつか両方備えてるのがでるの? でもうん、まあそんな感じでいいんじゃないかなあ」
ファミレスでご飯を食べたりした。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていき夕方になっていた。
「あー、とっても楽しかったわ!」
「うん、俺もこんなに楽しかったのは久しぶりだったよ」
しばらくボッチだったから誰かと遊ぶのが楽しくてしかたがない。だからなのか俺は彼女が悪魔であることを忘れて
「ね、また遊ばない? めっちゃ楽しかったしもっといろいろ遊びに行きたいのだけれども」
「えっ・・・その、うれしいけど」
「だめ?」
「うっ・・・しょ、しょうがないわね、私はこれっきりにしようと思ってたけどそんなに言うんだったらまた遊んであげてもいいわ!」
「タキラ・・・」
なんで最後ちょっとツンデレだったの?
それからというものタキラとは何度か遊びに行ったりするようになった。我が世の春である。
だけど俺が人生をエンジョイしている間に桜井たちが大変なことになっていたのだがそれを俺が知るのはもう少し先のことになるのだった。
最後に向けて書きたかったものは書けたような気がするので次からラストスパートです。
はたして風呂敷を畳みきれるのか!その答えは誰も知りません。




