92. 超パワレベ
サキのレベルがリセットした? こんな事は初めてだ。
やはり勇者だから出来たのか? それとも、普通に出来ちゃうのか?
……これは後者だな。間違いなく。 ああ~、やられたな。健太郎の時で気付けよなー。
あ~、したり顔の女神さまが、雲の上でニヤニヤしてそう。
それはそれで可愛いかもだけどー。 ハァ~、まあ今は良い。
それよりも検証だ。 後はなんだ、魔法適性に ”闇” が増えている。
……闇か? 陰属性の魔法が使えちゃうのか? シャマクとかミーニャとか!
デカくて旨い、ハイウルフは居るが、「ウルガルム」はこの世界には居ないからな……。
後は、”承認” か。 これはたぶん、正式に勇者にしましたのでよろしく~。ってやつだろ。と、いう事はアースでも使えって事なんだろうな。
うん。 勇者が一人増えるのは、此方としても正直言って助かる。単独でも、支援でも両方行けるからな。
それに状態異常耐性。これが大きいのだ。少々怪しい場所でも、構わず突っ込んで行けるからな。
持って無い者だと、毒や睡眠、あと魅了や咆哮なども非常に危険なのだ。
それにだ。一応始めに10人と決めていたからな。既に向うには4人居るのだ。サキは ”カンバック組” で良いよな。日本人だし。
そうなると、あと5人という事か。 だいたいは決まってはいるが、時間も有るし あとでゆっくり考える事にしよう。
そう言えば、スパイダー系 アント系 ハニービーなど、毒を使ってくるモンスターも結構いるよな。「毒消し」を用意しとかなくては大変な事になるな。
散歩も終わり。朝食も済ました。 俺達はリビングに集まり、ダンジョンに入る前のミーティングを行っている。
サキやダリルバートの装備も必要だしな。
「サキ。得物は何が良い。盾や予備の武装は何か希望はあるか?」
「あっ。わたし持ってるよ。これ!」 と、マジックバッグより、ショートソードを出して来た。 ほう。オリハルコン・コーティングの剣か。なかなかだな。
身長からすると、剣ならショートソードが良いだろう。
「ダリルバートはどうする? 希望が有れば言ってくれ」
「それでは、遠慮なく。魔法の発動媒体にも使える、2m程の槍が欲しいです。あと、防具はツーハイム卿のような革鎧が用意出来るのであればお願いします」
「それでは、槍はこれを始め使って見てくれ。 防具はメタルアーマーでなくて良いのか?」
「はい! 指揮を取ったり、馬に乗るなら考えますが、私も冒険者を少しやってみたいのです」 ふうん。一応、その辺は考えているみたいだな。
防具は後日、制作するとして。 今日は家のローブとブーツ、PUグローブ(ポリウレタングローブ)を渡す事にした。
そして、冒険者ギルドで久実さんの登録を済ますと、俺達はそれぞれ別れて、攻略を開始した。
組分けは、俺 シロ サキが5階層より。 楓 ヤカン ダリルバートは7階層より。
慶子 久実さん キロは11階層からのスタートとした。 3日目からは鎧などの装備も充実させ、攻略を進めて行った。
そして、ギチギチハードな5日間のパワーレベリングを終了した。 たった5日間であったが、二人はよく頑張ってくれたと思う。
最後の日なんかは、慶子達の攻略階層である。17階層まで行って、一緒にやっていたのだから、そのハードさが分かってもらえるだろう。
そのお陰で、ダリルバートは Lv.10 に、サキは Lv.8 まで上げる事が出来たのだ。
しかしだ。サキは勇者なのである。 各パラメーターの補正がとんでもないのだ。
鑑定して、比べて見ると分かり安いだろう。鑑定結果はこちら、
ダリルバート・クルーガー Lv10
年齢 16
状態 通常
HP 46/46
MP 47/27+20
筋力 23
防御 17+5
魔防 24
敏捷 22
器用 18
知力 25
【スキル】 魔法適性(光・水・聖) 魔力操作(4) 剣術(1)
【魔法】 水魔法(3) 光魔法(1) 聖魔法(2)
身体強化(1)
【称号】
【加護】 ユカリーナ・サーメクス
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サキ・アマミヤ Lv8
年齢 13
状態 通常
HP 59/59
MP 60/40+20
筋力 40
防御 37
魔防 41
敏捷 39
器用 27
知力 39+5
【特殊スキル】 状態異常耐性 言語理解
【スキル】 魔法適性(聖・雷・闇) 鑑定(4)
魔力操作(4) 剣術 (1)
【魔法】 聖魔法(2) 雷魔法(3) 身体強化(1)
闇魔法(2)
【称号】 召喚・勇者、承認、
【加護】 ユカリーナ・サーメクス
元々のパラメーターが高い上に、レベルアップでの補正が凄まじい。
今の時点だが、すでにキロのステータスを上回っている。 あと、家で上に居る者といえば、俺を除くと メアリーとマリアベルのみである。
女神さまの加護を授かり、10年鍛えた者をあっさり追い越していく。
まさに、”チートofチート” なのである。 勇者をおいそれと、世に出せないのはこの辺の事情が有るのだろう。
勇者が ”闇落ち” した日には、目もあてられなくなるだろう。
さて、向うに渡る準備だな。
今回、アースに同行するメンバーだが、俺とシロ ヤカン メアリー マリアベル チャト タマ キロ。
それに、帰還組の 慶子 楓 久実さん サキ。そして、もう一人。 昨日からダダを捏ね続けている、ダリルバートに決定した。
本来は影の戦士でもと、思っていたのだが。 アースに渡れば、即、行動も有り得るだろう。教育を行っている暇が無いかもしれないのだ。
そんな中、
「ダリル君の面倒は うちが確り見るから、お願い一緒に連れて行って」 と、楓が言い出してしまった。 それを後押しするように、
「私もダリル兄のことは協力するわ。まかせて!」 と、マリアベルと久実さんも賛同している。
まあ、みんなが協力してくれるので有ればと、許可した次第だ。




