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84. お疲れ会

 つぎに転移(てんい)したのが、 「三十三間堂」 正式には 蓮華王院本堂れんげおういんほんどう


 蓮華王というのは ここの本尊(ほんぞん)である、千手観音(せんじゅかんのん)を指しているんだね。


 三十三間と言われる120mの本堂は壮観(そうかん)で、「通し矢(とおしや)」 でも有名だよね。でも、本来の通し矢は三十三間堂の軒下(のきした)で行われていたんだ。


 つまり、軒のはりに矢が当たらないように()るためには、かなりの強弓(つよゆみ)(のぞ)まないと射通すのは無理なんだ。


 弓の腕もさる事ながら、ひとつの力自慢(ちからじまん)でもあったんだね。


 烈○? いえ、知らない子ですね。艦攻(かんこう)は……、ではなく観光はここまで。 お山に戻って頑張りますかね。


 10階層のボスも佳奈子(かなこ)とヤカンがしっかり沈めた。


 ダンジョンから戻り。汗を流して時計を見れば夜の8時。 急ぎ支度(したく)をして京都駅に向かった。


 新幹線ホームでお見送りをして、京都駅を出て来た訳だが。……何で付いて来てんの? 学校は? 主婦業(しゅふぎょう)は? 


 そう、(かえで)久実(くみ)さんが付いて来ているのだ。


 まあ、ここでウダウダしてても仕方ないので、俺達は取りあえず二人を連れ 老松神社(おいまつじんじゃ)に帰ってきた。


 佳奈子は 明日からいろいろと動いて行く為。 上にあげる報告書を作るとかで、即座(そくざ)に引き上げていった。





 そして、居間(いま)(しげる)さんを(まじ)えて、ゆっくり話を聞く事にした。


 まず、楓の通っている学校だが。地震の影響(えいきょう)で 都内のほとんどの高校や大学は休校状態(きゅうこうじょうたい)にあるようだ。


 東京のJR他、各私鉄(してつ)混乱(こんらん)状態にあり、まともに動いてはいないようだし。 


 その影響で、主要(しゅよう)幹線道路(かんせんどうろ)慢性(まんせい)的な大渋滞(じゅうたい)。 歩いた方が全然早いというような有様(ありさま)だ。


 こうなると、各種緊急車両(きんきゅうしゃりょう)も現場に間に合わず、火災(かさい)などは悲惨(ひさん)状況(じょうきょう)(おちい)っているそうだ。


 もう、お手上げ状態の政府(せいふ)であるが。 現状(げんじょう)を少しずつでも緩和(かんわ)しようと住民へ呼びかけて。


 各方面への避難(ひなん)。及び、災害疎開(さいがいそかい)推奨(すいしょう)しているのだとか。 ……日本政府も疎開って、戦時中(せんじちゅう)か!


 まあ、非常事態宣言ひじょうじたいせんげんは出ているからな。なるほど、楓と久実さんはそんな感じなのか。





 そして、3日が過ぎ。 高校生組の中間テスト終了を受け。ささやかながら、お疲れ会を(もよお)す事とあいなった。


 多い方が盛り上がるだろうと、慶子(けいこ)と佳奈子にも声を掛けたら、すぐ()けつけてくれた。それから、この人もだ。


 非番(ひばん)なのに現場を離れられず、境内(けいだい)に顔を出した坂井(さかい)隊長も引っ張って来た。


 そうして、みんな集まれば。 やっぱ、これでしょ! と言う事で、くっつけたテーブルの上には、沢山(たくさん)のお寿司(すし)が、花が咲いたように並べられている。


 各自それぞれが座って行くなかで、真ん中に位置取(いちど)り。ホークを持って始まるのを今か今かと待っているタマが、なんとも可愛(かわい)い。


 そして、従魔(じゅうま)たちの尻尾(しっぽ)もいつもより()れていた。


 シロの前には、いつものバラ寿司の他、太巻き(ふとまき)が並び。 ヤカンの前にもバラ寿司といなり寿司が並んでいるのだ。


 もちろん、フウガと影達(かげたち)の事も忘れてはいない。しっかり同じ物を差し入れているので。 今頃、秘密基地(ひみつきち)で舌つづみ打っている事だろう。


 みんな此方(こちら)に来て、寿司の(うま)さに(おどろ)いていたからな~。

 




 食事も終わり。それぞれがお茶を飲みながら雑談(ざつだん)する中。(はし)の方に目をやる。


 追加で与えていた牛丼を食べている健太郎(けんたろう)と、それを微笑(ほほえ)ましそうに見ている坂井隊長の姿が映った。


 「坂井隊長! 目の前に居るのが勇者(ゆうしゃ)ですよ」 と、教えてやった。


 「えっ。勇者! この若者(わかもの)が?」


 「そうです。その ”大飯喰らい(おおめしぐらい)” です。仲良(なかよ)くしてやってください」


 健太郎はモゴモゴ言って何か抗議(こうぎ)しているようだが、意味不明(いみふめい)なので無視(むし)だ。


 「ええっ! 本当ですか。まだ、高校生ですよね」 と、(ちが)う所から声があがる。


 そう、佳奈子だ。 そう言えば、まだ紹介(しょうかい)もしていなかったよな。


 「そうだ。俺の弟子(でし)でもある。よろしく(たの)むぞ」


 「はい! 師匠(ししょう)


 「‼ えー。なんですかぁゲンさま。 師匠って~、やばタンなんだけどー」


 紗月(さつき)(かえで)(はさ)まれた位置に居る茉莉香(まりか)(うった)えてきた。


 「ああ。これはな、 ……と言うわけなんだよ」


 「でもでも。 師匠なんて、くそヤバくない」


 まだ、納得(なっとく)いってないようである。





 「あ、あの~。よろしければ、自分にもご指導(しどう)をお願いしたいのですが。 明日まで休みですし」 と、坂井隊長が頭を下げている。


 ……う~ん。どうしたものか?


 「良いんじゃないかな。秘密(ひみつ)は多いけど、()らす事はないでしょ」 と(しげる)さん。


 立ち上がって奥に入って行く。シロを見ると、しっかり目を見て(うなず)いている。


 ……そうか、大丈夫か。 すると、何も言って無いのだが紗月と慶子がテーブルの上を片付け、綺麗(きれい)()きあげている。


 そこに、セクシーな女神像(めがみぞう)の登場である。セクシーなんて死語(しご)もいいところだな。


 それはさて置き、正面には茂さんが座る。右手には(しゃく)もしっかりと握ぎられている。(だま)ってても、みんなが集まり正座(せいざ)していく。


 「さぁ、坂井さんもどうぞこちらへ」 と、茂さんに(うなが)され。 何事かと唖然(あぜん)としていた坂井さんも正座して姿勢を正す(しせいをただす)


 そうして、みんなで女神さまに祈りを(ささ)げたのであった。







10.21 水曜日 

10.26満月 .15日ダンジョン




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