表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺とシロ(second)  作者: マネキネコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/128

56. 立ち往生

 俺はひとり京阪本線(けいはんほんせん)伏見稲荷(ふしみいなり)駅を目指していた。


 時計を見れば午後の3時少しまえ。


 駅に向かう道に人の多いこと。修学旅行だろうか、制服を着た学生のグループや外人さんも多いな。


 シロは電車が嫌いだというので、


 「しばらくヤカンと遊んでおいで」


 そう言ってさっき放してあげた。今頃はお山でヤカンと合流していることだろう。


 あ、抹茶最中(まっちゃもなか)アイスを食べてない! (三徳亭(さんとくてい)


 ダンジョンを発見して、あのまま裏から伏見神寶神社ふしみかんだからじんじゃを通って帰ってきたからなぁ。


 御劔社(みつるぎしゃ)玉露(ぎょくろ)羊羹(ようかん)も食べたかったよな。


 まあ、次来たときの楽しみに取っておきますかね。


 駅に着くと、……フフフッ。たくさんの(きつね)さんが出迎(でむか)えてくれた。


 というのも、


 この伏見稲荷駅は千本鳥居(せんぼんとりい)をモチーフにして、数年前にリニューアルされているのだ。


 『この写真見せたらキロのやつ(くや)しがるだろうなぁ』


 なんてことを考えながら、駅のホームをスマホで撮影(さつえい)していく。


 時刻表を見上げると、お昼のこの時間帯なら10分間隔(かんかく)で電車があるみたいだ。


 降りる駅はと、……祇園四条駅(ぎおんしじょうえき)だね。


 ………………


 それから電車に揺られること10分、俺は祇園四条駅に着いた。


 さて、シロに念話(ねんわ)を送ってみますかね。


 『シロちゃんや、そっちはどんなかんじ?』


 『なになに、あのあと無事にヤカンと合流してお山を案内してもらってるのか。そうかそうか、それは良かったなぁ。帰ったら感覚共有(かんかくきょうゆう)で俺にも見せてくれよな。じゃあ晩ごはんときには呼ぶからもう少し遊んでてくれよな。……おう、またな』


 ヤカンと遊んでるなら、シロの召喚(しょうかん)はまた後からでいいな。


 さてと、


 みんなが来るまでにはもう少し時間が掛かりそうだし……。俺は何しようか?


 おおっ、饅頭屋(まんじゅうや)さんがあるな。


 買っていったらメアリーがきっと喜ぶな。


 豆大福でしょう、柏餅(かしわもち)でしょう、この『しんこ』ってなんだぁ? ういろうとは少し違うようだけど。じゃあ、その白と抹茶のヤツを3コずつね。


 いま買った豆大福 (こしあん) を口に入れながら、俺は祇園の町を巡っていく。






 四条通(しじょうどおり)から伸びるこちらの通りは花街(はなまち)になっていて、『お茶屋』さんが(のき)を連ねている。


 いわゆる、お座敷遊(ざしきあそ)びをするところだね。紹介のない一見(いちげん)さんはお断りされることもあると聞く。


 昼間あけてある店もあるので、お茶を一服(いっぷく)いただくこともできるようだ。(お高いですけど)


 しかしまぁ、この辺は情緒(じょうちょ)があっていいよねぇ。


 あれっ、舞妓(まいこ)さん?


 なにか立ち往生(たちおうじょう)しているけど、どうしたんだろう。


 ああ~、草履(ぞうり)鼻緒(はなお)が切れたのか。


 人はそれなりに歩いているけど、近寄らないで遠巻(とおま)きに見ているだけか。


 ……仕方がない。


 「大丈夫ですか? 鼻緒が切れたんですね。ちょっと失礼、足をこちらにどうぞ」


 折りたたんだままの手ぬぐいを路面にだし、その上に足を置いてもらう。


 そして(ひざ)を突き草履を手にすると、


 「ちょっと待ててね」


 もう一枚手ぬぐいをだし、(たて)()いてくるくるくると(ひも)を作ると、それでささっと応急処置(おうきゅうしょち)をしてあげた。


 「これで帰るまでは大丈夫だと思うけど、早めに修理へだしたほうがいいよ」


 そう言って立ち去ろうとしたのだが、


 ――ひしっ。


 舞妓さんが俺の(うで)に抱きついてきた。


 ええ――っ。ふつうの舞妓さんはこんなことは絶対しない。


 俺が戸惑(とまど)っていると、


 「私いま修学旅行で京都に来てて……、これ借り衣装(かりいしょう)なんです。何かみんなとはぐれちゃったみたいで、急いで探してたら草履まで(こわ)れてしまって……」


 「…………」


 「本当にありがとうございます。それと、そのう……、できたらお店まで送って頂けませんか? スマホも友達に預けたままで……」 


 はい――っ?


 仕方ないか、乗りかけた船だしな。


 それからはその子の朧気(おぼろげ)な記憶だけを(たよ)りに、なんとかかんとか『貸し着物屋』にたどり着きミッションコンプリート。


 そしてそのあとは……、勿論ガンダで逃げてきた。


 ――変なフラグは立てさせないぞ。






 するとスマホに(しげる)さんから連絡がはいった。


 今八坂神社(やさかじんじゃ)にて参拝(さんぱい)を済ませたということだ。


 こちらの位置をしらせると、このあとみんなで落ち合うことになった。


 俺はひとり石畳でできた花見小路通(はなみこうじどおり)を四条通に向かって歩いていく。


 この辺は料理屋も多いようだ。


 今日の夕飯は何にするかな~? 大飯ぐらいの健太郎がいるからな~。やはりここは食べ放題の店に行くべきだろうか。


 もしくは、先に特盛を食わせてから店に行くかだよな。


 そんなことを考えてる間に四条通へ出てきた。


 ここを右だよな。


 八坂神社からこちらに向かうということだから、そろそろ合流できるはずなんだが。


 ……おっ、居たな!


 茂さんを先頭に人を()けながらこちらに来ている。


 健太郎はキョロキョロし過ぎだ。すこしは落ち着けよな。


 「あっ、師匠(ししょう)! おぉ~~~い!」


 健太郎が手を振っているが、ヤローから手を振られてもまったく嬉しくない。


 それに人の目をあつめてしまってやたらと恥ずかしい。スルーして通り過ぎたいけどそうもいかない。


 ああ、もう、ちゃんと見えてるから落ち着けって!


 『これでオレも大人になりました(・・・・・・・・)!』


 昨晩うれしそうに言っていたのに、結局はガキのままじゃないか。


 やはり、紗月(さつき)やマリアベルといったツッコミ役を連れてくるんだった。


 無事に合流をはたした俺たちは、とりあえず横の小路へはいる。


 この夕方になる時間帯は人が多くて立ち止まることもできないほどだ。


 「やぁお疲れ様。割と早かったんだね~」


 「はい、運よく協力者(きょうりょくしゃ)に出会うことができましたので。それがなかったら明日までかかっていたかもしれません」


 「へ~、そうなのかい。まっ、その話は後ほどゆっくり聞くとして夕食はどこにする?」


 「こだわりがなければ、食べ放題の店を探そうと思うのですが」


 「僕はそれで問題ないよ」


 「私もそれでいいわ」


 「オレは食べ放題なら大歓迎っす!」


 (おめーさんにゃ聞いてねーよ)


 そもそも食べ放題は健太郎のためだかんな。


 俺は手招きしてキロを側に呼んだ。


 「ここは祇園ですし、そうハズレはないと思いますよ。キロ探してくれるか」


 「はい、ゲン様 お任せください」


 キロはすぐさまスマホで検索(けんさく)しはじめた。


 しゃぶしゃぶ・焼肉・すき焼きと最終的にはこの3つに(しぼ)られたが、


 『たまには贅沢(ぜいたく)するのもいいんじゃない』ということで、夕食はすき焼きに決定した。


 さて、シロを召喚しますかね。






 う~ん、旨かった~。


 だけどみんな食べ過ぎだよねぇ。制限時間いっぱいまで誰かさんが(ねば)るから。


 そこで腹ごなししようと、鴨川沿(かもがわぞ)いを夜の散策(さんさく)洒落(しゃれ)こんだ。


 「師匠!」


 どした? 俺が振り返ると、健太郎が見慣(みな)れた看板を指差している。


 黄色地に赤のどんぶりマーク、【スキ家】である。


 「はぁ~~~。ほれ! 先にいってるからな」


 ため息をつきながら1000円札を渡すと、追いついてきた時には弁当を2つぶら下げていた。


 おまっ……。 調子に乗って2つも買いやがってぇ。


 おつりの80円を受け取りレシートを見てみると、牛丼 (並) ・にんにくファイヤー牛丼 (並) 。


 もう、なにも言うまい。――やれやれ。






 そして翌朝。


 起きると牛丼弁当は空になっていた。一つはテーブルの上に、もう一つは床のカーペットに転がっている。


 んっ……、なるほどな。一つはシロに献上(けんじょう)させられたようだ。


 まあ、こっそりひとりで食おうとするからだな。


 支度(したく)を済ませレストランへ下りていく。


 するとレストランは昨日にも増して凄いことになっていた。


 俺コレ見たことがある。


 あれはたしかY○uTubeの動画だったか。


 直径1mの大皿に入った6㎏のカレーライス。(推定)


 ライスの上には申し訳程度に目玉焼きと唐揚げがトッピンングされている。


 いや、実際は結構な量であるのだが、超デカ盛りカレーライスの上にのせるとどうしてもね。


 誰だぁ! こんなの許可したのは?


 するとレストランのウエイターが俺に説明してくれた。


 「これは料理長の判断でお出ししております。実を言いますと昨日レストランの方に『特定のものが数種類無くなってしまっている!』と苦情が入っておりまして……。もちろんバイキングですので自由に食べられて結構なのですが、その~、何をどれくらい用意していいのやら皆目(かいもく)検討(けんとう)がつかず、また他のお客様のこともありまして……、それでこのような仕儀(しぎ)になったわけなんです」


 なるほどね。それは大変ご迷惑をおかけしました。


 本人が納得(なっとく)しているのなら、こちらとしては何も問題ないわけで……。


 て、いうか健太郎は喜んでいるよね。


 周りにいるお客さんも盛り上がってるし、記念撮影(きねんさつえい)までしてる人もいるよね。


 俺たちは健太郎をよそに、ゆっくりと朝食をいただいた。


 いよいよ京都も最終日。


 あとは清明(せいめい)さんに文句(もんく)言って帰るだけだな。 


 それにしたって、今回はヤカンの協力にマジ感謝である。


 次回会う時にはおいしい物をいっぱい食べさせてあげよう。


 それで最終日になる今日は、金閣寺(きんかくじ)北野天満宮(きたのてんまんぐう)晴明神社(せいめいじんじゃ)の3ヶ所まわる予定だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押すな。押すな~!
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ