108. 超豪華メンバー
俺はもう一度、茂さんの方を見た。
「うん。可藤さんのお父さん、この前こちらに見えていたよ。 フォローはしてあげるけど、ちゃんと自分で話す事。 いいね」
「うん。秒で電話するし、いつメンだし、おけまるでしょ」 とか言いながらスマホを操作している。
「私もここがなければ、行きたいところだけれど。紗月とみんなの事は頼んだよ」
「はい。なるべく怪我のないように、注意は払うつもりです。お預かりします」
「もちろん、私も行くわよ。腕が鳴るわね」 と慶子様までやる気十分でいらっしゃる。
腕が鳴るとか、今日び聞かねー! 後はサキだけか。今日はマリアベル達と一緒だな。 じゃあ、取りあえず、京都に移動だな。
「それでは、メアリー、みんな行くぞ!」
俺は茂さんに会釈をして裏口から外に出た。
俺達が京都の基地に入ると、すでにマリアベル達は待機していた。
「ほんとに、みんな連れて行っちゃうのね」 と、半分呆れた様子で言って来るマリアベルをよそにフウガに状況を聞いていく。
色んな筋からの情報と衛星カメラの映像などから、ソルジャーアントのコロニーは2ヶ所存在することが確認されていた。
俺はその衛星写真と通常の地図を見比べて、ポイントを記入するとインベントリーにしまった。
「それで、ゲン様。もうひとつ」 と言うフウガに耳を傾けると、どうも ”ゾンビ” が確認され動き出しているということだ。
場所は ”遺体安置所” にもなっている、「築地の西本眼寺」 だという。
こちらも現在、情報を集めている段階で。 今夜までにはある程度の概要は掴めるだろうとのことだ。
俺は今話にあがった、築地本眼寺の場所を再度地図を出し確認してから、リビングのソファーから立ちあがった。
ここは ダンジョン・イナリ が設置してくれた ”魔力スポットドーム” である。
まず、俺とシロが中に入り魔力を吸収して全体の魔力濃度を一時的に下げる。
そして、みんなに入ってもらいトラベル! を発動した。
一瞬で何も無かったドームから野外に転移した事により、みんな少しの間 固まっていたが、ぱらつく雨に当たって我を取り戻していたようだ。
「あんた。どこに転移してるのよー」 と、マリアベルや他の者も近くのタープテントの下に飛び込んでいく。
そう、ここは豊洲。 数日前にお世話になった。アウトドア・バーベキューのお店。え~と、……ワイ○ドマジックだ!
すると、俺達の匂いを嗅ぎつけたのか、あちらのモーターホームからパンチとジョンが駆けてきた。
そして、俺とシロの前に、並んでお座りしてブンブン尻尾を振っている。
おおー、お前達。 元気にしてたか~! 濡れた毛もお構いなくワシワシやってやった。
すると、――ガッチャン とモーターホームの方で音がして、大きな ”てるてる坊主” がのっしのっしと此方に近づいてきた。
雨ガッパであるポンチョを着た熊店長であった。
「おや、またあんたか。 この雨の中、大人数でどーしたんだい?」
当然の質問である。こちらが勝手に押し掛けてきたのだから。 ここは、知らない中では無いんだし、事と次第を正直に話すことにした……。
「あんさん方も、大変だなー。まあ、ここはご覧の有様でよ、スマホは繋がるようになったが、会社と連絡が取れねーんだわ」
「今ある施設で良ければ、好きに使ってくれ」 と快く開放してくれた。
俺は急ぎ全員にその事を伝えると。スマホで剛志さんへ連絡をいれ、後の動きを確認していった。
そして、今は久実さんや楓とも話をしており、いろいろと頼まれているようであった。
雨の降る中、みんなで野営の準備をしていく。
俺は電子炊飯ジャーを並べて、ご飯を炊く準備を進めていた。
まあ、みんなでバーベキューも良いものだが、もう秋も終わりのシーズン。 俺は土鍋を3つ出し、ちゃんこ鍋のつゆを注いでいく。
夜が冷えて来る季節はこれに限るよね。 身体は温まるし、最後のシメに、卵を入れての雑炊は最高だよね。
それでは、ここで集まってくれたメンバーを 名前だけなんだが、紹介しておくよ。
まずは、福岡の秘密基地より メアリー 慶子 紗月 茉莉香 健太郎。
そして、伏見のお山基地より マリアベル 楓 久実さん ダリルバート サキ。
最後は東京の剛志さんのマンションにいた タマ キロ 剛志さん。
それに従魔の シロ ヤカン チャトが加わる。14名と3匹の超豪華メンバー。
勇者が2人、勇者並が数人だよ。 ……そうだな、 世界征服なんて、面白いかもしれないな。 ハハハハハ!
冗談はさておき。 俺は男性組を招集した。
すぐそこに迫っているアンデッドとの遭遇戦に備える。
せっせと20リッターのポリ缶や噴霧器 各種ウォーターガンにシロちゃん特製の聖水をドンドン注いでいった。
もちろん、試し撃ちをおこない 動作チェックも忘れない。 ここには、何故か熊店長の姿もあるのだが。
丁度いいので、誂えてきた革鎧やチェインヘルム ブーツ グローブなどを渡していき、最近のここ豊洲の事について尋ねてみた。
すると、店長は言われていたように 夜になると、パンチとジョン2匹の犬を放してやっていたところ。
昨日の朝は4個、今朝は1個の魔石を確認しているとのことであった。
そうか、まだ残っていたんだな。 しかし、それでほぼ壊滅だろう。 2匹は良く頑張ってくれたと思う。
11.07 土曜日
11.24 満月




