#31 無限ループ
前話の通りです。
アイツがニヤついた笑みを浮かべている。
僕は倒れている小子を抱えていた。
「……………私、本当に……彦星さんの、事…大好きですよ…」
「もう、いい…っ!喋るな!今、治して………」
血まみれの手で、僕は小子に魔法をかけ……られず。
「……無駄、ですよ……自分の命くらい…………どこで、消えるか、わかって、ます、から…」
「……やめろ、やめてくれっ…!」
なおも魔法をかけ続ける僕の手を取り、小子はゆっくりと彦星を引き寄せ………その口づけは、死の味がした。
「………ぁ」
「…笑って、ください……そんな顔…彦星さん、らしく……ありません…」
「…………ぁああ」
笑ってはいけない。笑えば、小子は逝ってしまう。そんなの、ダメだ。
「………ふふ、強情…なん、です……から……」
「…………ぁぁああ」
「………………わた、し……あなた、の…こと…………ずっと…愛、して………………」
僕の手からするりとすり抜け、小子の手は力なく項垂れる。慌てて握り治して……………後悔した。
「…………ぁぁぁぁぁあああああ…」
とても、冷たかったのだ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
心の、支え…、失っ、……ぼクは、、、壊。壊れ、ぶつぶツブつと、ぶつリト、暗、黒く…どす、黒、黒く、ぬぬヌヌヌヌりぬりぬりぬり、塗り潰サレ、僕という人、人物、神物、は、壊れ、ぶつぶつ、ぶつり、黒くくクククククく黒、小子、死。くろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろくろ◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
ーーーーーーーーーーーーーーーばつん。
▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」
嫌だ!嫌だ!嫌だ!思い出したくない!忘れたままにしてくれ!何度やり直しても!やり直しても!変えられない未来を知っているのはもう嫌だ!!
「お主、誰ぞに刷り込まれたなどと思っているようだが……それは違うぞ?お主は『最初から知っている』のじゃ。『教えられた』のではない。『真実を思い出した』にすぎんのじゃよ」
「嘘だ、嘘だ、嘘だっ!」
僕は知っている!これは最悪の結末だ!何を、どう頑張ったって、この結末は、『小子の死』は逃れられない!だから、僕は、世界を、自分でさえ『書き替え』て、小子の生きる世界を……!
「何か勘違いしておるようじゃから言っておくがの、これは『一番強い記憶』じゃ。そこから先はお主しか知らん。違うか?」
鳴り止まない奥歯を噛み締め、震える肩を抑えて、その続きを思い出す。
………そう、だ…僕はずっと、試行錯誤を繰り返して、世界を戻して、あらゆる手を使った…そして、どの方法でも解決できないと悟ったんだ……。
一番最後の世界で、僕は『僕の記憶を消し』て、やり直したんだ……『イチから』ではなく『ゼロから』……。
「お主、今すでに過去の世界とは違う結末をたどっていると気づいておるか?」
「………あぁ。僕は、過去どの世界でも…小子と結婚していない」
「ヘタレめ」
「ふ、ふふ……うるせぇババア」
過去の僕は、塩を作ってないし小子と結婚していないし、ベロも呼んでない。
だが過去何度だって挑戦したが、ことビースティアの最初に関しては、この行動意外取ると詰む。いくつか具体的に言うと。
『獣耳を付けないと入国前に死ぬ』
『リメを送り届けると獣王に殺される』
『リメを帰さないと憲兵に連れて行かれて処刑』
『図書館で師匠に合わないと後で死ぬ』
『師匠は小子と意気投合させておかないと僕が死ぬ』
エトセトラ、エトセトラ。他にも詰みかけ、困難な状況等を含めたらキリがない。そこで、導き出した答えは『リメを一人で帰し、小子を図書館に行かせて、僕は宿を探して待つ』が最良の方法だった。
けれど、ゼロから始めるにあたってこの最良の方法を忘れるわけには行かず……というのもこの方法を編み出すのに約二百世界消した……やむなく、占いババアの煌めきに頼ったわけだ。
「用ができた。邪魔したな」
「ふぇっふぇっ、迷ったらまたくればええ」
「気が向いたらな」
「忘れてはならんよ。もうお主はどのお主とも違う、状況が、取り巻く環境が違うのだから」
「……あぁ」
ここからは、未知の世界だ。絶対、殺させはしねぇよ、小子。
ご愛読ありがとうございます。
定期更新はひとまずここまで。
活動報告にも書きましたが、事件が片付いたら(詳しくは活動報告「事件発生。」を)もう一幕予定してます。
カット出来るような一幕でも無いので、消えたテロップは載せます。
……遅かったら「あーコイツまだ立ち直ってねーな」って思っててください…;_;




