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辺境の獣医令嬢〜妹に婚約者を奪われた伯爵令嬢ですが、次期辺境伯様に溺愛され辺境で獣医となって可愛い神獣たちと幸せに暮らしています〜  作者: 津ヶ谷
第3章

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第6話 詐欺組織解体

 ラースが王都で証拠集めをしてから、数日が経過した。


 獣医師会も動いてくれたお陰で事態は早急に動いた。

王都獣医師本部、副会長と役員そして王宮財務官が会議に詰めていた。


「これで証拠は完璧ですな」


 副会長たちの協力のおかげで証拠は全て出揃った。


「皆さんの協力のおかげで解体に追いこめそうです。ありがとうございます」

「いえ、みんな会長と思いは同じですから」

「そうです! 弱っている動物たちを金儲けに使うなんて許せません!」

「私たちの仕事は動物たちを救うことですから」


 ラースが動き出したことで、獣医師会も見て見ぬふりはできなくなった。


「会長のお手を煩わせる前に、もっと早く対処すべきでした。申し訳ない」

「仕方ないですよ。証拠が無かったんですから」


 今までは、疑いに過ぎなかった。

確固たる証拠が出てこない限り獣医師会は動かせない。


「では、私はこの証拠を王宮に提出して参ります」


 マスハス財務官が証拠となる資料をまとめて立ち上がった。


「お願いします」


 その足でマスハス財務官は王宮に証拠となる資料を提出した。


 そして、その一週間後に王宮から動物保護団体に立ち入り調査が入り、活動実態は義援金詐欺団体ということが証明

された。

代表と幹部たちは国に逮捕され、事実上の団体解散となった。


 被害額が大きかったので、国もすぐに動いてくれたのだろう。

これから、被害者たちへの金銭の返還などが開始されるようだった。


「ラース様、我々の勝利ですよ! さすがですね。あなたが真っ先に声を上げたら、これだけの人が協力してくれるんですね」


 マスハス財務官は獣医師会本部の役員たちを見て言った。


「みんな、想いは同じなんだと思いますよ」


 獣医になったのは苦しんでいる動物たちを救う為だった。


「少しは、お祖父様に近づけましたかね」

「本当に、ラース様は似ておられますよ。あの伝説の獣医に」


 かつてのベルベットもそうだった。

世間体など気にしない。出世、名誉に興味なし。

その姿勢で巨悪の陰謀と獣医でありながら戦い抜いた。


 そんなベルベットを世間は評価した。


「ベルベット様は言っておられました」


 全ての人が平等に医療を受けられる体制を作るのが私の夢だ。


 その夢は志半ばに終わってしまった。


「私は思いますよ。ラース様にはそのベルベット様の夢をかける価値がある」

「ありがとうございます。祖父の想いは引き継いでいくつもりです」


 こうして、ラースと詐欺団体との戦いは幕を下ろした。


 戦いが終えてオーランドの街へと帰ろうとした時、伯爵邸へと王宮から書簡が届けられる。

それは、ラースを王宮へと呼び出すものであった。

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