表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

第3話

  あれから半年が過ぎ、ランドがちょっぴり大きくなりました。

  まだ可愛いヒナ様です。旦那様になったグランドロスさんは、相変わらす空を飛びまわり何かしている様ですが、お仕事の内容は知らなくても問題なさそうなので放置しています。


「帰ったぞ〜!」


「お帰りなさい、珍しい物ありました?」


  この頃、グランドロスさんが帰りに珍しい物を良く持ってきてくれる様になりました。色々な物があるので楽しみです。


「これは珍しいと思って持って来たぞ!どうだ!」


  私の目の前に落としてくれます。箱の中を見ると、キラキラ光る金貨が沢山入っていました。鳥さんって光り物が好きだと前世で聞いたことがありましたが、この世界でも一緒なんですか?


「えーっと金貨ですね。今の私には要らない物です。グランドロスさんに、色々貰ってますから」


  そう言うと項垂れてしまいました。神殿からの貢ぎ物の中に、人族嫁って事で色々入れてくれていますので、お金を使う機会もないですから。

  ですが、せっかく持って来てくれたのに失言でした。


「くそっ!ハズレか。今度は外さないぞ」


  小さな声でしたが聞こえました。私が喜ばないのが悔しかったみたいです。

  もらえるのは嬉しいですよ。せっかく持って来てくれたのに失敗しました。


「きゃはは!パパ残念!」


  ランドが、羽をグランドロスさんに向けて笑い転げています。人で言えば指差し笑いでしょうね。


「む、笑うな!ランド」


  笑われたグランドロスさんは、情けない顔をしている様に見えます。鳥さんの表情は分かり難いですよね。

  日々成長していくランドと、グランドロスさんに囲まれた家族暮らしの毎日は、楽しい日々になりました。

  唯、私の生まれ育った国が、グランドロスさんにそっぽを向かれて困っている事を知りませんでした。



 ************************************


  神殿でのグランドロスさん視点の会話



「今度人族の娘が、俺の嫁になった。そこに居る神官ぐらいの大きさだ。必要な物を入れてくれないか」


  人族のエリーナの為に必要な物を持って行きたい。俺の嫁に無理矢理した娘だ!大事にしたい。


「は?嘘ですよね?」


  神官長、驚いてるが本当だぞ。俺の人族の嫁は可愛い。息子も可愛いぞ。


「何故神獣の俺が嘘を付かなければいけない!本当の事しか言わないぞ!」


  嘘を吐いていると思われたらしいが違うぞ。


「すみません神獣様!宜しければ詳しくお聞かせ下さい」


  仕方ない。頭を下げて謝られたら許すしかないな。


「ふん!分かればいい。名前はエリーナだ。違う、俺の嫁になったからエリーナ・クラッシャーズだ。シャンデリア国の貴族の娘だった」


  エリーナが貴族の娘で、非道な親から捨てられた。俺たち神獣族は子供を大事にする。いくら悪い子でも捨てたりはしない。

  捨てた奴らを、俺は許す気はないがな!


「貴族のですか?可笑しいですね。神獣様と何処でお知り合いに」


  接点がないのだから、不思議に思われても仕方ない。もう俺の嫁だ!誰にも文句は言わせない。


「無実の罪を着せられて森に放置されたそうだ。偶々、空を飛んでいた時に見つけたのだ」


  俺が、見つけなければ魔獣の餌になっていたか、彷徨い疲れて死んでただろう。


「その娘、まさか嘘などは吐いてないでしょうか?」


  俺を心配して疑っているのは分かるが、エリーナはそんな娘ではない!俺の勘がそう言ってる。だが……疑われると腹が立つ!


「……俺の嫁が嘘つきだと!!馬鹿にするな!加護するのは止めるぞ!!」


  思わず怒鳴ってしまった。悪い神官長!


「ぎゃあああーっ!すみません!すみません!私が間違っておりました。お許し下さい」


  俺の怒鳴り声と、加護の撤回に青くなって謝っている。


「2度はないぞ!次代の母でもある。子供が臍を曲げたら、加護する者が居なくなるのは間違いない。俺の嫁になった時点で神獣と同じ寿命が与えられる」


  人族であってもエリーナはランド母親だ。愛情深く育てられた子供は、母親を大事にする。害する者を許さない。

  これは、神獣一族の特性でもある。


「次代様のお母上に!分かりました。神獣様同様に崇めさせて頂きます」


  久し振りに、神官長の土下座を見た。二代前は良くやってたと聞いていたが、俺は初めて見たな。前の神官長はやる前に吹き飛ばしたし。


「今日は、ある物ですみませんがお持ちください。今度は全部揃えておきます」


  側に控えていた神官の1人が荷物を持って来た。これで、エリーナに渡せる。一安心だ。


「暫くは子育てに専念する。シャンデリア国は嫁を苦しめた国だ!俺は加護を暫くの間与えない!これからも宜しく頼む」


  暫くは、ランドの可愛い姿を見ながら過ごしたい。シャンデリア国はエリーナを捨てた国だ!関わらない方がいいだろう。加護も無しだ!放置でいいだろう。


「お任せください神獣様」


  話の分かる神官長で良かった。言い訳する様だったら神殿を無視しようと思っていたが大丈夫そうだな。


 **************************************



  俺は神殿からもらった物を持って意気揚々と家に帰って行った。それからも、喜ぶエリーナの顔を見たくて神官長に言って珍しい物を貰うと持って帰った。


「帰ったぞー!」


  グランドロスさんが帰って来ました。ワクワクのお土産披露です。今度は何かな〜。


「これならどうだ!」


  ドヤ顔のグランドロスさんです。箱の中身はチェリー似た果実が入ってました!

  でか!特大チェリーです。味は前世と似てるかな?


「わーい!美味しそう!モグモグ美味………し」


  食べたらそのまま倒れてしまった。目が次の日の朝まで覚めませんでした。


「ママー!起きて!ママ!うわーんパパのバカ!!」


  ランドが私を呼んで一晩中泣き叫んだそうです。


「……ランド」


  倒れた私を、呆然と見ていたグランドロスさんはランドに、バカ!と言われ抜け殻になっていたそうです。


  前世チェリーに似ている物は、本当は特大チェリーボンボンでした。

  まさか、生の果実にお酒が入ってたとは!異世界は不思議な果物があるんですね〜。


  お酒には、前世の私も私の家族も弱かった。生まれ変わっても飲めない体質でした。残念!

  美味しいのに倒れる……体質とは泣ける〜!


  朝起きて横を見ると、泣き疲れたランドが横にいて、グランドロスさんのザ!鳥土下座に笑ってしまったのはいい思い出です。

  だって、お尻がプリプリ動いて面白かったですよ。もしかして……一晩中その格好でした?

  ご苦労様でした。可愛いグランドロスさんが見れて。ぷぷっ、特しましたね。



 *************************************

  鳥さん=グランドロス


  神獣一族仲間は、別空間に居る。森に偶には一族の者が遊ぶに来る。グランドロスさんの一族担当がこの世界。200年単位で代替わり、終われば元の一族が居る特別の空間世界で暮らせる。不自由はない。

  他の神獣は別世界担当。2,000年に1度くじで担当世界変更。鳥土下座(可愛いかった)を披露、エリーナに喜ばれる


  神官長

  西の神殿を管理している偉い人。神獣の嫁発言に驚かされた気の毒な人。そして巻き込まれた。お土産に悩む神獣の愚痴と相談に毎回頭を抱える事になる。苦労の始まり。


  エリーナ

  自分の寿命が伸びた事も気付いてない。色々なプレゼントに喜ぶ。鳥さんなりの愛情を捧げられている事も気付かない。この暮らし楽だわ〜!としか思ってない。でもランドは可愛いと思っている。


  ランド


  ママ大好き。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ