第2話
あれから、2週間で生まれました!可愛いですヒナ様です。プリティーすぎて困ります。
卵の時はお父さんに似てね〜と言ったけど、今は似なくていいわー!可愛いままで居てと思ってしまうわ。
「可愛い、早くパパに名前を決めてもらいたいわね」
野生の動物は、早いと聞いていたけれどもう歩ける。
可愛くよちよち歩き、ああ!癒されるわ。
「マ、ママ!」
羽根を広げてよたよた歩く姿に可愛さ倍増〜!
「キャ〜っ!ママって言ったわ!天才だわ。可愛い」
優しく抱きしめて頬擦りしてしまいました。生まれて直ぐ喋れるのね〜。大きさは人間の赤ちゃんとほぼ同じで腕の中で私をじっと見つめてくれてます。
両思いですね。
「おい!餌だ食べるといい」
果物にあらゆる食材を、大きい布に包んで持って来てくれました。
疑問なんですが、どうやって布結んだんですか?
聞ける雰囲気じゃないので、心の中だけで突っ込みます。
「ありがとうございます。それで、赤ちゃんのご飯は?どれですか?」
私より先に赤ちゃんの食事です。
一応私が、ママ(キャ!恥ずかしい)ですから赤ちゃん優先です。
「あ!そ、そこの中ピンク色のママンの実を食べさせるといい」
これですね。うーん微妙……だって、おっぱいそっくりですもの。
可愛い赤ちゃんのために頑張ります。
「はい!分かりました。皮を剥いて、小さく切ってから食べましょうねー」
卵に、力を注いだだけでママになれるとは知らなかったので、母乳じゃなくて助かりました。
私、まだ恥ずかしい年頃です
「うん!ママ」
表情が可愛い!自分の子は持てないかもしれないけどこの子がいればいいわね。
鳥さんのグランドロスさんと子作り……ジーと見ても体格的に無理ですね。
この巣の中は意外と居心地いいです。人間の私の為にグランドロスさんが、精霊さんに頼んで小さな台所とお風呂を作ってくれました。
精霊さんの早業!凄い!と感心して褒めると更にヒートアップ!
私の、使う部分だけ豪華絢爛な物に変身しています。
木を変化させ、中身豪華な彫刻を施した様な柱や壁、椅子、テーブル食器棚などは 何処のアンティーク?
台所は、前世で言えばオール電化と変わらない性能に、コンロに、光の照明シャンデリア、お風呂は温泉流し湯、清潔さと何時でも入れる気軽さに、驚きお礼を言って毎日癒されています。
効能に美肌効果があるのでは?
この2週間で分かりました。つるつるのもちもちで精霊さんの凄さを毎日感じています。
「美味しい?ふふ、もう一個あげましょうね」
可愛い鳥さん♡鳥の雛って可愛いですよね。
口を開けて、ピイピイ言う姿は庇護よくを擽ります。
「うん、ちょーだい!」
テーブルの上で、ふわふわのもこもこの羽を広げて餌をもらおうとする姿に、ダメだわ!また可愛さにやられそう!
「グランドロスさん早くこの子に名前を付けてください。可哀想です」
親ですから悩むのは当然ですが、名前呼びしたいです。一応私もママですから。
「俺の子だからランドにする」
決まった〜!良かった、名無しのゴンべちゃんになるとこだった。
「ランド、名前が決まって良かったわね」
私の腕の中に、ぴょんと飛び込んで来たランドに可愛さひとしおですね。
「うん!ランド、ママ好きだよ」
「私もランドのこと好きよ」
私とランドはラブラブです。ほっぺにちゅ!すると喜んでくれました。
グランドロスさんも優しく見守ってくれてます。
「キャ〜ママ好き!」
この世界の家族とは、殺伐としていましたから余計に今の生活のほうが楽しいです。
グランドロスさんのことも、初めは怖かったですが、お部屋も台所もお風呂にも余り苦労しなくていい生活です。
家族にも 、捨てられて私には信じられないくらいの、好条件の嫁ぎ先だと今は思っています。
人って慣れる生き物ですね。
最近ではグランドロスさんを心の中で焼き鳥美味しいと変換してからは怖さは無くなりました。
「新しい服とか食材をもらった。使うといい」
グランドロスさんは、見た目によらず細やかな気遣いをしてくれます。
鳥さんですが、私を捨てた人族よりも素敵です。
「はい、ありがとうございます」
包んであった中に洋服があります。恥ずかしいですが下着類から夜の言い難いスケスケの服までありました。
一体誰が用意してくれたんでしょうね?疑問です。
「……グランドロスさんは人族に伝でもあるんですか?ありえない物まで入ってます」
ジーッと見てると答えてくれました。誰かお節介な人族に知り合いが?で、なければスケスケで、どんな意味の物体なのか説明が付かないですよね。
「神殿に言えば大抵の物は揃えてくれるぞ。今は、西の神殿の願いを叶えたから5年は貢物がくる」
神殿!この世界で大きな力を持ち、王族にも匹敵する権威の集団ではないですか!
そんな所に伝手があるなんてもしかして……凄い鳥さん?
「凄いですね。貢物をもらえる立場って、グランドロスさんは偉い鳥さんですね」
胸を張って威張るグランドロスさん。偉いと言われてご満悦のご様子。
服を、もらったので反論はしませんよ。
「そうだろう、そうだろう、俺は偉い!何でも叶えてやれる。神殿には人族の嫁をもらった。と言っておいた」
言って良い話なんですか?厄介ごとにならなければ良いですが。
「え!話したんですか?」
でも……まさか!あの夜話した私の事情を、神殿に言ってないでしょうね!色々不味いと思います!
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「今更だがどうして森の中にいたんだ?」
2日目の夜、卵を温めながら聞かれました。私はそれまでに起こった出来事を、グランドロスさんに全てを話したのです。
「私は婚約者に、無実の罪を着せられて婚約破棄されました。それを聞いた家族にも、娘ではないと捨てられてました」
全然身に覚えのない罪でした。でも、婚約者の連れて来た彼女を見た瞬時に納得しました。
見るからにペタンコなんです。前に理想だ〜!と喚いてましたので間違いありません。捨てられた今、もう2度と関わろうとは思いませんけどね〜。
「親だろう!子供を信じないのか!」
グランドロスさん達、鳥さんではありえない事なんですね。私の話を聞いて怒ってますから。
「利益を優先させる人達少なからずいます。悪い人ばかりではないので、そこは勘違いしないでください」
私の友達だった人の親は、溺愛してましたからね。羨ましいと思った時もありました。
友達に言わせると、家は他と違って暑苦しいと嫌がってましたが。それでも私の家に比べたら素晴らしい家族だと思います。
「名前聞くの忘れてたな。教えてくれ」
名前……別に愛着もないただの呼び名。それ位私自身には、家族の絆も血も関心も今は無い物。
「エリーナです。捨てられたので家名はありません」
もう名乗ろうとは思いません。唯の、エリーナになりました。
「家名はあるぞ。今日からエリーナ・クラッシャーズと名乗れ。俺のグランドロス・クラッシャーズの妻だ」
優しくグランドロスさんの羽根に抱き込まれました。流れてくる涙に気付かない振りをして答えます。
「はい、グランドロスさん」
羽根の中にいる私は、寒々とした心を羽布団の様な優しさで包まれた気がします。
「エリーナの国はどこだ?」
もう関係ないのにどうして聞くのかな?教えても問題ないわ。もう2度と戻る気はないから。
「…シャンデリア王国です。もう2度と戻る気はないです」
ここの暮らしの方が穏やかに生きられる。2日しか立ってないけれど記憶を思い出した私には、この暮らしの方が合ってる気がするわ。
「そうか、もう寝ろ夜も遅い」
羽根の中に抱き込まれたまま卵と眠ります。ホワホワした気持ちと一緒に。今日は夢心地で眠れそうです。
「お休みなさいグランドロスさん」
「ああ、お休み」
瞼を閉じる私は、優しい視線を感じながら眠りにつきました。
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そんな会話をした2日目を思い出していた。まさか、神殿に出かけて話していたとは驚きです。
「心配するな、シャンデリア王国に暫く行く気はない。一番最後に回してもらった」
得意顔をしながら、グランドロスさんが言ってます。もしかして、回る国々に移動しないとダメなんでしょうか?
聞いておいた方がいいですね。
「5年は後は別の国に移動ですか?」
「そうだ、次は西の神殿の隣にあるカンデ王国に移動になる」
この家気に入ってるのに移動か〜。
引っ越し先にもいい場所が見つからといいけど。愛着出てきたのにね〜。
「残念、この家気に入ってるのに移動しないとダメなのね」
本当に精霊さんの作った温泉良かったのに。
「大丈夫だ。そんなに気に入っているなら同じ物を作ってやろう」
同じ!うわー!良かった。涙を流して喜んだら、グランドロスさん何だか驚いてたわ。
「グランドロスさん!ありがとう!これでお風呂が何時でも入れるわ!」
前世の記憶を思い出したら、捨てられてお風呂に入れないのは辛かったのよ。
だって毎日入ってたもの、それに温泉巡りもしていたし。精霊さんの作ったお風呂は、美肌効果のある素敵仕様だったので諦めるのは辛いと思ったのよね。
やっぱり、この暮らしは貴族時代よりも楽でいいみたい。いい旦那様が出来たわ。




