第17話
崖っぷちで籠城しているフラオルさんがいます。まさに、檻を作りその中に入っています。
「嫌われた、エリーナに嫌われた!うっうっうっ嫌だああああああーっ!」
延々と呟き叫んでる。前が崖なので声がこだまのごとく跳ね返ってきます。
「羽が斑らになっている。本当にエリーナが好きなのか……はあーっ。フラオル!聞こえるか!こっちに来い!」
グランドロスさんが、フラオルさんを呼んでます。どうするのかな?小窓から背伸びをしながら覗いてます。
「え?グランドロス?嫌だ!ほっといてくれ!エリーナに嫌われたんだぞ!」
嫌いとは言ってませんが、話を聞かないのがフラオルさんなんですね。
「エリーナと迎えに来た。戻って来い!」
私の名前を聞いたフラオルさんがこっちを向きました。小さな窓から顔をでしてる私を見て驚いてます。なんで?
「エリーナが迎えに来てくれた!」
涙が止まり笑顔になりました。迎えに来のは、私じゃなくグランドロスさんです。教えない方がいいのかな?
「フラオルさん、帰りましょう。そこは危ないですよ」
「エリーナが言うなら帰る」
そう言った途端羽の色が元に戻りました。不思議です。神獣の羽の神秘ですね。
「フラオル!俺の言う事を聞けよ」
グランドロスさんが、話を全く聞かないフラオルさんに呆れています。
「エリーナの言う事なら聞ける!」
胸を張って言われても困ります。グランドロスさんも頭を抱えてました。
「ダメだー!何を言っても通じない!」
「グランドロスさん、家に帰りましょう。ランドも待ってるわ」
早く家に帰りたいです。ここには何もないので見ても面白くないです。崖ばかりの岩が見える草も生えてない場所です。
「わかった、帰ろう。フラオル帰るぞ!」
グランドロスさんの後にフラオルさんが付いて来ています。プチ家出が終わりました。人騒がせな人だと思います。鳥さんで神獣様な人は何をするか分かりませんね。
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留守番してるお父さんの思い出(弟の嫁事件)
いつも我儘を言われ、迷惑をかけられている私だが、今日ほど呆れた話を聞かされるとは思わなかった。
「嫌だああああああーっ!マリーナを僕のお嫁さんにするんだー!」
弟よそれは無理だ。既にマリーナは従兄弟の嫁だ。諦めろ。
「既婚者だ!諦めろ!」
周りも、両親も困惑気味です。末っ子の弟の我儘に、皆頭を抱えてます。
「小さな頃から決めてたんだー!運命の人に出会ったら、絶対お嫁さんにするんだと!」
年の離れた従兄弟の嫁に既になっていたと、気付かない弟が勝手に惚れて駄々を捏ねているのだ。今まで我儘が通らない事がなかった為、言えば叶うと思っていた弟が初めて願いが拒否されたと泣き喚いているのだ。
「他所のお嫁さんになったのだから貴方のお嫁さんには出来ないのよ。諦めて」
母親が一生懸命説得しているが聞かない、それよりも羽の色が斑らに変わってきている。これ以上進めば弱って死ぬ。この症状は雄だけ表れる。伴侶に嫌われると雄は生きていけなくなるのだ。だからこそ、厄介な病だと言われている。結婚もしていない弟がかかるとは馬鹿だとしか言えないし、従兄弟にも気の毒だ。
「嫌だああああああーっ!死んでやるううううー!」
手を焼いている弟をどうしようかと思っていたら救いの手が差し伸べられた。
「死んだらお姉さんに会えないわよ。それでも死にたいの?」
従兄弟のお嫁さんの妹だ。家に遊びに行った弟と仲良くしていると従兄弟に聞いていた。
「会えない?彼女に?」
優しく弟に言い聞かせている。囁くように。
「私のお婿さんになりなさい。お姉さんの弟になれば甘えられるわよ」
それは意味が違うだろう。だが、弟を好きだと聞いていたがそこまでしてくれるのか?弟は運がいい。普通はこんなに我儘で顔だけ雄は嫌われるぞ。
「お婿さんになったら、甘えてもいいのか?」
弟の羽の色が元に戻っていっている。説得が効いている。
「ええ、私のお婿さんですもの、兄さんも文句言わないわ」
にっこり笑って言い切った。
「分かった、お婿さんになる」
弟の結婚が決まった。伴侶になれないが甘えられる、と言う餌に釣られ彼女のいいなりになりそうだ。それは何年立っても変わらない。相変わらず弟として姉になる人に堂々と甘えている。さすがに慣れて従兄弟も大抵の事は見逃しているようだ。頭が下がるよ。
まさか、弟の子供が同じ性格をしているとは思わなかった。今までその兆しがなかったから分からなかったがあの時と一緒だ。今度は救う者がいないのでこれからが大変だと息子に同情する。協力できる事はするがあの弟の息子だ諦める事はないぞ。頑張れ。
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グランドロス
心配してフラオルを迎えに来行くが軽く無視される。
エリーナ
勘違いから、岩場に連れて行かされる。早く帰りたいので、帰ろうとフラオルに声をかける。
フラオル
死にそうだったが、エリーナに帰ろうと声をかけてもらえて生き返る。グランドロスの事は無視。
お父さん
弟の思い出を思い出した。発覚した弟の息子の性格が弟そっくりで困惑。止められないと息子に同情。
神獣雄だけにでる。
雄だけに表れる。斑ら模様。伴侶に嫌われると出てくる。続くと死に至る。




