第12話
遅くなりました。ごめんなさい。
グランドロスさんが、沢山貰って来た果実を劣化しないと言う不思議な箱に入れてます。これでいつでも美味しいプリン味が食べられます。グランドロスさんは、この間の石のお礼の加護をしにフルピカ国に出かけています。
「グランドロスさんが居ないとゴルフごっこも面白くないわね」
よく下に落とした石を拾って来てくれるグランドロスさんが居ないとゲームが続かない。退屈です。
「パパが居ないとさみしいね」
ランドも退屈そうです。
「そうね〜早く帰って来てくれるといいわね」
3人でいた方が寂しくない事を知りました。何か楽しい。あれから、偶にフラオルさんが、時々来てくれる様になりました。
「フラオルさんでもいいから来ないかなぁ〜」
ランドが、いい遊び相手になってくれるフラオルさんの事が好きになったんだと思います。ランドと2人、空を見ていたら赤い塊が近付いて来ました。
「どこ!!フラオルを誑かしている女は!!」
口から炎が出てますよ!ここにはそんな人?はいません!
「誰をお探しですか?」
こちらを見て驚いています。ガックンと顎が外れるくらい口が開いてますよ。どうしたんでしょうか?
「あ、あ、貴女どうしてここに居るの!!ハニームーンは、家は立ち入り禁止の筈よ!」
フラオルさんも、そんな事言ってましたね。でも、嫁ですから。
「初めまして、エリーナです。グランドロスさんの嫁になりました」
そして目が限界まで開かれて、口をパクパクさせてます。
「大丈夫ですか?」
身体が固まって、動けない様です。
「う、う、嘘よおおおおおーっ!!騙されないわあああああーっ!」
叫び声と共に火柱が立ちました。私は耳がキーンとなりました。咄嗟に耳を塞ぎましたのでランドは無事です。
「えーっと本当です」
そう答えると、涙を流しながら首を横に激しく振って否定してます。
「いやあああああああーっ!こんな小娘に2人も!!私のプライドは粉々よおおおー!」
勘違いしてそうです。鳥さんのお嬢様でしょうか?人族みたいに、ドレスで着飾ってませんのでわかりにくいです。見た感じ色彩の綺麗な羽を持ってますが、今にも倒れそうです。
「おばさん、どうして泣いてるの?」
あーっ!ランド!それは禁句です。年頃のお嬢様には痛烈の嫌味になりますよ!お嬢様、お姉様、お姉さんどれでも構いませんが、おばさんとは、どんな場合でも言ってはダメです。男の子は大きくなった時、沈黙するスルースキル(誤魔化す)を保持した方が争いに巻き込まれなくて済みますよ。後で教えますね。
「お、おばさん!!違うわああああーっ!!」
ドッカーン!!凄い音です!ドアに強烈パンチ!この間修理したばかりなのに〜はあーっ。
「また、玄関壊れたね、ママ」
ランドが2度目の玄関破壊に、玄関は壊す物だと思わなければいいですが。
「修理頼まないとね」
精霊さんに頼んで貰って、早目に直して欲しいです。巣のバリケードの役目を伴ってますから。
「勘違いしてますよ。フラオルさんは、グランドロスさんの従兄弟ですよ。ただ、お祝いの品物をプレゼントしてくれただけです」
まだ、錯乱中ですか?「そんな筈ない!」だの、「私はプレゼントを貰った事もない」とかです。フラオルさん彼女さんにはどんな物でもいいですからプレゼント位した方がいいですよ。
彼女になったら餌をあげない状態はだめですよ。ブツブツ言っている元カノらしい鳥さんに苦笑していると、グランドロスさんが帰って来て呆然となりました。仕方ないですね、朝存在したドアが帰って来たら破壊されていた。グランドロスさんではなくても驚きます。
「一体どうしたんだ!粉々に壊れてるぞ!」
私をグランドロスさんが見ましたので、視線をフラオルさんの元カノらしい人に向けました。
「えーっ、その誤解から粉々に。フラオルさんの知り合いだそうです」
グランドロスさんの顔が険しくなりました。怒ったグランドロスさんは、親子通信を使いフラオルさんに呼び出しをかけました。便利ですね。親子で神獣同士だった場合できるそうです。それで言うなら私とランドはできないとの事でした。残念です。
「今、親父に通信を送った。問答無用で来させてくれと頼んである。全く、ハニームーンの俺に恨みでもあるのか!」
グランドロスさんが、フラオルさんの元カノさんに食ってかかりました。怒鳴られた元カノさんは、キッと睨むと私に向けて怒鳴りました。
「貴女が悪いのよ!フラオルが側に居るのですもの!私は、プレゼントも貰った事もないのに」
その後、ぐわああああーん!豪泣きです、女心ですね。案外可愛い鳥さん(元カノさん)を微笑ましく感じます。フラオルさんとは、勘違いから別れたのでは!と気が付きました。
「何があった!!エリーナとランドは無事かあああーっ!」
通信を聞いて、急いで来たフラオルさんが、壊れたドアに突っ込み、ドアの破片が外に吹き飛びました。私達の心配をしてくれたのは分かるのですが突っ込むのは止めてください。怪我しますよ。グランドロスさんといい、神獣のお嬢様とフラオルさんまで!玄関に突っ込むのは止めてください。
「フラオル!!お前の所為だ!このバカ野郎ー!!」
グランドロスのパンチが炸裂です。飛ばされました。怒った顔と、元カノを交互に眺め、頭を地に付けてフラオルさんが謝り出しました。
「ごめん!グランドロス!俺が悪かった。エリーナさんは大丈夫か?」
飽くまで、私の心配をして、自分を無視された元カノさんは呆然としています。フラオルさん気にしてませんよ。それより元カノさんと仲直りしてくださいね。私が言うともっと拗れるからいいませんが、お願いします。
「フラオルさん、唯の勘違いですから気にしてませんよ。でも、ドアを直してくださいね」
ドアの修理はお願いしますね。とお願いすると目をキラキラさせて頷きました。
「エリーナは優しいなーっ。分かった!任せてくれ!今より丈夫にしてやる!」
無視された元カノさんが隅でいじけています。
「エリーナ!ドアの修理は夫の仕事だ!!俺が直す!」
巣の修理はグランドロス(夫)さんの仕事ですか?鳥さんのルールが色々ありますね。またひとつ覚えました。
「俺の所為だから俺が直す!エリーナに頼まれたしな!」
ルンルンのフラオルさんの、契約精霊さんが出てきて早速修理を始めます。グランドロスさんも、負けまいと張り合って精霊さんに修理をさせ始めました。元々力の強い2人が修復するドアは強固な物に作り変えられてます。放置された元カノさんは体を小刻みにブルブル震え出したと思ったら大声で叫びました。
「どうせ私は可愛くないわよ!!フラオルのバカー!!」
捨セリフを残して帰ってしまいました。
「フラオルさん!追いかけてください!泣いてますよ」
パワフルな方ですが、気持ちは普通の健気な女の子だと思います。
「あはは、彼女が泣く筈ないよ。強い女の子なんだぜ。それに、俺は振られてるからな。でも?何しに此処へ?」
不思議そうにしてます。私が言うのもなんですが、鈍感なんですね。
「仲直りしてくださいね。すれ違いだけで、まだ彼女はフラオルさんのこと好きだと思いますよ」
タイミングを外すと結婚が遠くなりますよ。
「ないない、ありえない!」
笑顔で言い切るフラオルさん。タイミングを外したのは山ほどなんだと思います。本人が気付いてないのが救いですが。
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グランドロス
仕事に行った間のドアを壊された。帰って来て呆然。フラオルの知り合いと知り怒りに燃える。度々ハニームーンを邪魔されてご立腹。ドア修復にフラオルと張り合う。夫の権利だ!と力を込めすぎた。フラオルと作った為、要塞並みの巣になったとは気付いてない。
エリーナ
年頃のお嬢様は扱い難い、と思ってる。おばさんは禁句だとランドに教える。「女の子はおばさんと言う言葉に敏感なのよ」と、心で思っても暴露る、と言い含める。フラオルさんの鈍感さに結婚は遠いよね〜同情する。巣が要塞並みになっても、見た目変わらないので気が付かない。
ランド
「おばさん」と言うと、女の子は鬼になると理解。但し、ママは別(鬼じゃない)だと思ってる。
神獣族のお嬢様
フラオルの、煮え切らない態度に切れて振る。名家生まれで顔(神獣の世界)でイケメンで女心を理解しないフラオルに未練あり。新しい彼女ができたのでは?と誤解。突撃するも、他所の嫁にプレゼントをした事実を知る。自分は彼女になった時も、何も貰ってない事に気付き落ち込む。
フラオル
元カノに勘違いされ、グランドロスの嫁に迷惑を掛けたと反省。だが何故?元カノが来たのか分かってない。グランドロスからパンチを受けるが、案外丈夫な為余り堪えてない。エリーナの元カノを悪く言わない態度に、感動!今まで、煩く注意(鈍感で女心を逆なでして反撃を食らう)されてばかりだった。新鮮な対応に友達付き合いをキープ。
巣の修理を頼まれた。喜々として修復に力を注ぐ。グランドロスと作った為、要塞並みの巣になった事には気付いてない。出来具合いに満足。




