第1話
連載版です。リクエストありがとうございました。1話は短編と同じです。
物語みたいに転生しました。でも、生活は変わりませんよ。私そんなに頭良くないですから。
内政とか、成り上がりとか、チートとかありません。
それに才能もどっかに捨ててきた様です。
「エリーナ・フルフラグール!君との婚約は破棄させてもらう!ララーナを虐めていた君は僕の婚約者に相応しくない!」
舞踏会会場で言われてしまいました。前世で読んだ乙ゲームみたい!私って流行りの悪役令嬢ですか?虐めてませんよ!冤罪です!
「リオン殿下、私は虐めていません!何かの間違いです!」
「証拠は上がってる!まだ、嘘を言うのか!」
証拠って?誰がそんな嘘を?
「違います!信じてください!」
信じてもらえない!周りの人達の冷たい視線が突き刺さる。…怖い
「ララーナが君に虐められた、と証言してる!間違いない!」
リオン殿下の後ろに隠れて顔を覗かせてる令嬢がいる。
ああ!私が王妃教育で忙しいのと、殿下のやり残した仕事に追われてる間に浮気ですか!
私が邪魔になったのですね。
「……わ、私、エリーナ様に」
彼女を見た私を、鬼の様にリオン殿下が睨んできます。
「……」
「出て行け!2度と顔を見たくない!」
リオン殿下の言葉に、どうにもできなかった私は、舞踏会の場から屋敷に戻りました。
家に帰った私が訳を話すと、婚約者にも捨てられ(綺麗な美少女に取られた)娘は要らない、親に立たずと罵られ、勘当された私は屋敷から叩き出されました。ゲームでもないのに、悪役令嬢並に悲惨な体験をしました。
「思い出して良かった。そのままだったら死んでたわね」
貴族のお姫様のままだったら、生活能力なしでひどい目にあって終わる人生になったでしょう。
貴族として、最低の生活魔法だけは使えるので清潔だけは保てます。
これでもチートはありませんが生活魔法だけは得意でした。暇な時は、メイドさんが困っている姿を見たら手伝ってあげてました。
捨てられた私を、助けてくれる人はいませんでしたけどね。
前世死ぬ間際に大量に買った食材(お正月用引きこもり食糧やお菓子)と、注文して 受け取った有名おせち詰め合わせ!
食べたかったー!
トラックが突っ込んで来なかったら死んでないのに!そう考えたら食べたい!おせち!
「ん?目の前に有るのは!あの、有名デパートのおせち3段重ね!私の唯一の贅沢!」
願いが叶うなんて、神様ありがとう!いただきます。
森の中に捨てられて、ひもじかった私は良く考えないでおせちを食べてました。
何か視線を感じて横を見ると、でっかい鳥さんがいました。犬ではなくでっかいが鳥です。
おせちに視線が釘付けだったので、私よりおせちが美味しいよ。とビクビクしながら恐る恐る、おせちの残りを差し出しました。
「残り物で悪いですが、どうぞ」
何故か丁寧に言ってしまいます。ジーと見られてましたがちっちゃなおせちに、顔ではなく嘴を突っ込んで食べてます。
器用な嘴使いです。有名デパートのおせちは美味しいですよね。共食いと思える物も入ってました。
うん、うん?気にしないでお召し上がりください。
その隙に逃げさせてもらいますね。その場から逃げ出した私は、どこにも行く当てないなぁ〜。と思いながら森の中を進んでいました。
「きゃあ!なに!なに!」
ふわっと身体にが浮いたと思ったら、何時の間にかでっかい鳥さんに腰ブラーンされてます。
お姫様抱っこでもなく、俵担ぎでもなく、腰ブラーンです。くの字ブラーンとも言います。
前世猫様が子供を運ぶ時によくやる行動です。
猫の場合は首ブラーンですが。何故?されてるのでしょうか?下を良く見ると森が見えます。
森!空の上!どこかに運ばれてます。
スピードが!くう!息が……。
「ここ何処だろう?」
あまりの速さに気絶して、目が覚めて1番に考えた事です。
またお腹空きました。もう一度おせち食べたい!そう願うとおせちが私の前に出てきました。この際夢でもいいわ!お腹いっぱい食べてやる!
「消える前に食べるわ!んん!この上品な味わい、つやつやした照、ああ〜美味しい〜!幸せ」
お腹いっぱいになると周りが気になります。
木の上の巣ですね、羽が敷き詰めてあります。よく見ると卵があります。でかい!あの鳥さんの卵でしょうか?
一瞬考えてしまいます。性別雌だったのですね。
これだけ大きいと卵焼きが大量にできるとか、ホットケーキが食べたいよね〜。とかジーッと見てると日陰?さっきまで日が当たってたのに、と後ろを振り向くと鳥さんです!鳥さんがいます。
「今日から、お前は俺の嫁だ!卵を一緒に温めるぞ!」
「え!えええーっ!雄⁉︎」
喋れたんですかー!そっちの方が驚きです。いきなり鳥さん認定の嫁になりました。
本当は雄だったんですね。お嫁さんに逃げられてのでしょうか?
代わりに人間の私で妥協しないといけないなんて不憫だとしか、他人事だと言えど可哀想です。
私も婚約破棄されましたが、それより残念な鳥さんに生暖かい視線を送りながら、今から卵を温める事になったのです。
思えば、私の人生波乱になったものですね。
貧乳好きの変態に見初められ婚約者になりました(強制的に私は拒否しましたが聞いてもらえず)14まで貧乳だったので気に入られてました。
本人から理由を聞かされた時は変態だわと、思ったのは遠い思い出です。15歳で胸でかくなって(巨乳)嫌われ、新しい貧乳に出会い(理想の女性だー!大騒ぎ)、ある事ない事でっちあげて、私は婚約破棄されました。
家族からも捨てられるなんて運のない人生だと思ってましたが、まさか鳥の嫁になろうとは。
「卵に、愛情を注ぐんだぞ!俺たちの子供だぞ!」
なんだか前世で不良に、睨まれた時と似ています。言う事を聞かないと酷い目合いそうです。
「わ、わかりました。鳥さん?」
「違う!俺の名はグランドロスだ!間違えるな」
鳥さん、改グランドロスさんです。どうせ1人になりましたし、天然の羽布団が手に入ったと思う事にしました。
襲われる心配もなさそうだし、当分男の人は要らないかな。グランドロスさんの羽の中は、丁度いい暖かさと肌触りのいい羽で、直ぐに眠くなった私はそのまま、朝まで目が覚めませんでした。
「ん?あったかい……昨日私そうか、グランドロスさんに連れて来られたのか」
昨日言ってた卵だ。あったかい生きてるのね。この子のお陰で天然の羽毛布団が手に入ったんだよね。
「ありがとう、あなたのお陰で助かったわ。お父さんそっくりの鳥さんになって生まれて来てね」
生活保障の、きっかけの卵に愛情をあげるのは悪くないわ、と暖かい波動を出しだした卵を抱きしめて、感謝しながら2度寝をしてしまいました。
眠っていた私は知らなかったのですが、グランドロスさんが目が覚めた後に喜んでいた事を。
「奇跡だ!!卵とこんなに相性が良いなんて!人族の嫁だが運が良かった。これで無事に生まれて来てくれる、俺の子だー!」
喜んで空を飛びまわって、仲間から嫁に捨てられて狂った、と勘違いされた、可哀想なグランドロスさんはお見舞いを山盛り届けられて、ふて腐れたのでした。
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鳥さん、実はシルバーファイヤーバード神獣。
焔を灯らせ破壊しようと思えば国単位で燃やせる。
名前はグランドロス
偶々、意気投合して勢いで同じ種族の嫁を貰うも卵をもらった後、些細な喧嘩で逃げられた。自分と同じ力を持つ子供が欲しかったグランドロスは、長に頼み継承卵と言う特別な物をもらった。
だが夫婦になった2人に愛情を注がれないと卵が腐る。代わりはもらえないと言う特別な物。男も女も一個はもらえる。愛情と、自身が持つ魔力を混ぜて卵に与える。相性が良いと優秀な子供が生まれやすい。普通でも子供はできる。この世界では種族違いでも子供はできる、その場合は雄の持つ特別の力が必要。
主人公は人族の為、自分がグランドロスに求婚した事を気付いていない。自分の食事を譲る給餌行動は結婚相手にだけする。グランドロスさんの一族は雄からの給餌行動が一般的。我が子は例外。卵の相手に逃げられ、切羽詰まるグランドロスさんは構わず飛びついた。俺の卵が助かる!嫁だ!と喜ぶ。




