表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い出きらきら  作者: チャーコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/42

初々しくない新入社員

 二週間の研修期間が終わり、私たち二十人は各店舗に配属されることになりました。私はA店配属です。お店に行く前に、店長に挨拶をしました。


「どうぞよろしくお願いします」

「ああ、履歴書を見たんだけど、S店でアルバイトしていたんだってね。ホールが専門だったんだろう?」

「はい。主にホールとカウンターです」


 アルバイトをしていたとき、人手が足りないことがあれば売店の仕事も行いましたが、私は専らホールとカウンター業務でした。


「A店は売店のみだし、新入社員として色々教わることもあるだろうし。他の社員たちにはアルバイト経験者だって言わないほうがいいね」

「わかりました」


 私は店長の指示通り、アルバイトをしていたことを隠して仕事を始めました。


 指導についてくれた男性社員の先輩に、物の置き場所や仕事の進め方などを教わります。A店は売店のみですが、一日平均百万円売り上げるお店だったので、仕事量が半端ないです。でも私は仕事の忙しさには慣れきっています。


「おい、急いでトレイにケーキを並べてくれ」

「はい」


 先輩社員に急かされましたので、できる限り手早くトングでトレイにケーキを並べました。その様子を見ていた先輩社員は──。


「お前、アルバイトしていただろう」

「ええっ!? なんでわかるんですか?」

「ただの新入社員が、そんな手際がいいはずがないんだよ」


 隠していたのに、すぐにばれてしまいました。


「アルバイトはいつからしていたんだ?」

「……大学一年生からです」

「マジで!? 俺より社歴長いじゃねえか!」


 先輩社員は三年目でしたので、確かに社歴は私のほうが長いですが、所詮は学生アルバイトです。


「私はホールとカウンターの仕事が多かったので、売店は不慣れです。教えていただければ嬉しいです」

「俺はホールもカウンターもやってねえよ……」


 少しばかりいじけてしまった先輩社員のご機嫌を取りつつ、一緒に売店の仕事を再開しました。


 私は人見知りしませんので、他の社員やアルバイトたちにすぐに馴染むことができました。商品知識も豊富ですし、元々やっていた仕事なので、A店で要領をつかむことも早かったのですが、ふと副店長に笑いながら言われてしまいました。


「全然初々しくない新入社員だな」

「仕方ないじゃないですか……。それとも初々しいほうがよかったですか?」

「いや。一から仕事教えるの面倒だしな」


 一から仕事を教えなくてもいい新入社員は、それでも頑張って働きました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ