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思い出きらきら  作者: チャーコ


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学生の本分

 アルバイトと部活のことばかり書いていますが、大学生活で一番重要だったことは、もちろん学業です。どんなに忙しくても講義は必ず出席していましたし、単位を落としたこともありませんでした。


 書道の講義を取っていたのですが、どんな偶然か、その講義は五人しかいなかったのです。広い書道教室に、教授も合わせて六人だけです。なんだか嫌な予感がしました。


 予感は当たりました。ある日、書道の講義に私しかこなかったのです。教授とマンツーマンで九十分間書道……。一文字ずつではなく、一角書くごとに注意をされます。私はそんなに書道が上手ではないので、早々に雑談に切り替えました。


「少しお話しましょう」

「いいけど、話したらまた書くんだぞ」

「はーい……」


 雑談も交えながらの書道講義のことは、よく覚えています。



 私の専門は中世日本文学です。能楽についてもたくさん勉強しましたし、卒業論文は『平家物語』のことを書きました。平家の末裔の方にお話を伺いに、石川県の金沢に行ったことは、ゼミの教授に褒められました。教授のお宅にも何回か食事に呼ばれました。今でも教授と年賀状を交わしています。


 卒業論文に『平家物語』縁の場所の一つ、屋島のことも書きたかったので、香川県へ取材に行くことにしました。せっかくなので、高校時代からの親友、ミチコさんを誘うことにしました。


「ミチコさん、香川県へ卒論取材に行くんだけど、一緒に行かない?」

「いいよー。その代わり……」

「……うどんだね。了解」


 ミチコさんは大のうどん好きです。例の、馴染みのお蕎麦屋さんを見つけたのはミチコさんです。香川県に行くなら、ミチコさんと行こうと決めていました。


 夜行バスで高松に着くと、早速ミチコさんとうどん屋さんを探します。いっぱいありました。さすが香川県です。観光案内所で聞いた、おすすめのうどん屋さんに入りました。セルフサービスでうどんを食べられるのが面白かったです。


 栗林公園を回って、金毘羅参りをし、屋島で取材をしました。二泊三日の旅行でしたが、ミチコさんの要望で五回もうどんを食べました。取材旅行に付き合ってもらっているので、私もうどんを食べましたが、都内に帰ったあとはしばらくうどんを食べたくなかったです。



 書道の講義も卒業論文も最高評価をいただいたのは思い出深いです。試験はあまり受けたくありませんが、試験がなければ、もう一度大学生に戻りたいなーなんて考えています。

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