合コンに連れていって!
大学時代、付き合っている彼がいないときは、よく合コンに誘われました。私は人見知りしませんし、おしゃべりなので場を盛り上げることができます。お酒も大好きなので、たくさん合コンに行きました。気が合った男性がいたときは、お付き合いを始めたこともあります。
ある日、合コンではなく、部活の同じ学年の女子たちと飲んでいました。そこで知った衝撃の事実は……!
「この間の合コン、楽しかったねー」
フルートの子がそう言って、みんな頷いていたのです。この間の合コンとはなんでしょう。私は行っていません。
他の女の子たちは「この間の合コン」のお話を続けて、笑い合っています。御師匠も、アッキーも、マユちゃんも、みんなみんな嬉しそうに──。
「ちょっと待って。『この間の合コン』って何?」
隣に座っていたクラリネットの子に訊いてみます。クラの子は男の先輩人気ナンバーワンの、御師匠曰く「守ってあげたくなるようなタイプ」の可愛い子です。見た目とは裏腹に、付き合っている人をとっかえひっかえしている「魔性の女」なのですが。
「この前、みんなで合コン行ったんだよ」
「……私は誘われていないけど」
「だってあなた、今付き合っている彼がいるじゃないの。彼に悪いと思って誘わなかったんだよ」
確かにそのとき、私には付き合っている彼がいました。でも、一人だけ仲間外れなのは納得がいきません。クラの子に、さらに尋ねます。
「あなただって、付き合っている人がいたはずだけど?」
「この前別れたー。今はフリーだよ」
「え? 不倫?」
「フリーだってば!」
不倫をしていてもおかしくはない「魔性の女」だったので、思い切り聞き間違えました。御師匠も破局したばかりと聞いていましたが、何も私だけ、本当に部活で私一人だけ誘わないのは理不尽です。
「ずるいー! 今度はちゃんと私も誘ってね!」
「はいはい。わかりました」
クラの子に笑われながら、その夜は女子だけで飲んでいました。




