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偏愛霊  作者: 結城 からく


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第72話 目的地

 カーナビが目的に到着したことを告げる。

 俺は目を開けて欠伸をした。

 いつの間にか眠っていたようだ。


 すぐ横には黒い山がそびえ立っていた。

 明かりがなければ何も見えないほど鬱蒼としている。

 ここからだと頂上は見えなかった。

 目的がなければ入ろうとすらしないだろう。


 車は道路の脇で停止する。

 出発前に使った御札が残らず貼り替えられていた。

 移動中、美夜子の干渉で損耗したものを交換したのだろう。


 棺崎がコンビニのホットスナックを齧りながら言う。


「着いたよ」


「ありがとうございます」


 俺は少しふらつきながら車を降りる。

 体調は悪くない。

 しっかり休んだことで体力も回復していた。

 少し空腹を感じるくらいだった。


 缶コーヒーを飲む佐奈がじろりと睨んでくる。

 彼女は皮肉を込めてぼやいた。


「呑気に寝れて良いご身分ね」


「ごめん。疲れてたから」


「疲れてるのが自分だけだと思ってるの?」


「 あ、いや……本当にごめん」


 責められた俺は謝ることしかできない。

 佐奈は大きくため息を吐くと、ビニール袋を手渡してくる。

 中にはアメリカンドッグとおにぎりが入っていた。

 佐奈は面倒そうに目を逸らして言う。


「お腹空いてるでしょ」


「食べていいのか?」


「いらないなら別にいいけど」


「ほ、欲しい! 食べるっ! ありがとう!」


 受け取った俺はさっそくアメリカンドッグに食らいつく。

 すっかり冷めて美味しくないが、栄養を取って力が湧いてきた。

 続けておにぎりも口に放り込んであっという間に完食する。

 それを見計らって棺崎が手を打った。


「さて、ラストスパートだ、移動の前に荷物の整理をしておこう。多すぎてすべての道具は所持できないからね。厳選が必要だ」


「厳選の基準は何でしょうか!」


「身を守れる道具が最優先だね。それと武器だ。新村美夜子さんとの対決も想定しなければ」


 棺崎の指示で持っていく荷物の選別を始める。

 彼女の説明通り、結界や護符といったアイテムを重点的に確保する。

 今の美夜子が不意打ちを仕掛けてきた場合、備えがないと即死しかねないからだ。

 これはいくらあっても足りないくらいであった。

 最も重要な死体を燃やして埋めるための道具はそのまま俺が持っておく。


(いよいよだ……ここで美夜子を葬る)


 持参した着火剤を見た俺は、改めて決意を固めた。

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