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どうやら悪逆非道の女領主に転生したようです。目の前には将来私に復讐する子供達がいます。どうしよう  作者: 福 萬作
第二部

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ビフォーアフター

いいね、ブクマ、誤字脱字報告、感謝です!

 口は悪いし腹は黒いし威張り散らしていたあの小僧が――たった一ヶ月で背も少し伸び、声変わりも済ませた美しい低音ボイスに変化していた。

 

「ど、どどどどうした、ニーヴェル? そんなキャラじゃなかっただろ?」

「ええ、まあ、はい……その節は、数々のご無礼、誠に申し訳ございませんでした」


 動揺して問い掛ければ、 ニーヴェルも自覚があるようで気まずそうに目を逸らしながらも、きちんと頭を下げられる。

 

 最後に会った時は、無駄にキラキラして芝居掛かっていたというのに……しかし、今はどうだ。影のようにひっそりと佇む姿は、本当に執事のようだ。


「今はしっかりと心を入れ換えて、パーシー様に執事としての心構えを学んでおります。誠心誠意、お仕えさせて頂く所存ですので、お見守り頂ければ幸いですす」

「え、あ、はい……頑張って……」

 

 そうは返しつつ疑いの眼差しを向いてしまうは仕方がないだろう。混乱していると、パーシーがこっそりと囁いてくる。


「……私も預かり知らぬところで色々あったようで……。しかしながら、彼の言う通り、真面目に職務をこなしておりますのでご安心くださいませ」

「へ、へえ~…」


 何があったのかめちゃくちゃ気になるし納得できないけど、パーシーがいうなら一旦置いておこ。

 しっかし、ニーヴェルが執事とは……絶対騎士になりたがると思っていたのに、マジでどういう心境……?


「ミツバ()も頭のリボンが解れておりますよ。直しますのでこちらにおいでください」

「はーい!」

「……ああ、そうだ。ヨツバ様、先程探しておられました本ですが、ソファーの下に落ちておりました。お部屋に置いてありますので、ご確認ください」

「えっ、本当! 良かった~。ありがとう、ニーヴェル君!」

「いえ、お役に立てて光栄です」

(ヨツバ『様』にミツバ『様』ぁ!?)


 一旦置けなかった!


 あの選民意識激高小僧が平民二人を『様』付けして、めっちゃかしずいてる!? 

   

(一ヶ月だぞ、たった一ヶ月! 男子三日会わざるは刮目して見よとは言うけど、こんなに変わるもの!?)


 今度はどんなこと企んでるんだろ……?

 よくわからないけど、姉妹もニーヴェルと仲良くしているようだし……。

 うん、取り敢えずは様子見しとこ。

 

「――それで、トリスタン家からの手紙は……?」


 所変わって、この別荘の執務室。

 テーブルの向こうのパーシーと相対する。

 真っ直ぐ領主町に帰らず、ここに来たのはパーシーの指示だ。詳細は会ってからということで、何もわからないまま今に至る。

 

「届いておりません。ご指示の通り、再度トリスタン公爵家に手紙を出しました。今度は手紙が誰の手に渡ったか、最後まで確認させましたところ……」

「ところ?」

「……残念ですが、現当主の元にもエドガー様の元にも届かず、受け取った側から廃棄されていました」

「やっぱりかー……。他家当主の手紙破棄とかヤバ過ぎ……」


 前当主はまあ、ライニールとの確執があるからわかる。けど、受け取った側から破棄ってことはもうトリスタン家全身全霊一致団結で受け取り拒否じゃん。同じ公爵家だから為せる無礼な所業だけど、許されないからね普通……。

 

 そんなところに子供を連れていって幸せになれるのか甚だ不安……。


「しかし、ご安心ください、奥様。誠に勝手ながら私の伝を使い、前当主と秘密裏に接触に成功しました」


 なぁんて思ってたら、まさかの接触成功!?

 

「そ、そんなツテあったの?」

「私が誰の命令でお仕えするようになったかお忘れですか?」

「え……あ、そうか、前当主か……。そ、そういうやり方があるなら言ってよー! 無駄に労力使っちゃったじゃん」

「僭越ながら私の独断で動いてしまいましたことはお詫びいたします。……しかしながら、当主たるもの、見聞をそのまま受け取るのではなく、思考を巡らせ、より簡潔に、より良い方向性を探ることも重要です」


 そう言われてライニール様関連は全部前当主預かりになっていたことを思い出した。

 家のことだから~と深く考えずに現当主に手紙を出してしまった……。

 

「ぐうの音も出ない……」

「また一つ、学びを得ましたね。良いことです」

「ありがとう……。それで、前当主とはどんなやり取りを?」

「前当主ご夫婦は是非ともヨツバ様にお会いしたいとのこと。二、三日中には船でご来訪するとのこです」

「待って待って話が早い。ホーンバック家もそうだったけど、なんでみんなそんなにフットワーク軽いの? 貴族ってそんな暇だったっけ?」

「なんと失礼なことを……と言いたい所ですが、エドガー様方は既に引退してる身。現役の方々に比べたら余裕はありますからね。ホーンバック家は……たまたまだったのでしょう。奥様の日頃の行いのお陰でしょうね」

「……そうなのかなぁ……」


 なぁんかしっくり来ないけど……。別に悪い方向に働いているわけでもないし、いいか。


(……とりあえずトリスタン家の前当主は来る。なら、町の観光でもしながら待つとしますかね)

 

実はニーヴェルをこんなに登場させる予定はなかったりw

物語が勝手に動くとはこういうことか…。

 

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