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どうやら悪逆非道の女領主に転生したようです。目の前には将来私に復讐する子供達がいます。どうしよう  作者: 福 萬作
第二部

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心機一転

いいね、ブクマ、感謝です!

今回は短めです。後日書き直しするかも…


『女性たちに裏切られたトラウマから、女を憎み、弄ぶようになった第二公子フィリベルト・リンドブルム』――しかし、偶然出会ったトラヴィスから聞かされた『元凶の大公妃が処刑されている』という情報により、そんな未来は二度とやってこないことを知ってから数日。


 山間の町を出て、幾ばくか。車窓から流れる景色は雄大な大自然から人々の営みを感じられる開けた景色へと変わっていく。


 その様子をぼんやりと見ながら、私はフィリベルトとトラヴィスに思いを馳せていた。

 

 私に衝撃をもたらしたフィリベルトとトラヴィスとの別れは、あっさりとしたものだった。


 広場の片隅、焚き火の残り香が微かに漂う中、町の子供たちと無邪気に遊んでいたフィリベルトは、いつの間にか他の子供たちと一緒に夢の世界へ。

 

 くしゃっと笑った顔のままですぅすぅと寝息を立てていた彼の姿は、貴族だとか大公子だとかそんな肩書きなんか忘れるほど可愛らしい普通の子供だった。


『お別れの言葉も言えずに申し訳ありません』と、フィリベルトをそっと抱き上げ起こす気の無いトラヴィスに謝罪されたけど、「気にしないで。またいつか、お会いしましょう」と返すと、優しい笑顔を返された。迫力のある美人の優しい顔は、なんというか、うっとりさせられちゃうよね。

 

 ……私の知っている物語とは異なる道筋を辿っている。一体何が起きているのかと考えに考え抜いた先に行き着いた答えは。

 

(まあ、そんなこともあるか)


だった。


 確かに、話を聞いた当初は魂が飛び出るのではないかと思うほど驚いた。

 

 でもよくよく考えたら、既に攻略対象の一人ゼオン・フーリンは私が手を加えるまでもなく、リリーナと共に諸悪の根源(父親)の元から消えているのだ。


 私とは全く関係ない遠方で、とてつもなく大きく事が動いていたことにめっちゃ驚いてしまったけど、私自身が物語(運命)を変えてる身。

 

 きっとバタフライエフェクト? いや、そこまでは行かないかもだけど、私やゼオン周辺の様に何かが起きて、フィリベルトの運命も変わったのだろう。


(これから大公家跡取りとしてめっちゃ大変だろうなー。留学来れるのかね? ってかもしかして、まだ会ってない攻略対象の二人も、物語とは違う人生を歩んでいるのかな?)


 個人的に、関わってこないなら関わらなくてもいいかなぁなんて思って他二人の動向は調べていない。

 まあ、人生いろいろあるよね……なんて丸く治まった今回の出来事に一息吐く。

 けれどその後、山間の町を出る寸前に起きた、もう一つのイベントを思い出してしまって眉間に皺が寄る。

 

 それというのも、発端は私達を山間の町に誘った壮年の執事補佐だ。今回の長旅はこいつに始まり、こいつで終わった印象だ。

 

 出発当日、直前。執事補佐は何を思ったか――多分、妹の幸せそうな結婚を目の当たりにして、自分の気持ちに正直になることにしたのかもしれない――急に『俺、やっぱりここに残ります! シロナ! 俺と結婚してくれ!』と宣言。私の見送りに来てた女性の一人に告白しだしたのだ。

 ここで相手女性が暴走を止めてくれればいいものを、『なに言ってるのよ! アタシはバツイチよ? 子供だって……』と後ろ向きだがノリノリで返答。

 『シロナじゃなきゃ駄目だ!』『……嬉しい! 幸せにしてよね! バカっ!』と、まあ熱い熱いバカップル成就。私らの見送りだった町人たちの歓声が抱き合う二人を包む中、私達はこっそりと馬車を進めたのだった。


 空気読め。なんだあの虚しい出発は。私らの見送りがサブイベントと化してたぞ。


(――……あれ? 今さらだけどあの執事補佐、なーんか見たことある気がするな……? けっこー序盤に出てきてたような……)

「奥様、間もなくヴィスナに到着します」


 父親である村長と、その息子の元執事補佐。肩を抱き合って並ぶ姿に既視感を覚えたが、外から聞こえたイーロンの声で、その考えは吹っ飛んでしまう。


 思わず窓辺に寄る。

 丘を越えると、パッと開けた光景に思わず「おおっ……!」と感嘆の声が盛れた。


 キラキラとした湖面に広がる湖の裾に広がる町、ヴィスナ。東に位置する領主町ルーベから南西に位置している湖、フェイテ・ジェン()の畔にある港町だ。

 

 この巨大湖には複数の領地が隣接している上、湖の東側には海に繋がる大河が続いている。東の群島諸国の船がこの大河を使って交易をしに来ることもあり、バルカン公爵領地では、港町ヴィスナが交易の要所としてかなり重要な町とされていた。


 何故真っ直ぐ屋敷に帰還しないのか。

 実は、ここでとある人物たちと待ち合わせをしているからだ。

お読みいただき、ありがとうございました(*^^*)

ちなみに、執事補佐への既視感は今後のストーリーに影響しません。あくまでそんな人がいたなぁって思い出しただけです。





勘のいい人はお気づきかもしれませんが。

山間の町はゲームでヒロインの故郷。執事補佐が義父になる人です。


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