元OLのメモ
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そもそも、『クロ約』の攻略対象には、大きく分けて二つのタイプがいる。
まずは幼馴染み組と称される過去の約束タイプ。
こちらはヒロインと幼い頃に何らかの約束を交わしていた男の子たち。ケイレブ、ニーヴェルゼオンの三人。
彼らは過去の記憶や因縁をきっかけにストーリーが動き出し、過去に交わした“約束”を守ろうとする。ノスタルジックで、王道の恋愛ルートを辿る。
次に学園組と呼ばれる新たな約束タイプ。
こっちはヒロインが学園に入学してから出会う四人の男たちで、彼らとは「これから共に生きていこう」という未来の約束を交わしていく。
その中で≪破滅コンビ≫と呼ばれるフィリベルトとトラヴィスのストーリーはエロのグロが多めのエグいストーリーなのだ。
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フィリベルト・リンドブルム(ゲーム開始時18歳)
友好国リンドブルム大公国の第二公子。留学生。紫髪金目のイケメン。軽薄でチャラいモテ男。制服を着崩したり遅刻したりルールを守らない不良グループのトップ。
優等生のケイレブとは仲が悪く、会えば皮肉ばかり。ヒロインとは初対面でいきなりキスをしかけて、ビンタされる。でもそれを逆に面白がって、「おもしれー女」として興味を持つ。
性格は超がつくほどのクズ男。女好きで、誰にでも口説きをかける。そのくせ飽きたらすぐポイ捨て。しかし友好国との関係性を重んじた人々に隠蔽され、女たちは泣き寝入りしている。
天使のように優しく真っ直ぐなヒロインは、フィリベルトに弄ばれて傷ついていく女の子たちを見て放っておけなくなり、自分の身を犠牲にしてでも彼を変えようとする。
そんなフィリベルトとヒロインとの関係は『ホストと貢ぎ客』みたいな関係。18禁展開はないが、それに近いイベントばっかり。
しかしどんな目に遭わされても乗り越え、どんな時でも自分を見捨てなかった彼女に、少しずつ本心をさらけ出していく。
やがてヒロインは彼の闇を本人の口から語られる。
フィリベルトの闇。それは三人の女に裏切られたせい。
一人目…義母
フィリベルトを我が子のように育てた。フィリベルトも彼女を実母と思っていたが、13歳の頃に他家族がいない間に手を出される。
ニ人目…実母
義母の件があって、実母がいることを知る。
元々は公国貴族の妻。フィリベルトの父親に手を出されて望まぬ妊娠。生まれたばかりの彼を捨てる。親子関係も否定している。
義母の件があって助けを求めた彼を手酷く追い返した。
三人目…幼馴染み
幼馴染みを信じて義母とのことを告白したが「嘘つき」と決めつけて拒絶される。何故なら世間では義母は【夫の過ちを愛で収めた聖母】とされていたから信じてもらえなかった。
以上の三人が、彼を“女を弄ぶ男”に変えてしまった。
しかしヒロインがフィリベルトを信じることを選択したことにより、二人は晴れて恋人となる。
しかし心を通わせて間もなく、ラスボスのアマーリエ・バルカンとの婚約発表が。
婚約解消を望むも叶わず、これまでの行いのせいで誰にも助けて貰えず。しかもアマーリエの命令によって、ヒロインが危険な目に遭うように。
ヒロインを守り、ヒロインとの未来を守る為に、アマーリエを受け入れたと見せかけて殺害。
その罪をトラヴィスが被ったことによりフィリベルトは無罪となるが、忠臣が処刑されたショックとストレス負荷により記憶喪失&幼児退行。
「◯◯? どうして泣いてるの? ◯◯を泣かせる奴は僕が許さない。僕が◯◯を守るからね! 大好きだよ、◯◯!」※◯◯はヒロイン名
「私もよ、フィリベルト。たとえ世界中が貴方の敵になっても、私だけはあなたの味方でいる。あなたの未来は、私が守るから」
罪を共に背負うと誓ったヒロインと、ふたりで故郷の町で生きていく……。
これがフィリベルトのベストルート。
ちなみに「これがベスト!?」とファンの間で荒れた結果、トラヴィス生還、アマーリエを裁いてヒロインの故郷でのハッピーエンドが追加される。
尚、腐女子人気トップ。
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トラヴィス(ゲーム開始時28歳)
フィリベルトの従者兼世話係。ドリルの緑髪・紅眼の女装男子。妖艶すぎて美女と間違えられるほど。その美貌を活用して情報屋の真似事もしている。
フィリベルトには甘く、それ以外には塩。
所謂トランスジェンダー。幼い頃からドレスやメイクに憧れていた。しかし家族からは否定され、孤立。
十六歳の時に家が没落、父親はトラヴィスを変態貴族に売ろうとする。
それを助けたのが六歳のフィリベルト。「とても綺麗だね。本物の女性より魅力的だよ」の言葉と共に救われ、彼に忠誠を誓う。
徐々に堕落していくフィリベルトを心配して諌めようともしたが突き放されてばかり。ある夜悪酔いしたフィリベルトに闇落ちした理由を話され、自分が側を離れたために起きた悲劇を知り大ショック。以降は彼の行為を黙認。しかし彼を狙うような輩には裏で制裁を下す暗躍者となる。
ヒロインを最初は軽んじていたけれど、フィリベルトに段々認められていく様子に焦りを覚え、「フィリベルト様と仲良くなりたいなら、私より強く美しくなりなさい!」と宣戦布告。
ヒロインも「よくわからないけど、わかった!」と約束し、三人の奇妙な関係が始まる。
ヒロインとライバル関係になったり、頼りになる姉(兄)貴肌になるトラヴィス。しかしそれは罠で、良い人ポジションにいるように見せかけ、裏で手を回しヒロインを殺そうとする。
だがヒロインの機転とパワーで困難に乗り越える強さと、男バレしたときに偏見の目で見なかったヒロインが在りし日のフィリベルトと重なり、徐々に惹かれていく。
フィリベルトとヒロインの間で苦悩していたある日、フィリベルトと過去に婚約話があったアマーリエが登場。彼の素行の悪さを理由に婚約話は無くなっていたのだが、そのことの「平民と付き合うなんて許せない」とプライドを傷付けられたと逆恨みされる。
なんやかんやあって周囲に男バレし、偏見の目で見られたり学園内で起きた事件の犯人に仕立て上げられたトラヴィスはフィリベルトにすら拒否され孤立。そんな中、唯一ヒロインだけがトラヴィスを信じてくれた。
そのお陰で疑いは晴れ、三人の関係が修復しかけたところでフィリベルトがアマーリエに誘拐される(トラヴィス孤立はこれの布石だった)
ヒロインとトラヴィスが救出作戦を決行。無事に救い出し、アマーリエは隣国君主の血筋を誘拐した罪で死刑に。
その後だが、主を守れなかった責任を取らされ、フィリベルトの言葉も空しく従者を辞めさせられたトラヴィス。
一人何処かへ去ろうとするトラヴィスの前にヒロインが現れ、学校を辞めて一緒に旅に出ることを宣言。
「アタシを……アタシだけを愛して……もう誰も、アタシから離れないで……」
とヤンデレ満載の告白に、ヒロインは、
「……可愛い人。私がずっと傍にいるからね」
と答えて、約束を交わしてWヤンデレエンド。
なお、こちらもファンから顰蹙を買って、従者を続けられる上、フィリベルトの祝福を受けて結婚して幸せになるというよくあるハッピーエンドが追加された。
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とまぁ。
フィリベルトとトラヴィスのルートは、脚本家が変わったか取り憑かれたような鬱展開が繰り広げられる。
選択肢を一つでも間違えればバッドエンド直行、ヒロインの破滅を拝むことになるし、エンディングもハッピーとは言えない。
だからこそ、彼らはこう呼ばれているのだ。
クロ約の≪破滅コンビ≫ と。
お読みいただき、ありがとうございました!!




