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どうやら悪逆非道の女領主に転生したようです。目の前には将来私に復讐する子供達がいます。どうしよう  作者: 福 萬作
第二部

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変化

いいね、ブクマ、誤字脱字報告、ありがとうございます!


AI感想にて、冗長や描写が長いと言われまくってるけど、短くできない性分…文章レベルが上がったら直したい所存。


「……という事がありまして、ライニール様は一家を仲違いさせた張本人。そのような御方の血を引いている可能性がある者を、果たして受け入れてくださるかどうか……」

「…………………………」

 

 おっっっっっっっっもっっっっっっっ!!!!!!!!

 

 重い! 重すぎて絶句! ドン引いた!!


 トリスタン家、そんな過去があったのか……。創作上なら面白い話だったけど、リアルのことだとおぞましすぎる……。

 

 ってか、長女が末弟過激派だったり母親が息子を捨てられなかったのって本当に家族愛によるもの? 身内にも効く魅了だったらやばいよね。

言っちゃあ何だけど、ライニール故人で良かったわー。生きてたら今以上に問題起こされてたろうな。


「奥様、大丈夫ですか? ご気分を害されましたら申し訳ございません」

「う、うーん、まあ……。いい気分にはならないけど、私が聞いたことだしね。えっと……なんて言っていいかわからないけど、大変だったんだね……お疲れ様。よくぞパーシーはそんな男がいるここ(バルカン領)に来るのを了承したね?」

「エドガー様からのご命令でしたので……」

「忠実にも程がある。降嫁した花畑王女もいて大変だったろうに……」

「……否定はしませんが、今や奥様は立派に領主を努めてくだっておりますし、一種の人生経験だったと思っております」

「まだまだ駆け出し領主で迷惑かけてるけどね。そう言ってくれるの嬉しいな。ありがとう。さて、そうなると、どうしようか。私の中ではトリスタン公爵家に引き取ってもらうか、今まで通りの生活をしてもらうか、双方の話し合いのもと選んでもらうつもりだったんだけど……」

「奥様がそのようにお考えでしたら、一度エドガー様に報告してみます。しかし、ライニール様はトリスタン家での権利は無いので、あまり前向きな返答は期待できないやもしれません」

「う、うーん……そう、だね。ダメ元でお願いするよ」

「畏まりました」


*****


 と。

 そんなわけで、昨晩の内にトリスタン公爵家に使いを出しての返事待ち中である。


 どーりで息子死んだってのに葬式以降音沙汰無かった訳だ。

 

「ヨツバのライニール似の美貌なら一発だと思ってたけど、それが原因で離散めいた家が引き取ってくれる訳ないよなー。現当主に嫌われてるなら援助も望み薄だろうし……。まさか実家と仲悪いとはなぁ……」


 どうしたものかと万年筆でこめかみを軽くノックしながら呟く。


「……そういうアマーリエ(うち)の両親はどうなんだって話だけど……」


 アマーリエの両親こと国王と側妃とアマーリエの関係は悪くなかった。なかった筈なのだが、現在彼らとの交流はライニールの実家同様全く無い。


 おかしいな、我寵児ぞ? と、これを機に王女時代の記憶を思い出して見たら、新事実が発覚した。


 結論からいえば、うちの両親、優しい虐待する毒親でした。

 

 確かに、二人は娘を『あなたに似て』なんて言い合うほど愛情を示し、お互いの遺伝子を受け継いだ娘を可愛がっていた。


 ただ、それは我が子に対する愛情というより、可愛がる為だけの愛玩動物に対する扱いなのでは? と思える点が多々……。

 なんとアマーリエ、勉強を始めたのは十歳になってから! それも鬼のような形相の王妃が怒鳴り込んで来て『いい加減まともな教育させろ! 勉強しろ!』と説教を受けてからだ。それまでずーっと好きなことを好きなだけさせていたというのだから、この国王と側妃マジで信じられない。

 王妃様や忠臣たちの助けがいてくれて本当に助かった。お会いする機会があったら絶対お礼しよう。

  

 それから父王は変わらず娘を甘やかしていたが、キチンと政務に励むようになって会う機会は激減。母妃の方は、何故か途端に素っ気ない態度を取り、距離を置くようになる。

 一応、父王と一緒に交流しに来るけど猫可愛がることはなくなっていた。幼い王女は一転した生活や母親の態度に強いショックを受け、暫くは毎日のように泣き暮らしていたようだ。

 

 連れ立って来る二人は変わりなくイチャイチャラブラブしてたので、夫の関心を子供で買おうとしてた訳では無いと思うけど……母妃の考えマジでわからん。


 母はそんな感じだし、父は統治(仕事)で忙しいから会いに来れないのはわかるけど、可愛い我が子に手紙一つ送ってこないのはどうなんだろうね?


「うちもうちで難有りなんだもんなぁ。いざとなったら助けてもらおうと思ったけど、あんまり気が進まないなぁ~」


 まあ、死の瀬戸際に立たされたらそうも言ってられないだろうけどね。


「ってか、ゲームとの違いがちょこちょこあるな? 途中で母親から距離置かれてるし、トリスタン公爵家内部がゴタゴタしてるし……」

   

 そんなことも思っていると、部屋の扉がノックされる。

 執事が進捗状況確認しに来たかな? と思って入室を促すと、「失礼します」思いがけず返ってきたのは女の声だった。

 はて、誰が何用で来たのか……って、えっ!?


「きゃ、キャロライン!?」


 驚いて思わず立ち上がる。

 なんと、入ってきたのは数日前から長期休暇に入らせていた侍女長キャロラインだった!

 

「失礼致します、アマーリエ様。今お時間を頂いても宜しいでしょうか?」

「え?! ええ、ああ、うん、勿論……」


 え、な、なんか凄い丁寧な言葉遣いされてる……。

 動揺している私に対して、キャロラインはキリリとしまった表情に落ち着いた物腰で、私が許可を出しても無遠慮に突撃して来ないで扉の前で足を止めている。前はノックすらせず入ってきていたのに……。

 

「た、体調はもう大丈夫なの?」

「はい。長いことをお休みを頂いてしまい、申し訳ございません。今日より復帰させていただきます。それから……」

 

 そこまで言って、キャロラインは深々と頭を下げた。

 

「これまでのアマーリエ様に対する数々の非礼や無礼、心よりお詫び申し上げます。乳母としての身分やアマーリエ様の優しいお心に甘んじ、立場を弁えない行動に恥じ入るばかりでございます……本当に申し訳ございませんでした」


 お、おお……!? キャロラインが謝った……! 

 これはあれか、私が突き放したのを機に色々考えて、ようやく現実を見てくれたってことかな。侍女長らしい行動をしているのを初めて見たよ。ちょっと感動。

  

「い、いやいや、わかってくれたならそれでいいよ。キャロラインに甘えてたのはアマーリエ(こっち)だし、キャロラインはそれに応えてくれてたってだけでしょう、きっと。お互い様ってことにしてこの件は終わりにしよう」

「寛大なご配慮、ありがとうございます。これまでの失態はこれから挽回し、アマーリエ様のお側に控えるものとして相応しい人間になれるよう、精進致します」

「う、うん。なんか今までとの温度差が激しくて反応に困るな……。あ、そういえばケイレブの件はキャロラインのお陰だったんだし、キャロラインの知識を得られたら百人力だと思うんだよね。これから頼らせてもらうから、宜しくね」

「はい、こちらこそ何があっても誠心誠意、献身的に仕えさせていただきますので、末長く宜しくお願い致します」


 な、なんかパーシーが二人になったみたい……。これが本来の彼女の姿なのかな。

 本音を言えばもっと早く目覚めて隠し子の件を助けて欲しかったけど、仕方ないか。これからの生活で色々頼らせてもらうとしよう。


「ところで、アマーリエ様。もう長いことをお仕事をなさっているご様子。そろそろ休憩をしてはいかがでしょうか?」

「ん? ああ、そうだね……少し休もうかな」

「畏まりました。すぐにお茶の準備をして参ります。少々お待ちください」


 話が一段落したところでキャロラインが朗らかに笑いながら切り出してきた。確かに休憩するにはキリがいい頃合い。

 断る理由もないのでお願いすると、キャロラインはまた深々と一礼してから部屋を出ていった……かと思ったら、出る直前に足を止めて振り返る。


「一つ、忘れておりました。お休みの間、お見舞いの品をありがとうございました。寝込んでいたもので、会わず終いで申し訳ございません」


 彼女が言っているのは、グレッグ・フーリンとの話し合いで街に下りた際に買ったキウイのタルトのことだ。お見舞いに行った時、キャロラインは眠り込んでいたので控えていた侍女に渡したのだが、ちゃんと彼女の手に渡っていたようだ。


「いや、寝ていた所に行ったのは私だから気にしないで。ちゃんと受け取ってもらえたようでよかった」

「ありがとうございます。選んでくださったのはアマーリエ様だったとお聞きしたのですが、本当ですか?」

「ん? うん、レストランの店主に頼んで作っておいてもらったんだ。今この辺りではキウイが大人気なんだって」

「成程……。アマーリエ様のお心遣い、痛み入ります。では、お茶の準備をしてきますね」


 そう言ってにっこり笑い、キャロラインは今度こそ部屋を出ていった。


「新生キャロライン最初の仕事が、相変わらずお茶出しとは……」


 そこはブレないんだなと一人笑いしながら椅子に座り直す。

 あと少しの書類を前に、さあ終わらせるぞと万年筆を手に取った所で、再び部屋の扉がノックされた。


 キャロラインはさっき出てったばっかだし、今度こそ執事かな? 入室を促すと扉は開いたが、思っていた高さに顔がない。けれども視界の中に小さな頭が二つ見えたので自然と視線を下げた。


 果たして、そこに立っていたのはライニールの面影を感じさせる美しい笑顔のヨツバと、ヨツバの後ろに半身隠れて俯いているミツバだった。

 

お読みいただき、ありがとうございました(*^^*)

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