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どうやら悪逆非道の女領主に転生したようです。目の前には将来私に復讐する子供達がいます。どうしよう  作者: 福 萬作
第一部

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14/56

二人目の攻略対象者

再開しました。が、タツノオトシゴ級の執筆速度なので、広い心でお読みくださいm(_ _)m

 *****


 ニーヴェル・ライラック(ゲーム開始時十六歳)

 王都騎士団長を務めるライラック侯爵家の次男(養子)。濃紺の短髪と空色の鋭い瞳。


 滅多に笑顔を見せない見た目クール、でも実は熱血な人物。女性に対しては突き放したり厳しい言動が多いが、その実女性や弱いものは守らねばならない存在と思っている典型的な騎士。その考えと言動が一致せず、主人公から優しくしろとか素直になれとか女のコ相手に酷い! とか言われて、戸惑うギャップにやられているファンが多い……らしい。


 負けん気の強い性格だったからか、一番手酷くアマーリエから暴力を奮われていた(実は他の子を守るために、魔の手が自分に向くように仕向けていた)


『あの悪魔から彼女を守れなかった。俺は男だったのに、いつも守られてばかりだった。だから、俺は強くなりたかったんだ。だから騎士になった。今度こそ彼女を守る』と、彼はヨツバに対してストレートに恋愛感情を向けており、一途な性格が伺える。

 

 逃げ出した後、通りがかった騎士団に拾われ、そのまま騎士団に入団。悪魔ことアマーリエを殺すために、めきめきと力を付けて、その実力を買われて騎士団長の養子になったという過去がある。


 ケイレブとは違い、物語に実父のことが関係していないからか、ゲーム内で追求はされていない。ファンブックの情報によれば、ニーヴェルは『さる高貴な方の落し胤』とのこと(続編か追加コンテンツか別媒体で語られる予定だったのかな?)

 

 ちなみに実家であるヨーキリス男爵家はついでとばかりにアマーリエに滅ぼされ、領地は吸収されている。雑な扱いで可哀そ。


*****


 見えたのは一瞬だったが、先頭の子供がニーヴェルであることは間違いなかった。


 調査報告は未だ上がってきてないが、屋敷に来たときにパーシーが確認したところ、ニーヴェルの母親の名はヨランダ。ルーベの街に近い南西側にあるヨーキリス男爵領の令嬢とのこと。貴族名鑑を調べてみたら、現在二十七歳。なんとなく三十代半ばくらいかな〜って思ってたから、「マジか」って言ってしまったのは秘密だ。


 ちなみにニーヴェルも載っていた。現在の年は九歳。父親の名前は当然だが記載は無かった。


 父親が誰ともわからない子供を貴族名鑑に載せるって凄い度胸のような気がしたんだけど、同じ立場の子供他にもいたし、平民出身とか孤児を養子にとか普通に書いてあった。よく知らないけど、そんなもんなんだね。

  

 ニーヴェルとヨランダは、こちらの準備(時間稼ぎ)が終わるまで、ルーベの街にいる知り合いの家に滞在していると報告は受けているので、ニーヴェルがバルカン領にいることにおかしいなことはない。


 パッと見、これから皆で遊びに行こうとしている子供たちの集団だ。けど、なんだろう。平民の中に一人貴族が混ざってるのは、違和感というか、不安を覚える。


 ほら、人間って自分や周りと異なるタイプの人間を虐げようとするじゃん? 大多数で一人を甚振るじゃん? もしも、あの集団が一人立場の違うニーヴェルをイジメようとしている連中だったらどうしよう。


 実は前世での末の弟、ニーヴェルと同じくらいのときにイジメられてたんだよね(今思えばADHDだったんだろうなぁ。成長と共に落ち着いたけど)


 でも、ニーヴェルは普通そうだったし、身分関係なく、子供同士が分け隔てなく遊んでるだけだよね……。

 でも、気の所為かな、子供たちの雰囲気はあまり楽しそうには見えなかったような……。

 でも、流石に貴族相手に平民は手出ししないよね……?

 でも、子供って駄目って言われたこと平気でするし……。

 でも…………………………。


「あ!」


 答えの出せないデモデモをグルグルと頭の中で駆け巡らせていたが、ニーヴェルたちが曲がり角を曲がったのが見えて思わず声が出た。


 突然大声を出したもんだから、キャロラインの肩がビクウッ! と大きく跳ねる。

 

「あ、アマーリエ様、どう……」

「っ、ごめん! ちょっとストップ! 馬車を止めて!」

「アマーリエ様っ!?」


 弟とニーヴェルの姿が重なってしまった今、このまま帰ったら心配で心配で悶々としてそう気がするんだよね。そうするくらいなら、確認しに行った方がスッキリする。


 咄嗟に即断した私は、すぐさま行動を開始した。

 

 キャロラインの質問を遮り、窓から身を乗り出して御者に声を掛ける。御者のおじさんはそんな所から声をかけた私に「へっ?」とビックリしていたが、再度馬車を止めるように声を張り上げると、慌てて馬を止めた。


 少し慌ただしく馬車が止まる。本当なら御者が扉を開け、セットしてくれた小さな階段を使って降りるんだけど、そんなの待ってられない。自ら扉を開け、そのままの勢いで飛び降りた。


 「姫様!? 何を……姫様あああっ!?」と、背後からキャロラインの悲鳴が聞こえてきたが今は構ってられない。たかだか階段の二、三段目くらいのジャンプだったので着地は難なく成功。踵の低い靴を履いてきててよかった!


 実は馬車に並走していた馬上の護衛騎士が目を白黒させている。


「お、奥様っ……?」

「ごめん! 通行の邪魔にならないところに馬車を停めて待ってて!」

「は? え、ちょ、奥様!? どちらへ!!?」

「すぐ戻る! 馬車通行の邪魔だからよろしくねー!」

「姫様!? 姫様ー!! これ、護衛騎士! 何をしているのです! 早く姫様を……!!」


 走りの邪魔にならないよう両手でスカートをはしたなくない程度に摘み上げ、困惑している護衛騎士とキャロラインの怒声を背に、ニーヴェルの後を追っ掛けた。


お読みいただきありがとうございました!

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