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初級回復魔法しか使えないようにされた上に追放された法術士の私が、虹の聖女と呼ばれるまでの物語  作者: 衣谷強
虹の章

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第九十三話 アーテルの真実

アーテルの話に戸惑いを隠せないアルクス。

しかしアーテルの話は更なる衝撃を生んで……?


どうぞお楽しみください。

「んー。美味しいー。流石一国の王ともなるとものが違いますねー」

「あ、ありがとう、ございます……」


 先生、お茶とお菓子ですっかりくつろいじゃってる……。

 まだ聞きたい事たくさんあるのに……。


「あの、先生……。話の続きを……」

「お、そうだなー。どこまで話したか……。あ、『後払いの仮面』のところまでだったなー」

「は、はい」

「で、『後払いの仮面』でざっと五百年魔力を溜めたら、アドウェルサは消滅させられる事がわかったのでー、俺の仲間がアドウェルサを封印したんですよー」

「それが復活するのが、五百年後の今、というわけですな……」


 ブルブスさんの言葉に、国王様が頭を下げた。


「……すまぬブルブス。幼き頃より仕えていたお主にも言えぬ、王族だけの秘事であった……」

「……無理からぬ事でしょう。このような話、噂になるだけでも国が乱れます。それ故に誰にも言えぬ重責を負われていたのでしょう」

「ブルブス……」


 だからブルブスさんは先生の名前知らなかったんだ……。

 そして国王様が先生に頭を下げた意味もわかった。

 国を、ううん、世界を救うために、一人で五百年も待ってた人なんだもんね。


「まぁ復活は後一ヶ月くらいですねー。その間アドウェルサの影響で怪物が増えますけどー、まぁアルクスの魔吸石まきゅうせきで強化された冒険者なら勝てるでしょー」

「……それで先生はあんな風に言ってたんですね……」


 何もかもお見通しって感じなんだろうなぁ。

 ……何かちょっとやだな。

 先生が遠い人みたいに感じちゃう……。


「魔吸石……。確か儂の為にと冒険者組合から持ってきたのが、そんな名前であったな」

「はい。アルクスさんが作ったものだそうです」

「何と……。そなたは聖女と呼ぶに相応しい者であるな」

「そ、そんな! お、畏れ多いです……!」


 聖女って、女性法術士の最高位ですよね!?

 そんなの無理無理無理!


「ま、そんなわけでー、後は俺がアドウェルサを消滅させたら、世界の平和は守られるって話なわけですよー」

「……ありがとうございます……」

「何と申し上げて良いか……」


 あぁ、だから暇つぶしって言ってたんだ……。

 私に付与を教えるのも、魔吸石をみんなに広めたのも、アドウェルサをやっつけるまでの暇つぶし……。

 ……何だか胸が苦しい……。

 でもいい。

 これでアドウェルサをやっつけたら、先生も自由になれるんだから……。

 そしたら先生と一緒にご飯食べたり、話をしたり、何なら旅行にも行ったりして……!


「あ、そうだアルクス」

「は、はい!」

「俺、アドウェルサ倒したら死ぬから、墓作ってもらえるか?」


 ……え……?


「まー、五百年分の負荷が一気に来るから、もしかしたら骨も残らないかもしれないけどなー。その時は服でも何でも入れといてくれ」


 ……先生?

 何を言ってるの……?

読了ありがとうございます。


まぁ五百三十八歳なら大往生……。


次回もよろしくお願いいたします。

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