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鶏の香草焼き

まもなく春のフェアが始まろうとしている異世界キッチン。

冬のフェアもまもなく終わりという事もあり、いつもよりよく出ている。

その一方で定番メニューもよく売れている。

あくまでも料理を楽しんで欲しいというのはアヌークらしさである。

「この辺りでしょうか、噂の料理屋というのは」

「聞いた話では美味しい鶏肉料理が食べられるとか」

「それはぜひ食べてみなければいけませんね」

「む？ここみたいですね、では」

彼の名はクリストフ、この国で騎士団に所属する予定の青年だ。

テストを受けた際に国の騎士からここの話を聞いたという。

「ふむ、防犯はしっかりされていますね」

「中は暖かい、これもキカイなのでしょうか」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人です」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いや、吸いません」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「彼女どこかで見たような…気のせいかな？」

そうして席に案内される。

そこで説明を一通り受ける。

説明は問題なく理解した様子。

エトは一旦下がり別の注文を受けに行く。

「そういえば水はセルフでしたね、さて」

「ここにコップを当てて…しかし凄いですね」

「あとは氷と手拭き、それにしてもこの設備だけで凄いと分かりますね」

「さて、注文を決めますか、メニューは豊富にあるんですね」

「鶏肉料理…ふむ、これにしますか」

「確かこのボタンで」

ボタンを鳴らして店員を呼ぶ。

少しして由菜が出てくる。

「お待たせしました、ご注文はお決まりですか」

「ええ、これとこれ、あとライスとセットドリンクを」

「かしこまりました、デザートは食後でよろしいですか」

「はい、構いませんよ」

「かしこまりました、ではオーダーを復唱させていただきますね」

「鶏の香草焼きをライスと抹茶サンデーとドリンクバーです！」

「オーダー！鶏の香草焼きをライスと抹茶サンデーとドリンクバーです！」

「喜んで！」

「では少々お待ちください」

「料理人は奥なんですね、まあ当然ですか」

「さて、飲み物を選びに行きますか」

そうしてドリンクバーに飲み物を選びに行く。

一通り見て選んだのはいちごミルクだった。

こういうのも置いてあるのがアヌークのチョイスである。

子供にはフルーツ牛乳系の飲み物は人気でもある。

「ん、これは美味しいですね、甘いミルクですか」

「味からして果実の味がついているみたいですね」

「こういう飲み物があるとは興味深い」

「うん、実に美味しいですね」

そうしているうちに鶏の香草焼きとライスが運ばれてくる。

香草で香ばしく焼き上げたいい香りのする鶏料理だ。

「お待たせしました、鶏の香草焼きとライスになります」

「どうも」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、ではいただきますか」

鶏の香草焼き、一口サイズにカットした鶏肉を香草で焼き上げたもの。

皮の部分はカリッと仕上がっているのも美味しさのポイントだ。

一口サイズなので食べやすく、子供にも人気のメニューでもある。

肉類のメニューは大体は子供にも人気のものが多い。

鶏の香草焼きに使っている香草は香りはもちろん食べやすい味のものがメイン。

また香りだけでも食欲が刺激されるので、どんどん食べられる。

鶏肉料理は比較的安く提供出来るのもメリットと言える。

アヌーク曰く豚肉と鶏肉は安い割に栄養価が高いという。

そのためこの店でも鶏肉料理と豚肉料理は安い部類になる。

値段の割に栄養価に優れる豚肉と鶏肉は肉料理としても優秀なんだとか。

「ん、これは美味しいですね、香草の香りがとてもしっかりしている」

「それに皮の部分がカリカリでこれも実に食べやすいです」

「それにライスにもよく合いますね、どんどん食べられる」

「鶏肉がこんな美味しくなるとは凄いです」

「鶏肉料理が好きな自分からしたら、これはまさに至福の味ですね」

「肉の脂もしっかりと美味しくて、噛むほどに溢れてくる」

「本当に美味しい、これは実に素晴らしい」

そうしているうちに鶏の香草焼きとライスを完食する。

あとはデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「ええ、お願いします」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

そうして器を下げて奥に下がる。

それから少しして抹茶サンデーが運ばれてくる。

「お待たせしました、抹茶サンデーになります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「ではいただきますか」

抹茶サンデー、冬のフェアメニューのデザートの一つ。

フルーツやクリームに抹茶ソースをかけたものである。

「ん、これは美味しいですね、果実の味がしっかりしている」

「あとこのクリームというのも美味しいし、抹茶ソースも美味しいです」

「こういう甘味が安く食べられるのは実にいいですね」

そうしているうちに抹茶サンデーも完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「すみません、支払いをお願いします」

「はい、鶏の香草焼きとライス、抹茶サンデーとドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と銅貨二枚になります」

「ではこれで」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけマシタか」

「あなたが料理人ですか」

「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」

「とても美味しかったですよ」

「それは何よりデス」

「鶏肉をあんなに美味しく調理するというのは凄いですね」

「香りも料理の大切なポイントデスから」

「あと香草というのはハーブの事でいいんですよね」

「そうデスよ、それであっていマス」

「よかった、でもあそこまで香ばしく仕上げられるのは素晴らしいですね」

「焼き加減なんかもきちんと考えていマスから」

「焼き加減までですか」

「美味しい焼き加減というのはあるものなのデス」

「勉強になります」

「こっちでも料理自体は豊富みたいデスが、味付けに関しては意外と言われマス」

「確かにここは味付けがとても豊富ではあると感じましたね」

「料理は味付けさえしっかりしていれば意外とイケるものデスよ」

「ふむ、おっと、そろそろ行きます、また食べに来ますね」

「味付けがシンプルなものが多いのかな」

「恐らく調味料の種類の違いだと思いマス」

そうしてクリストフは満足そうに帰っていった。

春から彼は騎士団の新米騎士になる予定だという。

鶏肉料理は人気メニューの一つでもある。