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二種のチーズグラタン

年末年始の予定も確認し、今は通常営業をしている異世界キッチン。

そんな年末年始は家族連れや子供連れが増える事を想定する。

スタッフは減っても回せるはずだとアヌークは言うので、問題はないのだろう。

とはいえ年末年始は家族で過ごす時間も与えてやりたいとは考える。

「この辺りですか、噂の料理屋は」

「なんでも美味しい料理が安く食べられるとか」

「それならぜひとも確認しないといけませんね」

「む？ここですね、行きましょう」

彼の名はデール、とある貴族の付き人をしている。

主に無理難題を押し付けられたらしく、それを求めてきたようだが。

「ふむ、防犯はしっかりしていますね」

「中は暖かい、これは凄いですね、それに知らないキカイが多い」

「ここならお嬢様を満足させられるものに出会えそうです」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人ですよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸いません」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「給仕の方達はみんなお若いですね」

そうして席に案内される。

そこで説明を一通り受ける。

説明は問題なく理解した様子。

リーザは一旦下がり別の注文を受けに行く。

「そういえば水はセルフだと言っていましたね」

「ここにコップを押し当てて、それにしてもこのキカイはどんな仕組みなのか」

「あとは氷と手拭きですね、それにしても大したものです」

「さて、注文を決めてしまいますか」

「ふむ、何か喜ばせられそうなもの…一応食べてからにしますか」

「持ち帰りも出来るようですね、む？これは…これにしますか」

「確かこのボタンで」

ボタンを鳴らして店員を呼ぶ。

少ししてアレッシオが出てくる。

「お待たせしました、ご注文はお決まりですか」

「これとセットドリンクをお願いします、あと持ち帰りも一つお願いしていいですか」

「かしこまりました、ではオーダーを復唱させていただきます」

「二種のチーズグラタンを持ち帰りと店内で一つとドリンクバーです！」

「オーダー！二種のチーズグラタンを持ち帰りと店内で一つとドリンクバーです！」

「喜んで！」

「では少々お待ちください」

「さて、飲み物を選びに行きますか」

そうしてドリンクバーに飲み物を選びに行く。

一通り見て選んだものは紅茶だった。

やはり貴族は紅茶なのか。

ちなみにレモンティーの模様。

「ふむ、この紅茶は美味しいですね」

「この酸味のある液体を入れると美味しさが増します」

「これは果実の汁のようですね」

「こちらも探してみますか」

そうしていると二種のチーズグラタンが運ばれてくる。

カマンベールチーズとパルミジャーノレッジャーノを使ったチーズグラタンだ。

「お待たせしました、二種のチーズグラタンになります」

「どうも」

「熱いので気をつけてくださいね」

「はい、分かりました」

「あとこちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、ではいただきますか」

二種のチーズグラタン、カマンベールチーズとパルミジャーノレッジャーノを使ったグラタン。

冬のフェアメニューの一つであり、持ち帰りも可能なメニュー。

チーズは本場イタリアから厳選したものを選んである。

定番メニューのグラタンとは違った豪華仕様だ。

ちなみに定番のグラタンはエビグラタンとマカロニグラタンがある。

この二種のチーズグラタンはチーズに加えペンネを使ってあるのも特徴だ。

アラビアータなどはエリコイダーリなので、そこも違いだと言える。

グラタンにはペンネ、これはアヌークが一番ソースに絡むものをチョイスしたからでもある。

パスタとは総称でありペンネもスパゲッティもマカロニも全てパスタである。

ペンネはソースがよく絡むためアラビアータなどにもおすすめだ。

「ん、これは美味しいですね、熱いですがそれでもとても濃い味がする」

「チーズと言っていましたが、チーズはそんなに苦労せずに手に入りますね」

「ここ最近はチーズも普及し始めて平民でも手に入りやすくなっていますし」

「それにしてもここまで濃厚なチーズの味とは」

「これは焼いて作られているようですが、屋敷でも作れるでしょうか」

「この細長いものは小麦粉から作られた食品のようですね」

「とりあえずこれなら満足させられそうです、ただ限定メニューなのでその後も考えねば」

そうしているうちに二種のチーズグラタンを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「お支払いをお願いします」

「はい、二種のチーズグラタンを持ち帰りと店内、ドリンクバーで銀貨一枚と銅貨五枚になります」

「ではこれでお願いします」

「銀貨二枚いただきます、お釣りの銅貨五枚になります」

「はい、確かに」

「満足していただけマシタか」

「あなたがシェフですか」

「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークといいマス」

「とても美味しかったです、それとあれと似たような定番メニューはありますか」

「一応ありマスが」

「なら安心ですね、これで怒られずに済みそうです」

「あと持ち帰りの二種のチーズグラタンデス」

「ああ、どうも」

「冷めたら温めていただければ、大丈夫デスよ」

「温めるですか」

「聞いた話では電子レンジのような機械は普及していると聞いていマスから」

「ああ、そういう事ですか、分かりました」

「グラタンだと大体４分ぐらいで美味しくなりマスよ」

「ありがとうございます」

「出来れば冷めないうちに食べてクダサイね」

「はい、ではそろそろ失礼いたします」

「服からして執事とかかな」

「だと思いマス」

こうしてデールは帰っていった。

持ち帰ったグラタンは主人のお嬢様にとても好評だったという。

どこで手に入れてきたのか散々聞かれたのは言うまでもない。