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山盛りフライドポテト

エトとイクスラも店の仕事に馴染み始めた様子。

最近ではそんな小さな店員が人気にもなっているとか。

看板娘はリーザとエトになっているようだ。

そんな今日は小さなお客さんがやってきたようだ。

「この辺りだよね、噂の料理屋って」

「お小遣いを好きにしていいって言うから、来たんだけど…」

「裏通りはやっぱり違うや」

「あ、ここかな？入ってみよう」

彼の名はジャクソン、この街に住む平民の子供だ。

お小遣いをもらったので友達に聞いたこの店に来たそうで。

「扉が二重になってる、ベルも鳴るんだ」

「うわ、中は涼しいな、それに見た事ないキカイもたくさんある」

「本当に安いのかな…でも引き下がれないし、行こう」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「あ、えっと、一人…です」

「かしこまりました、おタバコは…流石に吸わないよね、禁煙席にご案内します」

「あ、うん」

そうして席に案内される。

そこで一通りの説明を受ける。

説明はきちんと理解してくれた様子。

リーザは一旦奥に下がり他の注文を受けに行く。

「えっと、水は自分で取りに行くんだよね、行かなきゃ」

「ここにコップを押し当てて…ここのキカイは凄いんだなぁ」

「あとは手拭きと氷…こんなに氷があるなんて、凄いや」

「えっと、注文は…銅貨５枚で…」

「うーん、どれも５枚以上するんだな…お店の人に聞いてみようか」

「確かこのボタンで…」

ボタンを押して店員を呼ぶ。

少しして由菜が出てくる。

「お待たせしました、ご注文はお決まりですか」

「えっと、銅貨５枚で食べられるものって何かある？」

「銅貨５枚ですか、なら山盛りフライドポテトとドリンクバーはどうですか？」

「えっと、それでいくらになるの？」

「銅貨４枚です」

「ならそれにする」

「かしこまりました、ではオーダーを復唱させていただきます」

「山盛りフライドポテトとドリンクバーです！」

「オーダー！山盛りフライドポテトとドリンクバーです！」

「喜んで！」

「では少々お待ちください」

「料理する人は奥なんだ、まあそうだけど」

「えっと、飲み物を取りに行かなきゃ」

そんなわけでドリンクバーに飲み物を見に行く。

一通り見て選んだものはミックスジュースだった。

子供はやはりジュースが好きなのだろう。

特別な感じもあるからこそなのかもしれない。

「ん、これ美味しい…」

「こんな美味しいジュースはじめてだ…」

「家で飲むジュースよりずっと美味しい…」

「ここはやっぱり凄いなぁ」

そうしていると山盛りフライドポテトが運ばれてくる。

太めにカットしたフライドポテトの山盛りのメニューだ。

「お待たせしました、山盛りフライドポテトです」

「うわ、多いね、これで銅貨３枚なの」

「お好みでこちらのケチャップとマヨネーズをお使いください、あと熱いのでご注意を」

「うん、分かった」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「それじゃ食べようかな」

山盛りフライドポテト、太切りのフライドポテトにケチャップとマヨネーズがついたもの。

量が少なめのものも銅貨１枚安い値段で置いている。

使っているじゃがいもはアメリカ産のもので、アメリカらしい作りにしている。

料理によって使う産地が異なるのはアヌークの目利きによるもの。

なので同じ食材でも料理によって産地が変わるのがこの店の特徴だ。

アメリカ産のじゃがいもはフライドポテトにするには最適だとアヌークは言う。

食材に関してはそういった自分の目と足で見て選んだものを直接交渉して仕入れている。

だからこそどこの国が産地という事にはこだわりがあるのだ。

この料理にはこの国の食材、そういった選び方こそがアヌークのやり方。

外国の食材でも料理に適しているなら使うのがアヌーク流である。

ちなみにポテトフライとフライドポテトは違う。

ポテトフライは花びら状にカットしたフライ、フライドポテトは棒状にカットしたものである。

「ん、美味しい…凄いホクホクしてる」

「じゃがいもなのにこんなに美味しいんだ…」

「でもじゃがいもって北の大陸のものなのに、よくこんなに用意出来るね」

「このケチャップとマヨネーズにつけて…これも美味しい、凄く美味しい」

「ケチャップとマヨネーズってソース、凄く美味しい、凄いや、言われた通りだ」

「これならこれだけあっても食べ切れそう、美味しい」

そんなこんなで山盛りフライドポテトを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「すみません、支払いをお願いします」

「はい、山盛りフライドポテトとドリンクバーで銅貨４枚になります」

「これで」

「ちょうどいただきます」

「満足してくれマシタか、小さなお客サン」

「お姉さんがシェフなの」

「ハイ、オーナー兼シェフのアヌークといいマス、あと二人シェフはいマスよ」

「凄く美味しかったよ、あんな美味しいなんて凄いね」

「あれは簡単なメニューデスから」

「本格的な料理は僕には高いけど、あれぐらいなら嬉しいよ」

「もし機会があれば親と一緒に食べに来てクダサイね」

「うん、そうする」

「その時は楽しみにしていマスね」

「うん、それじゃそろそろ帰らなきゃ、今度は親と一緒に来るね」

「ああいうお客サンもいいデスね」

「微笑ましいよね」

そうしてジャクソンは帰っていった。

それから数日後親と一緒に食べに来たという。

子供でも払えるものも用意するのがファミレスである。