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ポセット

異世界キッチンもすっかり知れ渡った様子。

その評判は他国にも知れ渡り、わざわざ食べに来るお客もいるようで。

そんな今日の開店前、エトルセシア姫と従者のイクスラが訪ねてくる。

何やら国の方で決まった事があり、それを伝えておくために来たそうだが。


「今日もたくさんお客が来そうデスね」


「すっかり有名になりましたよね、ここ」


「最初のお客さんのあの双子のおかげかな」


「でもキッチンを私とアヌークだけでよく回せてるよね」


すると出勤してきたリーザが人を連れている。


どうやら休みの日によく食べに来るエトルセシア姫と従者のイクスラのようだ。


「おはよー、なんかお客さんが来てたよ」


「おや、確かエトルセシア姫とイクスラサン、どうされマシタか」


「少し伝える事があるのよ」


「国の方で決まった事でして、一応お伝えしておこうと」


「国の方で?何かあるんですか?」


「あたしは何も知らないけど」


どうやら国で決まった事があるので、それを伝えに来たらしい。

とりあえず簡単な食べ物を出して話を聞く事に。


「とりあえず話は聞きマス、あとポセットデス」


「あら、どうも」


「すみません」


「それで国の方で決まった事ってなんなの?」


「実はね、新しい通貨が発行される事が決まったのよ」


「新しい通貨?つまり通貨が増えるんだよね?」


「はい、そうなります」


「だとしたら貨幣の価値も変わるね、具体的にどう変わるの?」


「まず新たに発行される通貨は青銅貨と白金貨よ」


「ふむ、だとしたら最安の通貨と最高金額の通貨が新たに増える、でよろしいデスか」


「はい、青銅貨は今の銅貨の価値になり、銅貨が青銅貨五枚分の価値に変更されます」


「それで金貨が銀貨五枚分の価値になって、白金貨が今の金貨の価値になるわ」


「なるほど、だとしたら青銅貨は百円、銅貨が五百円になるのか」


「それで金貨が五千円に格下げ、白金貨が新しい一万円か」


「そっちの国の通貨価値にするとそうなの?」


「ハイ、だとしたらメニューも改訂しないといけマセンね」


「それもあるだろうと思って一足早くお伝えに参ったのです」


「ありがとうね、心配もしてくれて」


「ここの料理は美味しいもの、対応出来なかったら困るから」


「とりあえず改訂版のメニューを作りマスか」


「今翻訳してるやつも合わせて使えるよね?」


「使えると思いマスよ」


「翻訳?」


「こちらの言葉に合わせたメニューを作っているのデスよ」


「つまり読めないあの言語じゃなくて、こっちの言葉でメニューを作ってるのね」


「はい、完成にはもう少しかかりそうですけど」


「ですがそれは助かりますね、お客としても嬉しいかと」


「それはそうとこのポセットっていうの?美味しいわね」


「成分は解析しました、これなら普段でも作れそうですよ」


「でかしたわ!イクスラ!」


ポセット、生クリームと砂糖、レモンだけで作れる簡単なイギリスのデザートだ。

温めた生クリームと砂糖にレモンを入れて冷やすだけの簡単なもの。


レモンのおかげでいい具合に固まってくれるのだ。

昔から伝わるデザートで、当時は病人などでも食べやすいようにも作られていた。


王侯貴族などになるとこれにもこだわりが入るようになる。

シンプルにして奥が深いデザート、それがポセットである。


「それじゃ伝える事は伝えたから」


「ハイ、助かりマシタ」


「ありがとう、お姫様」


「さて、それじゃ本題ね、姫とイクスラもここで働くわよ」


「姫様が社会勉強だと言って国王陛下をねじ伏せたのです、国王様も勝てなかったようで」


「…いいの?」


「募集はしていないのデスが…まあ国から言われたなら仕方ないデスね」


「いいんだ、アヌークって意外と押しに弱いのかな」


「とりあえず姫様はホール、イクスラサンはキッチンをお願いしマス」


「了解よ!それじゃ制服に着替えるわよ!」


「かしこまりました」


「とりあえず案内するね」


「よかったの?」


「私自身そういう国の出身なので、断るわけにもいかないのデス」


「イギリス人の性か、大変だね」


そんなこんなで新たな通貨発行の話を聞いた。

それに合わせてメニューも改訂する事に。


そして社会勉強という名目でエトルセシア姫とイクスラもスタッフになる事に。


国王をねじ伏せるお姫様怖い。

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