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ソーセージの盛り合わせ

異世界キッチンは相変わらず客で賑わう初夏の日。

一部の持ち帰りなども好評のようで、ケーキなどを持ち帰る客も増えている。

そんな今日のお客は何やら事情がある様子。

そのお客とは。

「この辺りだよね、噂の料理屋って」

「持ち帰りもやってるって聞いたけど…」

「ご飯も食べていいって言ってたから、それも含めてだね」

「あ、ここかな、入ってみよう」

彼の名はロディ、この街に住む平民の子供だ。

今回は母親の誕生日という事らしく、ケーキを頼みに来たらしい。

「二重扉にベル、清潔にしてるんだな」

「中は涼しい…音楽も流れてるしキカイもたくさんある」

「本当に大丈夫かな…」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「うわっ、えっと、一人です」

「かしこまりました、おタバコは…流石に吸わないよね？」

「あ、でも僕ぐらいの背丈でも大人の人はいるから、僕は吸わないけど」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「あ、うん、綺麗なお姉さんだ…」

そうして席に案内される。

そこで説明を一通り受ける。

説明は一応は理解してくれた様子。

由菜は一旦下がり他の注文を受けに行く。

「えっと、水はここにコップを…これだけで飲み水が出るなんて凄いな」

「あとは手拭きと氷…届かない」

「手拭きかい？はい、どうぞ、あと氷も入れてあげるよ」

「あ、ありがとう」

「これでいいかな、届かなかったら周りの人に頼むといいよ」

「分かりました、さて、注文を決めないと」

「お母さんの分のケーキと、僕のお昼ご飯、使えるのは銀貨一枚か」

「お店の人に聞いた方がいいかな、確かこのボタンで…」

ボタンを押して店員を呼ぶ。

少ししてアレッシオが出てくる。

「お待たせしました、ご注文はお決まりですか」

「えっと、銀貨一枚で食べられるご飯と持ち帰りが出来るケーキなんだけど」

「なるほど、なら食事はこれなんかどうかな」

「これってお肉？」

「うん、ソーセージの盛り合わせ、これならドリンクバーをつけても銅貨四枚だよ」

「ならご飯はそれにする」

「分かりました、あと持ち帰りのケーキだね、この中から好きなのを選んで」

「うーん…どれにしようかな」

「値段はどれも銅貨三枚だから好きなのでいいよ」

「そういえば前にお土産でもらったチョコレートをまた食べたいって…ならこれにする」

「かしこまりました、ではオーダーを復唱させていただきますね」

「ソーセージの盛り合わせとドリンクバー、持ち帰りでグラサージュショコラです！」

「オーダー！ソーセージの盛り合わせドリンクバー、持ち帰りでグラサージュショコラです！」

「喜んで！」

「では少々お待ちください」

「料理をする人は奥なんだね、まあそうか」

「さて、飲み物を取りに行かなきゃ」

そうしてドリンクバーに飲み物を取りに行く。

近くの人に頼んで選んだのはミックスジュースだった。

やはり子供だからなのか、ジュースが好きな様子。

ちなみにミックスジュースは七種類ぐらいの果物のミックスジュースだ。

「ん、美味しい…このジュース凄く美味しいや」

「いつも飲んでるのとは違う、いろんな味がするね」

「ミックスって言ってたから混ぜてあるのかな」

「ジュースでもこんなに美味しいなんて凄いなぁ」

そうしているとソーセージの盛り合わせが運ばれてくる。

五種類のソーセージ盛り合わせで、ケチャップとマヨネーズが添えてある。

「お待たせしました、ソーセージの盛り合わせです」

「あ、ありがとう」

「持ち帰りのケーキは会計の時にお渡ししますね」

「あ、はい」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「それじゃ食べようかな」

ソーセージの盛り合わせ、ここでは五種類のソーセージを焼いて提供している。

普通のソーセージとハーブソーセージにチーズソーセージ。

それとチョリソーとカレーソーセージだ。

チョリソーとカレーソーセージは子供でも食べやすいように辛さは抑えめである。

ちなみにここのソーセージは基本的にはタイプに合わせて異なる国から仕入れている。

普通のソーセージはドイツだし、カレーソーセージやチョリソーは日本。

フランクフルトソーセージもドイツだし、ボロニアソーセージはイタリアなど。

そのためソーセージの盛り合わせだけでも国際的な味が楽しめる。

そんなソーセージは信頼する肉屋に任せている。

多様な国のソーセージを一つに盛り合わせる辺り、世界の味を知るアヌークらしさだ。

美味しい食材は評判と信頼のある国を選ぶ。

それがアヌークの食材の選び方である。

ちなみにソーセージに使われている亜硝酸ナトリウムは防腐剤の役割も果たしている。

これが使われていないとすぐに駄目になってしまうのがソーセージのポイントである。

「ん、美味しい…これお肉だよね」

「お肉は食べた事があるけど、これははじめてかも」

「ソーセージって言ってたけど、見たのははじめてだね」

「お肉屋さんでも見るのは普通のお肉ばかりだし…」

「このソースを付けて食べても美味しいし、辛いのもあるけど僕でも食べやすい」

「これで銅貨三枚なんて凄いなぁ」

そうしているうちにソーセージの盛り合わせを完食する。

飲み物を飲み干しあとは支払いを済ませる事に。

「すみません、お金を払いたいんですけど」

「はい、えっと、ソーセージの盛り合わせとドリンクバー、グラサージュショコラですね」

「全部で銅貨七枚になります」

「えっとこれで」

「銀貨一枚いただきます、お釣りの銅貨三枚になります」

「ありがとう」

「持ち帰りのグラサージュショコラデス」

「あ、うん、お姉さんが料理人なの？」

「ハイ、シェフ兼オーナーのアヌークデス」

「とても美味しかったです」

「それは何よりデス」

「あの、これはなんですか」

「ガチャガチャデスね、銅貨一枚で回せマスが、回してみマスか」

「じゃあ一度だけ、ここに銅貨をセットするのかな」

「ハイ、そしたらそのつまみを回してクダサイ」

「うん、これは？」

「カプセルデスね、回すと開けられマスよ」

「こうかな、中はおもちゃなんだ」

「ハイ、それは持って帰っていいデスよ」

「ありがとう」

「あとケーキは日持ちしないので早めに食べてクダサイね」

「分かりました、じゃあ僕は帰りますね、今度はお母さんも連れてきます」

「いい子みたいデスネ」

「ケーキだからお誕生日とかかな、いい子だね」

こうしてロディは帰っていった。

ケーキはきちんと保存して、夜に母親に渡したらしい。

保存技術は普及こそしているが、最新のものはやはり高いらしい。