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五目チャーハン

すっかり秋本番になり王都にも涼しい風が拭き始めた。

そんな中店でも秋のフェアメニューが順調に売れている。

また宅配やテイクアウトも確実に注文数は増えてきている。

宅配とテイクアウトは汁物以外は大体が対応している事は強みだ。


「今回の届け先はどこかしら」


「9番街のグレースさんの家ですね」


「9番街ね、そんなに遠くはないかしら」


「はい、行きますよ」


今回の届け先は9番街。


そんなに遠くはないのでさっさと届けてしまう事に。


「今回の注文は何かしら」


「五目チャーハンですね」


「五目チャーハン?」


「はい、いろんな具材を使ったチャーハンの事ですね」


「つまり五種類の具材とかそういう事なの?」


「五目とは言いますが、五種類でなくてもいいみたいですね」


「つまり複数の具材を使っていれば、それが五目チャーハンなのね」


「ええ、三種類でも五目チャーハンみたいな感じらしいです」


「よく分からない話ね、五目ってつまり複数の具材を使ってるって意味なのね」


「そうみたいです、多くても少なくても五目らしいですから」


「普通のチャーハンとは何が違うのかしら」


「五目チャーハンはつまりは具をたくさん使ってるという意味らしいですね」


「要するに贅沢なチャーハンって意味でいいの?」


「はい、普通のチャーハンは炒め飯の事なので、シンプルに卵だけとかでもいいので」


「五目っていうのは具だくさんチャーハンですっていう意味になるのね」


「ええ、まあシンプルなチャーハンは卵とネギだけとかありますし」


「そういう意味での使い分けなのね」


「まあ五目というのはあくまでも具だくさんという意味の言葉らしいですからね」


「そして実際の数は五種類でなくてもいいという事なのね」


「そうみたいです、あくまでも具だくさんアピールを指す言葉なので」


「でも五目なのに五種類より多くても少なくてもいいのは、なんというか雑ね」


「あくまでも具だくさんであれば、種類は三種類でも七種類でもいいんですよ」


「三種類で具だくさんって言えるのかしら」


「そこはシェフの感覚次第じゃないかなとは思いますよ」


「本当によく分からない話ね、五目なのに五種類じゃなくてもいいとか」


「あくまでも具だくさんであるという事をアピールしてるに過ぎませんからね」


「こっちかしら?」


「三つ目の道を東ですね」


エトもチャーハンは好きな料理の一つである。

王族とは言うものの味覚は年相応といった感じなのか。


なおチャーハンはまかないでも結構よく出されていたりする。

なのでチャーハンはまかない飯でも人気メニューの一つだ。


サッと作れて素早く食べられるというのはやはり強いのである。

なおまかないのチャーハンはシンプルなものが多いとか。


「そういえばチャーハンとピラフとかは何がどう違うのかしら」


「先に炒めるか炊くかの違いみたいですけど」


「チャーハンは炒め飯っていう意味でいいのよね」


「ええ、炒めたライスの事をチャーハンと呼ぶらしいので」


「でもチャーハンって美味しいわよね、食べやすいのもいいし」


「チャーハンは火力が命らしいですからね、家で作ると火力が足りないとか」


「つまり強火で一気に炒めるみたいなのがチャーハンなのね」


「チャーハンはそれこそ油と火力で一気に炒める感じらしいので」


「お店のキッチンはそれだけ火力が強いっていう事になるのね」


「ただチャーハンは家庭料理でも定番の料理らしいですよ」


「お店のようには作れなくても、家でも作るのは簡単なのね」


「ええ、混ぜるだけで作れるチャーハンの素みたいなのもあるらしいので」


「そういう便利なものもあるものなのね」


「簡単に作れるなんとかの素みたいなのは結構あるらしいので」


「こっちかしら?」


「この先の道を東ですよ」


そのまま9番街に入っていく。

グレースさんの家はすぐそこだ。


「ここかしら」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「お待たせしました」


「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨一枚をいただきます」


「これでお願いします」


「ちょうどいただきます、ではこちらが五目チャーハンになります」


「ありがとうございます」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」


「分かりました」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、いただくとしましょうか」


五目チャーハン、簡単に言うと具だくさんチャーハンの事だ。

とはいえ具の種類が五種類でなくてもいいという事らしい。


あくまでも複数種類の具を使っている事が条件なのだという。

三種類でも七種類でもそれは五目チャーハンらしい。


普通のチャーハンはもっとシンプルなものの事を言うのだとか。

つまりは五目とは具だくさんという事のアピールである。


「うん、これは美味しいですね、炒めたライスにたくさんの具材が入ってるみたいです」


「卵に加えて、肉に野菜がいくつか入ってますね」


「あとこの緑の豆も意外と美味しいですね」


「こっちの赤っぽいのは魚の肉でしょうか」


「ライスはパラパラで、食べやすいのもいいですね」


「チャーハン、シンプルながらも美味しいです」


その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が体に染みる。


「ふぅ、冷たい麦茶は本当に美味しいわよね」


「ええ、麦茶は温かくても冷たくても美味しいですしね」


「大麦から作るのよね?麦茶って」


「そうらしいですね、大麦は田舎に行くと結構作ってる農家はいますよ」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったわよ」


「お帰り、はい、おしぼり」


「ありがとうございます」


「外は涼しくなってきた感じデスかね」


「ええ、もうすっかり涼しくなったわ」


「秋服に衣替えするのはそっちに任せるからね」


「はい、この涼しさなら秋服でよさそうですしね」


「本格的に涼しくなったのなら夏服はお役御免デスかね」


そうして外はすっかり涼しくなった様子。

秋の涼しさはしばらく続いていく。


温かい料理がまた売れ始める季節がやってくる。

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