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イングリッシュマフィン

夏のフェアメニューも終売が増え始めた季節。

九月からは秋のフェアメニューに切り替わる事となる。

そんな中密かな人気を集めているサービスがモーニングだ。

朝の客が少ない時間にゆっくり食事が摂れると評判になっているらしい。


「また来てしまいました、ここのモーニングは落ち着いて食べられていいんですよね」


「パン類はどれも美味しいですが、そんな中でも私を魅了するものがある」


「いつものようにそれを食べるのが楽しみなんですよね」


「さて、行きますか」


彼女の名はエルフィ、貴族の家の娘だ。


女でありながら手腕に定評のある経営者なのだとか。


「この扉の仕組みは面白いものですね、二重にすれば逃げるまで少し遅くなるという」


「人は少ないですね、朝だからこそ人が少ないのは当然ですが」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人です」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「いえ、吸いませんよ」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「スタッフが若いのはいいものですよね」


そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。


簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。


「タブレットの使い方は分かりますね」


「はい、問題なく」


「分かりました、では何かあればお呼びください」


「さて、先に水を取りに行きましょうか」


そうして由菜は一旦下がり別の料理を運びに行く。

エルフィは先に水を取りに行く事に。


「ここの水は飲み放題なのに無料というのはどういう仕組みなのか」


「あとは氷と手拭き、使い捨てというものには相応の理由があるんですよね」


「さて、注文を決めてしまいましょうか」


「モーニング、他のメニューもいいですが、結局はこれに戻ってくるんですよ」


「今回もこれで決まりですね、これとこれとこれで確定と」


「このタブレットというのは実に便利ですね」


そうしてエルフィはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはホットコーヒーだった。


エルフィはホットコーヒーにミルクを多めに入れて飲むのが好きなのだという。

砂糖は入れないタイプの性格のようで、無糖カフェオレにするのが好きらしい。


「ふぅ、やはりコーヒーは美味しいですね」


「温かいコーヒーにミルクをたっぷり入れるのが美味しいんです」


「しかしコーヒーというのは砂漠の国で飲まれているもののはず」


「そこから仕入れているという事なのでしょうか」


そうしているとイングリッシュマフィンセットが運ばれてくる。

イングリッシュマフィンがメインの朝定食だ。


「お待たせしました、イングリッシュマフィンセットになります」


「ありがとうございます」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただきましょうか」


イングリッシュマフィン、円形のパンでありトースターで焼くと美味しいもの。

モーニングのパンは複数の種類から選択する事が出来る。


さらにセットメニューの卵料理も複数の種類から選ぶ事が出来る。

イングリッシュマフィンはバターで食べるのが何より美味しいもの。


そして全粒粉のパンでもあるため独特の美味しさがある。

こんがりと焼かれたそのパンはさっくりとしてモチモチの食感だ。


またパンの表面には粉のようなものがついているが、それは普通に食べても平気なもの。

イングリッシュマフィンは真ん中から二つに割ったものが二つ出てくるものである。


食べ方は自由ではあるが一番のおすすめはバター。

サクッとしたところに染みたバターがパンをしっとりさせる事こそが美味しさの理由だ。


「うん、やはり美味しいですね、イングリッシュマフィンはこの香りもいい」


「サクサクに焼かれた表面にバターを塗る、そうしてしっとりしたら食べ頃です」


「バターの染み込んだ円形のパンはそれだけでも充分に美味しい」


「そしてセットで付いているスクランブルエッグもまた美味しいんです」


「しっとりとした卵に甘めの味がするこの感じ、たまりませんね」


「これだけでも美味しいのに、サラダもまた美味しいんですよね」


「サラダは野菜が美味しいのはもちろん、好みのドレッシングが使えるのもまたいい」


「私はサラダには言うまでもなくフレンチドレッシング一択ですね」


そうしているうちにイングリッシュマフィンセットを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「はい、お願いします」


「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてソフトクリームが運ばれてくる。

朝でも食べられる数少ないデザートの一つだ。


「お待たせしました、ソフトクリームになります」


「ありがとうございます」


「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただきますか」


ソフトクリーム、ミルクの濃厚な味がする冷菓だ。

その濃厚さはもちろん、さっぱりとした食べやすさもまた特徴だ。


「うん、美味しいですね、ソフトクリームは実に素晴らしいです」


「ひんやりとしていて、それでありながらミルクの濃厚な味がする」


「甘いものも含めての食事という事ですからね」


そうしているうちにソフトクリームを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いをお願いします」


「はい!えっと、イングリッシュマフィンセットとソフトクリームとドリンクバーですね」


「全部で銅貨一枚と青銅貨三枚になります」


「これでお願いします」


「ちょうどいただきます」


「満足していただけているようデスね」


「これはシェフの方」


「イングリッシュマフィンがお気に入りみたいデスね」


「はい、イングリッシュマフィンは私を魅了してやみません」


「それだけ気に入っていただけたのなら何よりデス」


「しかしここはパンも種類が豊富なんですね」


「ハイ、もちろんどのパンも美味しさには自信がありマスよ」


「ここのパンはオーブンというので焼いているんですよね」


「ハイ、パンを焼くのに特化したトースターで焼いていマス」


「パンを焼くのに特化したトースター、そんなものがあるんですね」


「ハイ、もちろんパン以外も焼けマスよ」


「そういうキカイがあるというのは面白いものですね」


「パンはトースターで焼くのが一番美味しいと思いマスよ」


「そういえばイングリッシュマフィンについていた粉みたいなものはなんですか」


「あれは全粒粉のパン特有のものデス、要するにコーングリッツデスね」


「なるほど、原料の粉という事ですか」


「ハイ、イングリッシュマフィンはとうもろこしから作るのデスよ」


「なるほど、ではそろそろ行きます、ではまた食べに来ますね」


「モーニングも密かに人気になりつつあるよね」


「モーニングに来るのは仕事前の人も多いデスからね」


そうしてエルフィは満足して帰っていった。

モーニングに来るのは仕事に行く前の人も多い。


朝の客が少ない時間はリラックスタイムでもあるのだろう。

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