肉厚卵バーガー
すっかり春本番となり王都も暖かい陽気になってきた。
そんな中宅配やテイクアウトをする客も増えてきた様子。
仕事先の弁当として買っていく人なんかも今はいるようである。
また仕事で忙しい人は夕食としてテイクアウトしていく人もいたりするようだ。
「今回の届け先はどこかしら」
「11番街のハリソンさんの家ですね」
「11番街か、そんなに遠くはないわね」
「はい、行きますよ」
今回の届け先は11番街。
そんなに遠くはないのでさっさと届けてしまう事に。
「今回の注文は何かしら」
「肉厚卵バーガーですね」
「肉厚卵バーガー?」
「はい、普通のハンバーガーより肉が分厚いものみたいです」
「なるほどね、つまり普通のハンバーガーより肉が大きいのね」
「はい、なので普通のハンバーガーより少しお高いみたいですね」
「でもそれだと普通のハンバーガーが売れないんじゃないかしら」
「少し贅沢をしたい時なんかに買う人が多いみたいですね」
「そういう目的で買っていくのね」
「あとはお腹を満たしたい人なんかもよく買うみたいですね」
「でも肉厚なんていいわね、ハンバーガーって牛の肉なのよね」
「ええ、基本的には牛肉みたいです、チキンや豚肉も使う事はあるっぽいですが」
「ハンバーガーっていいわよね、姫は好きよ」
「エトさん、意外と庶民的なものが好きですよね」
「貴族や王族が食べるお高い食事も美味しいんだけどね」
「それはそれとして庶民的な料理も美味しいと」
「そういう事よ、姫はそういう料理も好きになっただけよ」
「エトさんの好みって割と子供っぽいというか」
「子供って言われるのはなんか不服だわ」
「でも好きな食べ物はそういうものなんですよね」
「まあそれは否定しないけどね、美味しいものは美味しいんだし」
「ただハンバーガーなんかは手軽さが売りな食べ物ではありますしね」
「それに加えて肉とパンと卵とかを一度に食べられるっていう事だものね」
「ええ、素早くエネルギーになるというのは大きいですから」
「素早く食べられて、栄養価的にも結構優秀だと」
「ええ、そうだとは聞いています」
「こっちかしら?」
「三つ目の道を西ですね」
ハンバーガーの強みというのは手軽さでもある。
肉や野菜、パンやチーズなど必要な栄養素はほぼ補える。
なので手軽さと栄養価的にはこの手の食べ物は優秀ではある。
それらを一つの料理として完成されているからこそのメリットとも言えるのか。
完全食とまでは行かなくとも、必要な栄養素はほぼカバー出来ている。
なのでハンバーガーや牛丼などはエネルギーとして見れば強いのである。
「でもハンバーガーっていいわよね、シンプルなのに美味しいっていうのも」
「ハンバーガーの強さはその手軽さですからね」
「手軽なのもあるけど、肉がしっかりと美味しいのがいいのよ」
「エトさん、肉が好きですよね」
「あら、肉が美味しいのは当然じゃないの」
「まあ肉が好きなのは人の性なのかもしれませんが」
「そういえばハンバーガーに挟む卵ってなんなの?」
「目玉焼きみたいですよ、円形の金型に卵を落として焼くんだとか」
「それでハンバーガー用の目玉焼きが焼けるっていう事なのね」
「そうらしいですね、円形の金型を使うので綺麗な丸い目玉焼きになるんだとか」
「そういう調理器具も面白いものよね」
「普通に焼いた目玉焼きはハンバーガーには使いにくいという話らしいので」
「だからハンバーガー専用の目玉焼きを作るための金型なのね」
「はい、筒のように丸い金型を鉄板の上に置いてそこに卵を落として焼くとか」
「こっちかしら?」
「四つ目の道を西ですよ」
そのまま11番街に入っていく。
ハリソンさんの家はすぐそこだ。
「ここかしら」
「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」
「はい!」
「お待たせしました」
「えっと、先に銀貨二枚と青銅貨四枚をいただきます」
「これでお願いします」
「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の肉厚卵バーガー四つになります」
「どうも」
「包み紙は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」
「分かりました」
「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」
「さて、食べるとしますか」
肉厚卵バーガー、肉厚なビーフパティを使ったハンバーガーだ。
そこにチーズやレタス、そしてメインの卵を挟んである。
ソースは和風醤油ソースであり、それもまた卵や肉にもよく合う。
ハンバーガーのソースは定番なものだとオーロラソースやケチャップなんかだ。
他にもマヨネーズソースなんかも使う事はあったりする。
肉厚なビーフにはそういうものもいいが和風ソースがまた美味しいという事らしい。
「うん、これは美味しいですね、円形の肉と卵をパンで挟んであるのか」
「肉に使ってあるソースもまた美味しいですね、和風ソースというものらしいですが」
「そこに葉野菜やチーズなんかも挟んであるんですね」
「チーズと卵と一緒に食べるこの分厚い肉もまた美味しい」
「手軽に食べられてしっかり満足出来る、大したものですね」
「パンに具材を挟んだ料理は聞いた事がありますが、これはこれでいい」
その頃のエト達は帰り際に休憩していた。
冷たい麦茶が体に染みる。
「ふぅ、美味しいわね」
「暖かくなったので冷たい麦茶に変わったみたいですしね」
「麦茶って不思議な美味しさがあるわよね」
「麦茶の美味しさは不思議と病みつきになりますよね」
飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。
帰ったらまた仕事である。
「ただいま戻ったわよ」
「お帰り、はい、おしぼり」
「ありがとうございます」
「外はすっかり春みたいデスね」
「ええ、もうすっかり春になってるわね」
「なら冬服はもう片付けてもよさそうだね」
「そうですね、特に問題はないかと思います」
「では衣替えは完了でいいデスね」
そうして春は本番になり春服に変わっていく。
春の陽気は外に出る時も心地良いものである。
春の暖かさは体を癒やしてくれるのだから。




