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閑話・燻製肉ギフト

外はすっかり春の陽気になった様子の異世界。

そんな中いつものように店を開店しようとすると、そこに来客が現れる。

店を張り込んでいたようで、つまりは押しかけである。

その人はアヌークのライバルを自称しているようだが。


「まさかエセルサンが来るとは思いませんでシタよ」


「あなたが何やら新しい商売をしていると聞いたので、見に来てやりましたわ」


「確かアヌークの料理学校時代の知り合いだっけ」


「そうですわ、このアヌークは私の生涯のライバルなのですわ」


そんな話をしているとスタッフが出勤してくる。


先に来たのはエトとイクスラのようだ。


「おはよう、ってその女誰かしら」


「新しいスタッフですか?」


「はじめまして、私はエセルと申します、お二人はここのスタッフですわね」


「はい、そうですが」


「あなた、ここの新しいスタッフ?今日から働くの?」


「そのつもりですわ、よろしいですわよね?」


「それは構いマセンが、突然来たので制服とかのサイズが合うものがないデスよ」


「用意出来るまではオーバーサイズでも構いませんわよ」


「体格的に姫やソアレの制服は小さいし、リーザの制服は大きそうよね」


「まあ突然来たのなら仕方ない事ではありますが」


「ああ、そうですわ、これお近づきの印ですわ、燻製肉の詰め合わせです」


「これはどうも、帰ったら美味しくいただかせていただきます」


「さて、開店は何時ですの?」


「あと一時間後ぐらいデスね、とりあえず着替えてクダサイ」


「分かりましたわ、制服はロッカールームにありますわよね?」


「ハイ、予備の制服も置いてあるので、それを今は着てクダサイ」


そうしてエセルも制服に着替えてくる。

サイズとしては少し小さいものの、着られないという事はない。


そんな中エトとイクスラも着替えを済ませる。

エセルはアヌークのライバルを自称するだけあり、料理の腕前は本物だ。


とりあえずキッチンスタッフに回そうという事になった様子。

客が今ではたくさん来るので、キッチンの回転が速くなるなら大歓迎である。


「まあなんとか着られましたわね」


「それにしてもエセルだったかしら、あなた貴族か何かなの?」


「貴族ではありませんが、資産家の娘ではありますわ」


「つまりお金持ちの家の娘という事ですか」


「料理学校では競い合っていたものデスよ」


「当然ですわ、アヌークさんは私の生涯のライバル、負けられませんもの」


「ですが見たところ、一回りぐらい年の差があるようにも見えますが」


「そうデスね、エセルサン、今年何歳になりマシタ?」


「今年19ですわよ、なのでアヌークさんは一回り程度先輩ですわね」


「エセルってその若さでアヌークと同期って事は、料理学校時代は何歳なの?」


「確か12ぐらいですわね、当時は最年少の生徒と言われていましたので」


「その若さでそれだけ優秀というのは大したものですね」


エセルが料理学校時代の時はまだ中学生ぐらいの年齢だったという。

それでありながら料理の腕前は本物であり、アヌークをライバルと見定めた。


アヌークにはその気はないようだが、競い合っては来たようである。

なおアヌークの腕前の事はきちんと認めているようだ。


認めるものは認めるという性格なので、竹を割ったような性格とも言える。

高飛車なところはあるものの、根っこの部分はきちんと相手を認められる性格なのだ。


「そういえばこの燻製肉の詰め合わせって何が入ってるの?」


「主にハムやベーコン、ソーセージに生ハム、そんな感じですわね」


「生ハムって、生肉じゃないのよね?」


「生ハムというのは塩漬けの加熱していない燻製肉の事デスね」


「生肉ではないと言うなら食べても問題なさそうですね」


「食べ方は基本的には焼いたり茹でたりすればいいのかしら」


「加工品デスから、そのままでも食べられマスよ、まあ調理した方が美味しいデスけど」


「燻製肉は加工品、つまり加熱はしてあるので、そのまま食べても何も問題はありませんわ」


「分かりました、ではとりあえず調理していただかせていただきますね」


「まだ持ってきているのデスか?」


「スタッフ全員の分は持ってきていますわ」


「ならリーザサンとアレッシオサンとソアレサンにも出勤してきたら渡してクダサイね」


「でも燻製肉の詰め合わせなんて嬉しいわね」


「ほんのお気持ちですわ、挨拶のときには気持ちを示さねばなりませんもの」


「礼儀は出来ているのですね、立派な限りです」


「エセルサン、何気にチョイスがいいデスよね」


そんなエセルが渡した燻製肉の詰め合わせはそこそこいい値段がするもの。

ボンレスハムやベーコン、ソーセージもハーブソーセージなどの種類が入っている。


そうしたものは帰ったら美味しくいただいてもらおうという事だ。

やはり肉はそれだけ美味しいという事でもある。


「さて、では仕事については教えていただきますわよ、先輩方」


「仕事に関しては先輩って言ってくれるのね」


「年齢などに関係なく仕事についてはきちんと先に働いていた人から教わりますわ」


「エセルサン、そういうところはきちんとしていマスよね」


「仕事というのはきちんと教わって覚えるものですもの」


「キッチンスタッフを任せるので、イクスラサンや美紗子サンに教えてもらいマスか」


「ええ、お任せを」


「そろそろ他も出勤してきそうね」


そうして押しかけてきたエセルがキッチンスタッフとして加わる事に。

腕前は本物なので頼りになるのは間違いない。


人としては出来ている方ではあるのだから。

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