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鯛茶漬け

春の足音は少しずつ近づいている様子の異世界。

それに伴い冬のフェアメニューもなくなり次第終了していく事に。

来月の頭には春のフェアメニューに切り替わる。

季節と共にフェアメニューは切り替わっていくのだ。

「また来てしまいましたね、ここのモーニングは美味しいのでいいのです」

「朝限定の簡単な朝食、値段も安くて助かりますしね」

「モーニングはそれ限定のメニューもあるのがいいんですよ」

「さて、行きますか」

彼女の名はナタリー、街で輸入品店を経営する貴族だ。

ここのモーニングを食べてから仕事に臨むのが今のお約束らしい。

「この扉の仕組みは面白いですよね」

「中は暖かい、まだ寒さは残っているのもありますしね」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人ですよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸いませんよ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」

「スタッフが若いのもまたいいですよね」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「はい、問題なく」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、先に水を取りに行きましょうか」

そうして由菜は一旦下がり別の料理を運びに行く。

ナタリーは先に水を取りに行く事に。

「ここの水は飲み放題なのに実に美味しいから凄いですよね」

「あとは氷と手拭き、使い捨てにも相応の理由があるんですよね」

「さて、注文を決めてしまいましょうか」

「朝は個人的にはライス、何にしましょうか」

「やはりいつものもの、うん、これにしましょうか、これとこれとこれで確定と」

「このタブレットというのは不思議な限りですね」

そうしてナタリーはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはグレープジュースだった。

ここのグレープジュースはぶどうの味が濃くて美味しいとか。

ぶどうの味が濃いグレープジュースは人気の飲み物の一つである。

「ふぅ、やはりグレープジュースは美味しいですね」

「グレープはワインのイメージですけど、ジュースもまた美味しいです」

「ぶどうの味が濃厚なのがまたいいんです」

「こんなに濃厚なジュースはここでしか飲めませんからね」

そうしていると鯛茶漬けが運ばれてくる。

鯛のほぐし身と鯛から取った出汁を使ったちょっと贅沢なお茶漬けだ。

「お待たせしました、鯛茶漬けになります」

「ありがとうございます」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、いただきましょうか」

鯛茶漬け、鯛のほぐし身と鯛から取った出汁を使ったちょっと贅沢なお茶漬けだ。

お茶漬けはモーニング限定のメニューである。

鯛茶漬けの他に梅や鮭、たらこのお茶漬けなんかもある。

定番のプレーンなお茶漬けもまた人気でもある。

人によって好みはあるものの、特に人気なのは鮭茶漬けらしい。

お茶漬けはモーニング限定という事もあり、値段もまた財布に優しい。

お茶漬けに関しては家でも作ろうと思えば作れるが、店のようにはいかないという。

その理由は塩気が店のもののように出せないとのこと。

なおお茶漬けの中でも鯛茶漬けはリッチなお茶漬けの部類になる。

鯛という魚がそもそも結構いい値段というのもあるからだ。

「うん、やはり美味しいですね、鯛という魚の味が実によく出ている」

「魚の味がするスープライス、モーニング限定なのが惜しいですね」

「スープというか、お茶をライスにかけているという事らしいですが」

「このお茶は紅茶などではなく、東の国で飲まれている緑茶らしいですね」

「そこに塩気のある魚などを使っていると」

「あとこの細かいやつもカリカリしていて美味しいですし」

「それにしても魚のお茶漬け、魚をどうやって運んでいるのか」

「でも美味しいからこそここに食べに来ているんですよね」

そうしているうちに鯛茶漬けを完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「はい、お願いします」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少ししてソフトクリームが運ばれてくる。

モーニングでも食べられるデザートの一つだ。

「お待たせしました、ソフトクリームになります」

「ありがとうございます」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきますか」

ソフトクリーム、ミルクの濃厚な味がするアイスだ。

モーニングで頼めるデザートは普段に比べると少ない中でもソフトクリームは頼めるのだ。

「うん、美味しいですね、やはりソフトクリームはこれでこそです」

「ミルクの濃厚さと、その甘さが実にいい」

「ミルクがこんなに美味しいものになるとは驚きですよね」

そうしているうちにソフトクリームを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願いします」

「はい！えっと、鯛茶漬けとソフトクリームとドリンクバーですね」

「全部で銅貨一枚と青銅貨四枚になります」

「これでお願いします」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけているようデスね」

「これはシェフの方」

「モーニングによく来てくれていマスね」

「はい、ここの朝食はお腹も満たされて美味しいので」

「特にお茶漬けがお気に入りみたいデスね」

「ええ、ライスが好きなんです、それでお茶漬けが気に入ったので」

「普段からお米を食べているとかデスか？」

「ええ、この国では珍しいライス派なんです」

「鯛茶漬けが気に入っているようデスね」

「鯛という魚の味が濃厚なお茶漬けが、気に入っているんですよ」

「なるほど、魚もお好きなのデスね」

「はい、仕事柄魚を食べる機会もありますから」

「それで魚が好きなのデスね」

「ええ、港町で食べる魚は何より好きなんですよ」

「それを分かっているとは、商人としても分かっていマスね」

「魚の美味しさは知っているつもりですよ」

「魚はこの国では食べにくいと聞いていマスからね」

「おっと、そろそろ行きます、また来ますね」

「魚を食べられるって事は、それなのにお金持ちだよね」

「この国は内陸の国デスからね」

そうしてナタリーは満足して仕事に向かっていった。

なおモーニングにも一定の支持者が生まれているという。

仕事に行く前にサッとモーニングを食べていくのもまたいいものらしい。