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Ｒｅ：フカヒレラーメン

すっかり年末の空気になり年末年始はすぐそこに来ている。

年末年始は店は休みになるので、それまでは店は営業する。

新年の仕事始めは日本側の日付で三が日が終わってから。

それまでの年末年始は休業日となる。

「うむ、今年も来たぞ、仕事納めはやはりあれを食べねばな」

「毎年自分へのご褒美として食べる事が恒例になってしまったな」

「では今年もあれを食べて年納めと行くとしよう」

「ではいざ行かん」

彼の名はベルホルト、国軍の大隊長だ。

今では年末には自分へのご褒美としてあれを食べる事がお約束になった様子。

「この扉はいろいろな事に使えそうではあるな」

「中は暖かい、暖房というのはいいものだな」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人だ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「一応吸うが、食事の時は吸わないと決めている」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「年末は客も増えるのだろうな」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「ああ、問題ない」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、先に水だな」

そうしてアレッシオは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ベルホルトは先に水を取りに行く事に。

「ここの水は飲み放題なのが凄いものだ」

「あとは手拭きと氷、氷で冷えた水は何かといいものだ」

「さて、注文を決めてしまうか」

「今年もあれをいただくか、ふむ、あったな」

「これとこれとこれで確定と」

「やはり年末はこれを食べねば一年は終われんな」

それから少しして焼酎とザーサイが運ばれてくる。

仕事は終わっているので酒を飲むのも特に問題はない。

酒は元々飲む方であり、ここでは焼酎や紹興酒を気に入っている様子。

また酒の肴はザーサイを特に気に入っているという。

「お待たせしました、焼酎とザーサイになります」

「うむ、すまない」

「料理はもう少々お待ちください、それでは」

「さて、いただくか」

焼酎はこちらの世界では東の国に行けば飲める酒ではあるらしい。

とはいえこの国では貴重なものらしく、手に入れるのは困難らしい。

「うむ、やはり美味しいな、やはりこのザーサイというのは実にいい」

「焼酎をちびちびとやりながら食べるザーサイは実に美味しい」

「焼酎はボトルで飲みきれないものはキープもしてくれると聞くが」

「焼酎とザーサイ、やはりこの組み合わせはいいものだ」

そうしているとフカヒレラーメンが運ばれてくる。

巨大なフカヒレが乗ったあんかけラーメンだ。

「お待たせしました、フカヒレラーメンになります」

「うむ、すまない」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただくか」

フカヒレラーメン、巨大なフカヒレが乗ったあんかけラーメンだ。

フカヒレはそれなりにいいものを使っているだけあり、値段も高い。

とはいえそれでも頼んでくれる人はいる料理である。

自分へのご褒美として高い料理を頼む人もまたいるのだ。

フカヒレは巨大なそれであり、オイスターソースベースのソースとよく合う。

ラーメンの麺もあんかけになっているので熱が逃げにくい。

なのでラーメンは熱々の状態が長持ちするという事でもある。

そんな熱々のラーメンと巨大なフカヒレは贅沢な味である。

フカヒレはこちらの世界にはない食材なのだという。

冬には毎年登場する贅沢メニューでもあるのがフカヒレ料理なのである。

「うむ、美味しいな、年納めにはやはりこれを食べねば」

「フカヒレが美味しいのは言うまでもなく、この野菜も大きくていい」

「とろみのあるスープは麺に実によく絡むのがいいな」

「フカヒレの美味しさはもちろん、様々な味が溶けているスープも美味しい」

「オイスターソースというのは海の貝から作ったソースらしいが」

「熱が逃げないスープはラーメンを美味しくさせてくれるのもいいな」

「オイスターソースがベースとなったスープはフカヒレにもよく馴染む」

「年末はこの味を食べて締めくくるからこそだな」

そうしているうちにフカヒレラーメンを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いを頼む」

「はい、フカヒレラーメンとザーサイと焼酎ですね」

「全部で銀貨三枚と青銅貨三枚になります」

「これで頼む」

「ちょうどいただきます」

「今年もいらしたのデスね」

「これはシェフの方」

「やはり今年も仕事納めはフカヒレラーメンなのデスね」

「ああ、年末か年明けにフカヒレを食べると決めているのでな」

「それだけお気に入りなのデスね、ありがとうございマス」

「そういえばフカヒレラーメンのスープのオイスターソースとはなんなのだ」

「オイスターソースとは牡蠣という貝から作るソースデスね」

「牡蠣、それがあんな感じのソースになるのか」

「ハイ、オイスターソースは料理の味付けに使うのはもちろんスープにも使う事は多いデス」

「意外と使い道は豊富なのだな」

「ハイ、オイスターソースは料理人からしたらよく使うものでもありマス」

「そういえば焼酎というのはここではボトルで出すのだな」

「そうデスね、飲みきれない場合は次回の来店時までキープは出来マスが」

「出来れば全部飲んで欲しいという事でもあるのか」

「ハイ、まあ結構強いお酒なので一人でボトル一本は意外と大変デスが」

「それでも私は好きだぞ、焼酎は酒の味がしっかりしているからな」

「そう言ってくれると何よりデス」

「うむ、ではそろそろ失礼する、来年もまた食べに来るぞ」

「すっかりフカヒレラーメンの人になったね」

「まさに自分へのご褒美という事デスね」

そうしてベルホルトは満足して帰っていった。

仕事納めに自分へのご褒美として食べるフカヒレラーメンは美味である。

尤も軍隊には本来は休みはないのだが、年が変わる時は仕事納めという扱いらしい。