326/402

オムハヤシ

夏の暑さも強くなってきて夏本番が始まりつつある季節。

そんな中店の制服も夏服に変わってきた。

また冷たい料理やデザートがよく売れるのは夏だからか。

その一方で辛い料理も夏はよく売れるという事らしい。

「今回の届け先はどこかな」

「７番街のナターシャさんの家ですね」

「７番街だね、なら早く届けちゃおうか」

「はい、行きましょう」

今回の届け先は７番街。

すぐそこなのでさっさと届けてしまう事に。

「それで今回の注文って何かな」

「オムハヤシですね」

「それってオムライスにハヤシライスをかけたものだっけ」

「はい、そうですね、オムハヤシなので」

「オムライスって割となんでもかけていいのかな」

「だと思いますよ、オムシチューとかオムカレーもありますし」

「そういうのもあるんだね」

「他にはオムそばとかもあるそうですしね」

「オムそばって焼きそばを卵で包んだやつだっけ」

「はい、ソース焼きそばを卵で包んだものがオムそばですね」

「なるほどね、オムなんとかっていうのは意外と種類があるんだね」

「でもオムライスって美味しいですよね、私は好きですよ」

「オムライスは玉子ふわふわのものがいいか、そうでないかで好みは分かれる気はするかも」

「レトロなオムライスだとチキンライスに薄焼き卵だったりするらしいですよ」

「薄焼き卵かぁ、そういうのが好きな人もいるのかな」

「その時代に生きた人はそういうのが好みだったりするのかもしれませんが」

「お店だとふわふわの玉子で出してるよね」

「お店で出すのならそっちの方がいいのかもしれないですが」

「でもオムライスって作るのは結構面倒だよね」

「チキンライスが作れるところからですからね」

「チキンライスってケチャップで炒めるライスなんだっけ」

「はい、ケチャップで鶏肉や野菜を炒めたものを言うみたいですよ」

「こっちでいいのかな？」

「この先の角を右ですね」

アレッシオも味覚は割と年相応なところがある。

家で料理を作るようにもなった辺りは変化なのかもしれない。

オムライスは作れるらしいが、まだ上手い方ではないのだとか。

卵料理は下の子供達にも人気なのだという。

それもあり卵料理は人気メニューになっているという。

やはり子供は卵料理が好きなものなのかもしれない。

「でもオムハヤシ、卵って意外とどんな味付けでも合うのかもね」

「卵料理は和洋中どれにもあるっていう事ですからね」

「卵はそれだけ多様な国で食べられてるんだろうね」

「ええ、卵は安くて美味しい食べ物でもありますからね」

「確かに卵って安いよね、あれで利益出てるのかな」

「アヌークさん曰く、卵は物価の優等生と言われているんだとか」

「物価の優等生、それだけ安く買えるっていう事なんだろうね」

「ええ、卵は安くて栄養価が高い食べ物って言われているらしいですよ」

「この国でも卵は安いもんね」

「卵ってなんであんな安く売れるんですかね」

「謎は多いよね、卵の値段って」

「ただ大人も子供も好きな人が多いのはやはり強いですよ」

「それは確かにね、好きな人は多いし」

「卵料理はそれだけ幅広い人気を得ているんですよね」

「こっちだよね？」

「二つめの角を右ですね」

そのまま７番街に入っていく。

ナターシャさんの家はすぐそこだ。

「ここかな」

「すみませーん！キッチンハウスの宅配です！」

「はい！」

「お待たせしました」

「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨二枚になります」

「これで」

「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のオムハヤシになります」

「どうも」

「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」

「分かりました」

「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」

「さて、いただきますか」

オムハヤシ、オムライスにハヤシライスをかけたものだ。

オムカレーやオムシチューがあるように、オムライスにはなんでも合う。

それは卵がなんにでも合うというポテンシャルの高さなのか。

だからこそオムハヤシはそれだけのポテンシャルなのか。

ちなみにハヤシライスはデミグラスソースの方のものを使っている。

ハヤシライス自体もデミグラスソースの方が人気なのだとか。

「うん、美味しいですね、卵がふわふわです」

「卵の下のライスもトマトの味がして美味しいですね」

「卵とトマトの味がするライス、ライスには鶏肉や野菜も入っているんですね」

「このソースも甘みがあって美味しいですし」

「この茶色のソースがハヤシなんですね」

「ライスと卵とハヤシソース、卵にハヤシソースが絡んでそれもまた美味しいですし」

その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が体に染みる。

「ふぅ、美味しいね」

「冷たい麦茶は夏にはたまりませんね」

「この味は不思議な感じはするよね」

「大麦のお茶らしいですからね」

飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。

「ただいま戻りました」

「お帰り、はい、冷たいおしぼり」

「ありがとうございます」

「外はもう熱くなっていマスかね」

「ええ、夏本番はこれからですが」

「なら涼しくなるものとかも用意しないとね」

「そこは必要ならお願いします」

「分かりマシタ、暑さ対策なんかもしマスね」

そうして夏の暑さ対策もしていく事に。

夏本番は異世界でもやはり暑いもの。

暑さはやはり敵である。