311/402

オアチェン

春のフェアメニューも順調に滑り出した春の季節。

そんな春のフェアメニューは春の味覚以外にも多様なメニューが揃う。

またフェアメニューは特定の地域の料理を特集したりする事もある。

なのでそういうのもまた楽しかったりする。

「また来てしまった、ここは季節替わりのメニューが多いのがいいのよね」

「今は春のフェアニューをやってるらしいし、楽しみだわ」

「珍しい料理を楽しむためにここに来るんだもの」

「さて、行きましょう」

彼女の名はペトルシュカ、貴族にして美食家でもある。

ここの料理が珍しいと感じているようで、今ではすっかり常連になった様子。

「この扉のシステムは面白いものね」

「中は賑やかね、それだけ大衆にも人気という事なのよね」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人よ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸わないわ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「スタッフが若いのもまたいいわよね」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「ええ、問題ないわ」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、先に水ね」

そうしてリーザは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ペトルシュカは先に水を取りに行く事に。

「ここの水は無料で飲み放題なのが凄いわよね」

「あとは氷と手拭き、使い捨てにも相応のメリットはあるのよね」

「さて、注文を決めてしまいましょうか」

「春のフェアメニュー、何にしようかしら」

「ふむ、これとこれとこれで確定と」

「タブレットというのは便利なものね」

そうしてペトルシュカはドリンバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのは梅昆布茶だった。

お茶が好きなようだが、梅昆布茶を特に気に入っている様子。

梅昆布茶はその味を不思議に感じるとか。

「ふぅ、この梅昆布茶というのは美味しいですね」

「梅というのはプラムの事ですが、昆布というのは海の草らしいですが」

「それからお茶が作れるというのは実に興味深い」

「この味が体を癒やしてくれますね」

そうしているとオアチェンのライスセットが運ばれてくる。

台湾の屋台で定番の牡蠣を使った牡蠣オムレツである。

「お待たせしました、オアチェンのライスセットになります」

「どうも」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、いただきますか」

オアチェン、台湾の屋台の代表的な料理だ。

プルプルのオムレツに甘辛ソースがよく合う。

ふわふわの卵に片栗粉でとろみを付けるのが美味しさのコツらしい。

また使われている牡蠣もその旨味が卵に染みていい味となる。

甘辛なソースがオアチェンの定番の味でもある。

片栗粉を使っているという事もあり、その玉子はふんわりトロトロに仕上がっている。

台湾は屋台が名所でもありそこには様々な料理が並ぶ。

このオアチェンもそんな台湾の屋台料理の代表格である。

使っている牡蠣もそれなりにいいものを仕入れて使っているという。

また欠かせないものの一つが青菜であり、今回は白菜を使ってあるという。

「うん、これは美味しいわね、卵がとろとろだわ」

「それにこの小粒のやつは貝類かしら、これもまた美味しいわね」

「玉子にかかっているソースがライスともよく合うわね」

「この貝は牡蠣という貝らしいけど、それがまたいい味になっているわ」

「あとは玉子に混ぜ込まれている野菜も簡単に溶けるようでいいわね」

「甘辛なソースととろとろの玉子、シンプルなオムレツなのにこんなに美味しいのね」

「野菜も玉子と一緒になる事でその美味しさが引き立っている」

「オムレツがこんなに美味しくなるなんて凄いわね」

そうしているうちにオアチェンとライスを完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「ええ、お願い」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少ししてヨンジーガムロが運ばれてくる。

マンゴーとタピオカを使ったココナッツミルクのデザートだ。

「お待たせしました、ヨンジーガムロになります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきましょうか」

ヨンジーガムロ、マンゴーとタピオカを使ったココナッツミルクのデザートだ。

マンゴーとココナッツミルクの甘さにタピオカのモチモチが美味しい台湾デザートだ。

「これは美味しいわね、甘い中にもちもちした豆みたいなものが入ってるのね」

「マンゴーとかココナッツミルクとかが甘さを出しているのかしら」

「このモチモチしたのがタピオカというものでいいのかしら」

そうしているうちにヨンジーガムロを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願い」

「はい、オアチェンのライスセットとヨンジーガムロとドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と青銅貨三枚になります」

「これでお願い」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけていマスか」

「これはシェフの方」

「いろいろ食べているようデスね」

「ええ、ここの料理はどれも美味しいので」

「そう言ってくれると何よりデス」

「それはそうとここは卵料理がどれもふわふわなんだけど」

「あれはふわふわになるように作っていマスからね」

「どうすればあんなふわふわトロトロになるのかしら」

「そうデスね、卵を二回に分けて入れると粗子は焼けて上はトロトロになりマスよ」

「なるほど、二回に分けて入れると」

「あとは牛乳を混ぜて焼いたりしてもいいデスね」

「そういうやり方があるのね、なるほど」

「卵がお好きなのデスか？」

「ええ、年甲斐もなく卵料理が特に好きで」

「美味しいデスからね、卵料理は」

「あとマンゴーとかココナッツミルクとかはなんなのかしら」

「どっちも南国のものデスね、ココナッツミルクはそういう実があってそれのジュースデス」

「ココナッツという実のジュース、マンゴーは南国の果物なのね」

「ハイ、南国が産地な事が多いデス」

「南国の果物、それも面白そうね」

「南国は太陽の光の関係で果物が美味しいデスから」

「おっと、そろそろ行くわね、また食べに来るわ」

「卵が好きな人なんだね」

「卵料理は美味しいデスからね」

そうしてペトルシュカは満足して帰っていった。

卵料理が好きであり、美食家でもある。

オアチェンはそんな彼女を満足させたようである。