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チキンマサラカレー

春になり少しずつ暖かくなってきた季節の変わり目。

春のフェアメニューも始まりそれも順調に滑り出している。

とはいえまだ寒い日が来る事はある。

本格的に暖かくなるのはまだかかりそうだ。

「今回の届け先ってどこかな」

「１０番街のボルドーさんの家ですね」

「１０番街か、ならそんなに遠くないね」

「ええ、行きますよ」

今回の届け先は１０番街。

そんなに遠くないのでさっさと届ける事に。

「今回の注文って何かな」

「チキンマサラカレーですね」

「チキンマサラカレー？」

「スパイスが強めの少し辛めのチキンカレーみたいですね」

「なるほど、激辛ではないけど辛い感じのカレーなんだね」

「みたいですね、ただ辛いものが苦手な人は気をつけた方がいい程度の辛さとか」

「そういえばカレーってチキンカレーが多いけど、なんでなんだろう」

「肉の単価が安い事に加えて、鶏肉は宗教的な理由でも食べられる事が多いかららしいですよ」

「つまり牛や豚の肉は宗教によっては食べられないっていう事があるのか」

「ええ、なので鶏肉、チキンカレーがそうした配慮にもなるとか」

「お客さんが宗教的な理由で牛や豚を食べられないっていう事がある可能性か」

「肉の単価が安いというのも大きいみたいですけどね」

「でもお店でも宅配でも肉の種類は選べるよね？」

「選べますね、尤もチキンカレーが人気は高いみたいですよ」

「そんなものなんだね、僕はポークカレーがお気に入りなんだけど」

「アレッシオさんはポークカレー派なんですね」

「豚肉が安いのもあるけどね、まあスパイスが高いから作るのは厳しいけど」

「ただカレーというのは基本的に何を入れても大体美味しくなるのは強いですよね」

「それはあるかも、海の幸でも美味しいし野菜カレーも美味しいしね」

「カレーに入れれば大体の食材は美味しくなるとアヌークさんも言っているぐらいですし」

「カレーって凄いんだなぁ」

「全くですよ、栄養価としても優秀ですしね」

「こっちかな？」

「ここの三つ先を左ですね」

カレーにも様々あり、辛いものもあればスパイスが強いものもある。

とはいえカレーは大体の食材はそれで美味しくなるのである。

またチキンカレーが多いのは宗教的な理由でも食べられる事が多いからなのだとも。

確かに鶏肉を食べられない宗教というのは聞かない気がする。

肉そのものを食べられない宗教もあるにはあるのだとか。

それでも鶏肉は宗教的な理由でも引っかかりにくいのだという。

「それにしてもチキンカレーが多いのは宗教的な理由なんだね」

「肉の単価の安さもあるとは言ってましたけどね」

「鶏肉ってそんなに安いんだね」

「今でこそ人気になりましたけど、数年前までは鶏肉は不人気な肉の代名詞でしたしね」

「貧乏人でも食べないって言われるぐらいだったよね」

「ええ、それが今では安くて美味しい肉として人気になったんですから」

「アヌークが教えたみたいだけどね」

「鶏肉は骨が多くて食べにくいという事が不人気な肉の理由だったそうですし」

「確かに鶏肉は骨が多い肉だったよね」

「それもあって肉屋でも加工に手間取るという事はあったようですしね」

「それでも骨が簡単に取れるようになれば美味しい肉ではあるって事か」

「あと骨からスープが取れるのも大きいみたいですよ」

「確かに今は鶏スープは家庭でも作りやすくなったもんね」

「鶏スープが美味しいっていうのが知られたのも大きいですよね」

「こっちかな？」

「ここの二つ先の角を右ですね」

そのまま１０番街に入っていく。

ボルドーさんの家はすぐそこだ。

「ここかな」

「すみませーん！キッチンハウスの宅配です！」

「はい！」

「お待たせしました」

「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨四枚になります」

「これで」

「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のチキンマサラカレーになります」

「どうも」

「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」

「分かりました」

「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」

「さて、いただくか」

チキンマサラカレー、スパイスがガツンと来る北インドのカレーだ。

カレーではあるがスパイスの力が強いカレーでもある。

またカレーではあるが、油の力も強かったりする。

辛さはそれなりで、激辛とまではいかない辛さである。

とはいえ辛いものが苦手な人には辛さも感じる程度には辛い。

激辛ではないが、結構辛いのがマサラカレーである。

「うん、これは美味しいな、辛いのだが辛すぎる事もない」

「肉は鶏肉か、カレーが肉によく絡んでいるな」

「この辛さはライスが少々甘いというのがいい中和になっている」

「ただこの辛さはスパイスの主張が強いという事なのだろうな」

「スパイスが強く効いているからこその味か」

「ライスと一緒に食べるのがちょうどいい味になるという事だな」

その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。

温かい麦茶が体に染みる。

「ふぅ、美味しいね」

「麦茶というのは不思議な飲み物ですね」

「でもそれが美味しいんだよね」

「この味は本当に不思議なものです」

飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。

「ただいま戻りました」

「お帰り、はい、温かいおしぼり」

「ありがとうございます」

「外はまだ少し冷えマスかね」

「暖かくはなったけど、まだ冷える事もありますね」

「なら防寒着はもう少し残しておこうかな」

「それがいいかと思います」

「春本番はもう少し先になりそうデスね」

春はこれからが本番になりそうである。

寒い日がまだたまに来るので防寒着はまだ残しておく事に。

完全に春になるのはもう少しかかりそうだ。