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クリームスープスパゲティ

新年も営業が始まり、今年の営業もスタートした。

そんな冬の寒い日にはやはり温かい汁物の料理がよく売れる。

汁物の料理は体の内側から温まるからこそなのだろう。

またお一人様鍋メニューもよく売れているようである。

「また来てしまった、冬には美味しいあれがありますからね」

「ここの料理はどれも美味しいが、冬には特に美味しいあれがある」

「寒い日にはやはり温かいものが欲しくなりますからね」

「では行きますか」

彼の名はベルジェ、世界を旅する画家である。

そんな彼が過去にこの店に寄って以来、この国に来た時には寄るようになったという。

「この扉は面白いですね」

「中は暖かい、冬だからこそですね」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人ですよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸いません」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「相変わらずスタッフも若いですね」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「はい、分かりますよ」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、先に水ですね」

そうして美紗子は厨房に戻っていく。

忙しい時はキッチン担当が客の案内をする事もある。

「ここの水は美味しいのに飲み放題というのが凄いですよね」

「それと氷と手拭き、使い捨てというのはそれ相応のメリットはあるのでしょうね」

「さて、注文を決めてしまいますか」

「冬のフェアメニュー、やはりありましたね」

「これとこれとこれで確定ですね」

「やはり寒い日は温かいメニューに限りますね」

そうしてベルジェはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはそば茶だった。

その独特な味が気に入っているという事らしい。

お茶の種類が豊富なのもここの魅力だ。

「はぁ、癒やされますね、やはりお茶はいい」

「それにしてもここはお茶だけでも多様なのが凄いですよね」

「そば茶のこの味はここでしか味わえませんよ」

「この味はやはり温かくして飲むからこそですね」

そうしているとクリームスープスパゲティが運ばれてくる。

クリームスープでいただくスープスパゲティだ。

「お待たせしました、クリームスープスパゲティになります」

「どうも」

「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」

「さて、いただきますか」

クリームスープスパゲティ、その通りのクリームスープのスープスパゲティだ。

濃厚な牛乳のクリームスープは体の内側から温まる。

そこに野菜やパンチェッタなどの具材も合わさり食べごたえも結構ある。

麺はもちろん、スープまで飲み干したくなる味なのである。

スープスパゲティは汁物というカテゴリにあるとアヌークは思っている。

なので寒い日にはありがたい冬のフェアメニューとして扱っているという。

野菜は主に白菜や人参などを使っていて、クリームと煮込む事でその味が際立つ。

パンチェッタもまたその塩気が甘みのあるスープにいいアクセントとなる。

ちなみにベースは牛乳とチーズなのだという。

カルボナーラと比べるとスープはサラサラなのが特徴とも言える。

「うん、やはりこの味ですね、この味がいい」

「クリームスープと食べごたえのある麺、実にいい」

「そしてこのスープも牛のミルクの濃厚な味がして実にいいのですよね」

「スープのベースはミルクとチーズだと聞いているので、食べやすくていい」

「具の野菜なんかもクリームスープとよく絡んでいてとても食べやすいですしね」

「クタクタになるまで煮込まれた野菜がスープとよく合うんですよ」

「あとこの肉も塩気が甘めのスープには実によく合う」

「適度な塩気とミルクの甘さ、そのバランスが素晴らしい」

そうしているうちにクリームスープスパゲティを完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「はい、お願いします」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少しして杏仁豆腐が運ばれてくる。

定番のデザートにして不動の人気メニューだ。

「お待たせしました、杏仁豆腐になります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきますか」

杏仁豆腐、さっぱりと食べやすい定番のデザートだ。

そして何より不動の人気メニューでもある。

「うん、やはり美味しい、杏仁豆腐というのは実にいい」

「さっぱりとしていて、それでありながら濃厚でもある」

「食後でも食べやすい味なのでいいですね」

そうしているうちに杏仁豆腐を完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願いします」

「はい、クリームスープスパゲティと杏仁豆腐とドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と青銅貨二枚になります」

「これでお願いします」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけていマスか」

「これはシェフの方、ええ、とても」

「それは何よりデス」

「それにしてもここは本当に多様な料理があるんですね」

「ハイ、出せるものは出せるだけ出そうと決めていマスから」

「似ている料理は知っていても、ここの料理はそのどれとも違いますから」

「旅でもしている人なのデスか」

「ええ、放浪画家ですよ」

「放浪画家デスか、それで画材を持っていたのデスね」

「尤も稼ぎはいいとは言えませんけどね」

「芸術の世界はそんなものだとは思いマスが」

「ただ好きでやっている事なので、誰かが買ってくれるならそれだけで嬉しいですよ」

「それにしても画家、それも放浪画家とは」

「おかげで世界でいろんなものは見られていますけどね」

「そうした見聞は大切だと思いマスよ」

「世界を知るというのもまた面白いですからね」

「知的好奇心あるのデスね」

「おっと、ではそろそろ行きます、また食べに来ますね」

「放浪画家かぁ」

「そういう人もいるものなのデスよね」

そうしてベルジェは満足そうに帰っていった。

放浪画家という仕事柄世界の様々を見る事がある。

そして美味しい料理にも出会う事はあるという。