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閑話・お餅の食べ方

新年を迎えたものの三ヶ日は店も休業するので従業員は休みとなる。

そんな休みになる前に何か希望があれば聞くと言っていたアヌーク。

そこでイクスラが頼んでいたものは正月の定番のあれ。

仕事始めまでは各自新年を満喫する事に。


「…うん、よく焼けていますね」


「メイド長、何をなさっているのですか」


「ぐふっ、イクスラ、これはその」


「ああ、私がもらってきたお餅を焼いていたのですね」


どうやら城のメイド長がイクスラがもらってきたお餅を焼いていた様子。


休みになる前にイクスラが要求したのはお餅だったようで。


「こほん、まあ別に好きに食べていいと言ったのはイクスラですし」


「それは別に構わないんですが、個人で食べすぎないでくださいね」


「それは分かっています、流石にそんなには食べませんよ」


「しかしメイド達にもお餅は思っているより好評のようですね」


「そうですね、イクスラが職場でもらってくる食べ物は大体好評ですし」


「珍しい食べ物も多いですからね」


「あ、焼けましたね」


「メイド長はどんな食べ方を気に入っているんですか」


「そうですね、どれも美味しいとは思いますが、個人的にはチーズ餅が」


「チーズ餅ですか、お餅というのは好きな味付けで食べられるのが強みですからね」


「ええ、餅入りの野菜スープなんかもメイド達には好評ですし」


「餅というのはスープが染み込むとまた美味しいですからね」


餅の食べ方は多様なものである。

メイド長はチーズ餅が気に入っている様子。


また焼いてからスープと一緒に煮込んで食べたりもしているとか。

餅入りの野菜スープなんかはメイド達にも人気なのだとか。


また餅は焼いて食べる際にもメイド達によって好みは分かれる様子。

あんころ餅やきな粉餅、磯辺焼きやチーズ餅など各自好きに味付けして食べているという。


「ん、やはり美味しいですね、チーズの塩気とよく合っています」


「餅というのはスープなんかに入れても美味しいですから、使い道は豊富ですよね」


「ええ、シンプルに塩でもイケたりしますしね」


「餅のスープというと、おしるこなんかがあるのですが」


「おしるこというのは?」


「小豆という豆を甘く煮込んだスープにお餅を入れたものだそうですよ」


「甘く煮た豆、砂糖を使うわけですよね」


「はい、尤も豆を甘く煮るという事自体が我々には新鮮な発想だとは思いますが」


「そうですね、イクスラの働いているお店では多様な料理が食べられるのですね」


「ええ、知らない料理がたくさんあるのは何かと勉強ですよ」


「イクスラが仕事の終わりに作ってくれる料理も多様で珍しく興味深いですからね」


「何事も勉強ですよ、料理の奥深さも感じますし」


イクスラは店で料理を覚えて帰ってくる。

その辺はメイドロボという事を大きく活かしているのだろう。


そうした料理はメイド達にも好評だし、なんなら来客にも出したりする。

異国の料理という事になっているので、どれも概ね好評らしい。


「それにしてもお餅というのは面白いですね、焼いていると膨らむというのも」


「膨らんで焦げ目がついたぐらいがお餅の食べ頃ですよ」


「ええ、城のオーブンの火力だと調節が少し難しいですが」


「とはいえ焼けるなら特に問題はないかと思いますよ」


「そうですね、でもイクスラはそういういろいろなものをもらってくるのは嬉しいですよ」


「店のオーナーが必要なら用意してくれますからね」


「しかしお餅はこの伸びるのがまた面白くていいですね」


「お餅というのはお米から作られていて、それを粘り気が出るように作るそうですから」


「お米、東の国で主食とされる穀物の事ですよね」


「ええ、店では米料理も多いですから」


「お店ではそういう異国の食材も普通に使っているのですね」


「ええ、珍しい食材も多いですよ」


「他にもスパイスなんかも普通に使っていると聞きましたが」


「ええ、スパイスを使った料理は豊富にありますね」


「ふむ、やはりどこから仕入れているのか気になる話ですね」


「それも信じられないような価格で提供していますからね」


店で提供しているスパイスを使った料理やデザート類の価格は信じられない価格である。

砂糖やスパイスは高級品であるため、どのようなルートで仕入れているのか気になるという。


「それにしてもあのエト様が社会で働いているというのは不思議な気持ちですね」


「本来は王族が社会で働くというのは王族の社会では考えられませんからね」


「しかしだからこそ国にもきちんと貢献していると考えると意味はあるのでしょうね」


「メイド長も姫様には手を焼きましたからね」


エトは口喧嘩が恐ろしく強いのでメイド達も苦戦していた様子。

なおそんなエトは王位継承権の低さや兄達の忙しさもあり、寂しかったのだろう。


イクスラが友好の証として贈られた事で心を許せる相手が出来たのかもしれない。

メイド長もそうした事から、エトの心情は汲んでいるようではある。


「さて、では仕事に戻りますか」


「メイド長がこっそりお餅を食べていた事は黙っておきますね」


「こほん、ほら、あなたも戻りますよ」


「はい、では仕事に戻りましょう」


そんなメイド長もこっそり食べてしまうお餅。

仕事始めはすぐそこなので、それまでは城で仕事をするイクスラ。


新年の営業開始はもうまもなくである。

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