肉厚ビーフハンバーグ
冬のフェアメニューも始まり異世界も年末に向けて動き始めた季節。
年末年始は休業のため、従業員にも事前に通達する。
年末年始の休業期間は大体五日程度になる。
新年の仕事始めは日本時間の四日、異世界時間では六日からになる。
「今回の届け先はどこかしら」
「11番街のストールさんの家ですね」
「11番街だね、なら早めに届けようか」
「はい、行きましょう」
今回の届け先は11番街。
そこまで遠くないのでさっさと届けてしまう事に。
「今回の注文って何かな」
「肉厚ビーフハンバーグですね」
「肉厚ビーフハンバーグ、普通のハンバーグより大きいハンバーグって事かな」
「はい、それに加え牛肉100%なんだそうですよ」
「つまり普段お店で出してる定番ハンバーグはそうじゃないの?」
「お店で出してる定番のハンバーグも牛肉のみではあるらしいです」
「でも今回のハンバーグはそれとは違うの?」
「いえ、今回のは定番のものより少しいい牛肉を使ったものなんだそうです」
「なるほど、高い肉でそれも大きいのか」
「ただ家庭などのハンバーグは基本的には合い挽き肉なんだそうですよ」
「その方がコストが安くなるって事でいいのかな」
「そうらしいです、尤も今回のハンバーグは大きい分使う肉の量も多いので」
「つまりそれだけ高くなるのか」
「なのでお店で出してる普通のハンバーグより少し高くなってるみたいですね」
「でも牛肉の料理って基本的に高いよね、安い牛肉料理は肉の質がそんなよくないのかな」
「肉の質というよりも肉の産地の違いみたいですね」
「肉の産地って、この国から仕入れる牛肉はそんなに高くないみたいな事?」
「はい、一頭の牛から取れる肉の量も関係してるみたいですが」
「でも牛肉だけで作るハンバーグはやっぱり高いんだよね」
「みたいですよ、まあいい肉を使っているとか肉の相場が高いとかもありますが」
「その辺は商売の話になってくるんだね」
「牛肉は肉の中では高級な肉になるみたいですしね」
「こっちかな」
「二つ目の角ですよ」
牛肉は肉の中でも高級な肉になる。
なので牛肉100%のハンバーグはそれなりに高くなるのは仕方ない。
とはいえ牛肉も産地や仕入れ方によって値段は変わってくる。
牛丼屋の牛丼が安い理由もそうしたところに理由があったりするものだ。
また肉が高くなる理由にも様々あるので、その辺は時流が関係している事も多い。
原材料費が上がれば値上がりも仕方なくなるのだから。
「でもお店の料理はレストランとしては破格の値段だよね」
「そうですね、他のレストランは少なくとも平民には高嶺の花ですから」
「ああいうのって偉い人の会食とかに使われる事が多いんだっけ」
「らしいですね、私達の働くお店は大衆向けのお店なので、根本から違うんですよ」
「でもお店の料理を覚えて家で作るようになってからは、下の子達に喜ばれるようになったな」
「アレッシオさんの家って大家族なんでしたっけ」
「うん、僕は次男で、下に弟と妹が結構いるんだよね」
「そういう家って食費とかかかりそうですね」
「そうなんだよね、だから節約レシピとかは割と知ってるつもりなんだけど」
「お店でそういうのも新しく聞いたりとかしてますよね」
「うん、レパートリーは確実に増えたよ」
「大家族というのも大変なんですね」
「お金がいろいろかかるのは仕方ないんだよね」
「大家族の宿命ですか」
「こっちかな」
「ここの先の角ですよ」
そのまま11番街に入っていく。
ストールさんの家はすぐそこだ。
「ここかな」
「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」
「はい!」
「お待たせしました」
「えっと、先に銀貨一枚と青銅貨一枚をいただきます」
「これでお願い」
「はい、ではこちらがご注文の肉厚ビーフハンバーグセットになります」
「確かに」
「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」
「分かったわ」
「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」
「さて、いただきましょうか」
肉厚ビーフハンバーグ、普通のハンバーグよりも大きめなハンバーグだ。
一般的なハンバーグは合い挽きに対して店で出すものは牛肉100%のハンバーグだ。
それもあり定番のハンバーグに比べて割高でもある。
なおハンバーグの下にはポテトサラダも入っている。
ポテトサラダのマヨネーズにビーフハンバーグソースは意外と合うものなのだとか。
そんなビーフハンバーグソースとポテトサラダはいい組み合わせらしい。
「うん、これは確かに美味しいわね、肉の味が溢れ出してくるわ」
「ハンバーグの下には…芋のサラダ?でもソースとも意外と合うのね」
「ライスと一緒に食べるとまたソースがライスに染みて美味しいものね」
「ハンバーグのソースが染みたライス、実にいいベストマッチだわ」
「こっちの野菜もシャキシャキで美味しいわね、ドレッシングも美味しいし」
「肉の味が凄くしっかりしてて、ライスと一緒に食べると凄く進むわ、これはいいわね」
その頃のアレッシオ達は帰り際に休憩していた。
温かい麦茶で体も暖まる。
「ふぅ、美味しいね」
「冬は温かい麦茶が体に染み渡りますね」
「こういうお茶もいいものだよね」
「この魔法瓶という水筒も気になりますが」
飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。
帰ったらまた仕事である。
「ただいま帰りました」
「お帰り、はい、温かいおしぼり」
「ありがとうございます」
「外はもう寒いみたいデスね」
「うん、ただ本格的に寒くなるのはこれからかな」
「冬服はもう届いてるから、必要なら着替えていいからね」
「分かりました、外の寒さと相談して着るとします」
「冬もこれからが本番デスかね」
冬も本番になるのはこれからである。
異世界の冬も当然寒いので、寒さ本番になってからの宅配は防寒着は必須だ。
冬服はすでに届いているため、防寒着も近いうちに用意する事になる。




