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ピザトースト

秋のフェアメニューももうまもなく終わるため終売が増えてきた。

次の週からは冬のフェアメニューが始まる。

冬のフェアメニューは体が温まる料理を中心に並ぶ事になる。

その一方でモーニングなども一部の客には人気だったりする


「また来てしまった、朝はここで食べるのがお約束ですね」


「仕事に行く前にここで軽く食べておけば昼間までは持ちますし」


「そしてここでしか食べられないあれがありますからね」


「さて、行きますか」


彼女の名はルチア、とある貴族の屋敷で働くメイドだ。


仕事に行く前にここでモーニングを済ませるのが今はお約束らしい。


「この扉の仕組みは面白いものですね」


「中は暖かい、もう冬が来ていると分かりますね」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人です」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「いえ、吸いません」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「朝はまだスタッフも少ないのですよね」


そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。


簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。


「タブレットの使い方は分かりますね」


「はい、問題なく」


「分かりました、では何かあればお呼びください」


「先に水ですね」


そうして美紗子は一旦下がりキッチンの仕事に戻っていく。

ルチアは先に水を取りに行く事に。


「ここは水が飲み放題なのが凄いですね、それも美味しいですし」


「あとは氷と手拭き、使い捨てにはそれ相応のメリットもあるものです」


「さて、注文を決めてしまいますか」


「モーニングでしか食べられないものがあるのも興味深いものです」


「これとこれとこれで確定ですね」


「このタブレットというのは便利なものですね」


そうしてルチアはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはカプチーノだった。


屋敷では紅茶が基本ではあるが、コーヒーも好きな様子。

カプチーノの独特な苦味と甘さのバランスが好きらしい。


ついでに料理に使う調味料なんかも持っていく。

調味料は使い放題な太っ腹っぷりがこの店の魅力でもある。


「ふぅ、このカプチーノというのは美味しいものですね」


「コーヒーというのは苦味が強いですが、これはまた別です」


「苦味と甘さのバランスが何よりいい」


「それに朝はコーヒーを飲むと目が覚めますしね」


そうしているとピザトーストセットが運ばれてくる。

モーニング限定のトーストメニューだ。


「お待たせしました、ピザトーストセットになります」


「どうも」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただきますか」


ピザトースト、トーストにトマトソースとチーズを乗せて焼いたものだ。

そこに輪切りにしたソーセージとピーマン、玉ねぎが乗っている。


焼き加減もチーズがいい感じに溶けるように焼いてある。

またそのチーズもピザトーストに合うものをアヌーク自らチョイスしている。


パンはサクサク、チーズはとろ~りが最高のバランスでもある。

トマトソースもトーストにほんのりと染みているのがまた美味しい。


そんなピザトーストはピーマンがいいアクセントになっているとアヌークは言う。

チーズの塩気にピーマンの苦味がいい感じに合うのだと。


アヌーク曰くピーマンは正しく調理すれば美味しいという。

美味しいピーマンの食べ方を知っているという事でもある。


「うん、やはりこの味こそが朝には何よりいいですね」


「溶けたチーズとトマトソース、そこにピーマンと玉ねぎが絶妙です」


「そして輪切りにされたヴルストがいい塩気を与えてくれる」


「パンはサクサク、チーズはとろ~り、野菜はシャキシャキ、実にいい」


「一緒について来るゆで卵もこんな綺麗に出来ているのが実にいいですね」


「ゆで卵には好みはありますが、私はマヨネーズ一択です」


「サラダも鮮度のいい野菜とドレッシングの組み合わせが実に美味しい」


「私はサラダにはごまドレッシング一択ですね、これに勝るものはないです」


そうしているうちにピザトーストセットを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「はい、お願いします」


「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてイタリアンプリンが運ばれてくる。

朝に食べられる貴重なデザートだ。


「お待たせしました、イタリアンプリンになります」


「どうも」


「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただきますか」


イタリアンプリン、マスカルポーネを使ったちょっとハードなプリンだ。

カラメルの苦味がまたその美味しさを引き立てる。


「うん、やはり朝はこのプリンに限りますね」


「甘いのに上にかかっているカラメルの苦味がまたいいバランスです」


「あとはチーズと思われる味がするのもまたいいですね」


そうしているうちにイタリアンプリンを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いをお願いします」


「はい、ピザトーストセットとイタリアンプリンとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚になります」


「これでお願いします」


「ちょうどいただきます」


「朝はよくいらしているようデスね」


「これはシェフの方」


「屋敷で働く前の朝食といった感じデスか」


「ええ、軽くお腹を満たしておかないと仕事に支障が出るので」


「朝はしっかり食べるという事デスね」


「はい、それはそうとピザトーストは屋敷でも作れたりするものなんですか」


「具材などを多少省いたりしてもいいなら作れると思いマスよ」


「ふむ、ピーマンなんかはどうかは分かりませんが、それでも構いません」


「食パンにトマトソースを塗ってからチーズを乗せて5分程度焼けばいいデスよ」


「それだけでいいんですか、ただ食パンは手に入らないと思いますが」


「他のパンでも出来マスよ、面倒でないなら食パンから作るのもありデス」


「食パンというのは作れるものなんですか」


「食パンはパン生地を箱型の型に入れて焼いて作るものデスから」


「なるほど、箱型の型ですか」


「ハイ、まあ店のパンのようにはいかないかと思いマスが」


「それでもやってみる価値はありそうですね、ありがとうございます」


「いえ、作る事自体はそこまで難しくないデスから」


「おっと、ではそろそろ仕事に行きます、また食べに来ますね」


「メイドとか執事の人が朝を食べに来る事もあるんだね」


「仕事前のモーニングデスかね」


そうしてルチアは仕事に向かっていった。

仕事の前に食べに来る客もちょくちょくいる様子。


モーニング限定のトーストシリーズは結構人気なのだ。

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