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ガパオライス

夏の暑さも厳しい異世界の夏。

店でも冷房が効いているので、それ目当てで来る客もいる。

その一方で料理は冷たいものや辛いものがよく売れる。

スパイスを使った料理を安く食べられるというのは衝撃らしい。


「また来てしまった、ここはスパイスの料理が安いからね」


「しかしスパイスをあれだけ安く提供出来るのはどういう仕組みなのか」


「まあ美味しいからそれはそれでいいんだが」


「さて、行くか」


彼の名はイザベル、商人から成り上がった成り上がり貴族だ。


興味本位でここに来てからすっかり気に入った様子。


「この扉の仕組みは面白いね」


「中は涼しい、エアコンっていうキカイはいいもんだ」


「いらっしゃいませ!何名様ですか!」


「一人だよ」


「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」


「いや、吸わないよ」


「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」


「若い奴らが働いてるのはいいもんだね」


そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。


簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。


「タブレットの使い方は分かりますね」


「ああ、問題ないよ」


「分かりました、では何かあればお呼びください」


「さて、先に水だ」


そうしてエトは一旦下がり別の料理を運びに行く。

イザベルは先に水を取りに行く事に。


「ここは水が飲み放題っていうのが凄いもんだよね」


「あとは氷と手拭き、氷をこれだけ好きに使えるのは凄いもんだ」


「さて、注文を決めるかな」


「スパイス料理、カリーもいいが…」


「ふむ、こっちもよさそうだ、これとこれとこれで確定と」


「このタブレットというのは便利だね」


そうしてイザベルはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはジャスミンティーだった。


元々お茶が好きなようでここの様々なお茶に驚いたとか。

味はもちろんその香りも気に入っているという。


「ふぅ、このジャスミンティーはいつ飲んでも美味しいね」


「ジャスミンっていうのは花の種類らしいけど」


「花からお茶が作れるっていうのは興味深いもんだ」


「この香りと味がまたいいもんだね」


そうしているとガパオライスが運ばれてくる。

スパイスが香るタイの定番料理だ。


「お待たせしました、ガパオライスになります」


「どうもね」


「デザートが必要な時はお呼びください、それでは」


「さて、いただくとしようか」


ガパオライス、タイの人なら誰もが知る定番料理だ。

牛や鳥や豚の挽肉と主にパプリカなどの野菜をスパイスで炒めて米と共にいただく。


主にホーリーバジルや唐辛子、他にもいくつかのスパイスで炒めたものを米にかける。

なお本場のものとは少し違いアレンジされているのは店で出すからなのか。


挽肉と野菜、それをスパイスで炒めたものを細米にかけていただくのだ。

そこにカイダーオと呼ばれる揚げて作った目玉焼きを添えていただくのがガパオライスだ。


スパイスの刺激に目玉焼きが加わる事でまろやかさが加わる。

挽肉も大きめに挽いてあるため肉の味がしっかりとしている。


そんなスパイスの刺激と野菜が美味しいのがアヌーク流のガパオライスだ。

タイ料理という事もあり、スパイスは大切な要素だという。


「うん、こいつは美味しいね、スパイスがよく効いてる」


「それに細かくした肉がライスとよく合ってるね」


「そこにピリッとした辛さがあるのはスパイスが効いてる証拠か」


「野菜もゴロっとしてて食べごたえがあるね」


「あとこれに使われてるのは細い米なのか」


「スパイスの刺激と肉の美味しさ、野菜もしっかりと美味しいのがいいね」


「この緑の葉っぱはハーブの一種みたいだね」


「ハーブの香りがまたいいアクセントになってるね」


そうしているうちにガパオライスを完食する。

続いてデザートを頼む事に。


「お待たせしました、デザートですか」


「ああ、頼む」


「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」


それから少ししてアイスクリームカティが運ばれてくる。

つまりココナッツアイスである。


「お待たせしました、アイスクリームカティになります」


「どうもね」


「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」


「さて、いただくかな」


アイスクリームカティ、ココナッツアイスの事である。

ココナッツの甘さがクセになるタイのデザートだ。


「うん、こいつは美味しいね、甘くて食べやすい」


「この甘さは砂糖じゃないね、ココナッツってやつらしいが」


「木の実からこんな甘い汁が採れるって事なのかね」


そうしているうちにアイスクリームカティを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。


「支払いを頼む」


「はい、ガパオライスとアイスクリームカティとドリンクバーですね」


「全部で銀貨一枚と青銅貨一枚になります」


「これで頼む」


「ちょうどいただきます」


「満足していただけていマスか」


「これはシェフの方」


「スパイス料理が好みのようデスね」


「ああ、それにしてもここはなんであんなに安くスパイス料理を出せるのさ」


「それは仕入れ値の関係としか言えないデスね」


「つまりそれだけ安くスパイスを仕入れられるっていう事か」


「そういう事デスよ」


「確かに産地の方だとスパイスは安く買えるけど、現地に仕入れに行ってるのかい」


「いえ、信用出来る相手から仕入れていマスね」


「むぅ、スパイスを遠方のこの地でこの安さとは」


「スパイスはそれだけ高いものなのデスか?」


「場所によるね、産地だと安いけどここだとかなり高いよ」


「ふむ、やはり輸送などの問題という事デスか」


「そういう事だね、だからここでスパイス料理がこの値段は法外すぎるよ」


「なるほど、そういう話は面白いものデスね」


「まあ美味しいからいいけどね、あたしは好きだよ」


「そう言ってくれると嬉しいデス」


「それじゃそろそろ行くよ、また食べに来るよ」


「スパイスの事情は複雑なんだね」


「スパイスはそれだけいい商材なのデスよね」


そうしてイザベルは満足そうに帰っていった。

スパイスというのは産地では安く買えるし普通に使われているという。


遠方でのスパイスはそれだけ高いのだろう。

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