表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
275/402

ロモサルタード

すっかり夏本番となり宅配の際も暑さ対策は欠かせなくなってきた。

とはいえ異世界の夏はアヌーク達の世界に比べれば全然涼しい様子。

それでも暑さ対策はしておくのがスタッフへの配慮でもある。

暑さというのはそれだけ油断ならないものなのだから。


「今回の届け先ってどこかな」


「12番街のトリスタンさんの家ですね」


「12番街か、ならそこまで遠くはないかな」


「では行きますよ」


今回の届け先は12番街。


そこまで遠くはないので早めに届ける事に。


「今回の注文って何かな」


「ロモサルタードセットですね」


「ロモサル?なにそれ」


「なんでも肉と野菜を炒めたスタミナ系の料理みたいですよ」


「ふーん、肉野菜炒めみたいなものなのかな」


「パプリカと玉ねぎ、フライドポテト、あとは豚肉を炒めた料理みたいです」


「パプリカってあれだよね、赤とか黄色のピーマンみたいな野菜だっけ」


「はい、炒め物や漬物なんかにするのが主みたいですね」


「あたしの故郷でもいろんな野菜は育ててるけど、パプリカみたいなのは聞かないな」


「リーザさんの故郷は田舎の離島で、農業や畜産が盛んなんでしたっけ」


「そうだよ、名物はトマトだね」


「確かこの街にも出荷されてたりしましたっけ」


「されてるね、まあ値段はかなり違うけど」


「ここは王都ですからね、物価が違うのは仕方ないかと」


「島の3倍ぐらいで売られてるのを見た時は流石に驚いたよ」


「島での物価はそれだけ安かったと」


「うん、だからお店の料理も他のレストランに比べて安くて驚いてるし」


「主に中流層向けのお店だとは言っていましたね」


「でも肉と野菜を炒めた料理って美味しいよね、野菜嫌いでも結構食べられるし」


「実際野菜が苦手でも火を通してあれば意外と食べられるという人はいますしね」


「生野菜が苦手な人っていうのはやっぱりそれなりにいるんだろうね」


「かもしれませんね、調理法は大切という事ですよ」


「お父さんはトマトもそのままが一番美味しいってよく言ってたけど」


「その辺は難しいのかもしれませんね」


「トマトに限らず、火を通した野菜なら好きっていう話は聞くし」


「野菜の好き嫌いの話は難しいものですよ」


「こっちかな」


「ここを真っ直ぐですね」


リーザ曰く野菜はそのままが美味しいと父親は言っていたらしい。

それでも火を通した野菜なら食べられるという人もまた多いのだろう。


生野菜が苦手という人は結構多いが、火を通した野菜なら不思議と食べられる人もいる。

そうした調理法によって好き嫌いが分かれるものも野菜なのかもしれない。


野菜嫌いな子供は結構店でも見るが、野菜炒めなどは結構食べてくれる。

その辺はやはり生野菜特有の味が苦手なのかもしれないと考える。


「それにしても野菜炒めってなんであんなに美味しいんだろうね」


「油の力が大きいのかもしれませんね」


「油の力、油で炒めるだけでそんなに変わるものなのかな」


「実際油で炒めた野菜料理はそれだけたくさん食べられる人も多いですし」


「野菜はやっぱり火を通してあった方が好きな人って多いのかな」


「生野菜は特有のエグみとかがある事は多いですからね」


「エグみ、なるほど」


「まあ好みは人によりますし、押し付けるのもあれですよ」


「だね、お父さんはトマトはそのまま行くのが美味しいとは言うけど、好みの問題だし」


「ただ何が美味しいかは人によって違いますしね」


「パプリカとかピーマンとか炒め物にすると美味しいもんね」


「野菜炒めは油の力の大きさでしょうからね」


「何が美味しいかなんて分からないものか」


「野菜も生は苦手でも火を通してあれば好きという人がいる理由ですよね」


「こっちかな」


「ここの角を曲がった先ですね」


そのまま12番街に入っていく。

トリスタンさんの家はすぐそこだ。


「ここかな」


「すみませーん!キッチンハウスの宅配です!」


「はい!」


「待たせたな」


「えっと、先に銅貨一枚と青銅貨三枚をいただきます」


「これで頼む」


「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のロモサルタードセットになります」


「サンキュ」


「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」


「分かった」


「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」


「さて、食うか」


ロモサルタード、酢を使ったペルー料理の事である。

それをアレンジしたものが今回のロモサルタードだ。


パプリカや玉ねぎ、フライドポテトと豚肉を炒めた料理である。

酢とスパイス、そこに醤油を加えたソースでアレンジしてある。


暑いでも食べやすいようにさっぱりとしていながらも味はしっかりとしている。

暑い日には酢やスパイスは何かと有用だからこそなのだろう。


「うん、こいつは美味いな、野菜と肉を炒めてあるのか」


「野菜は食べやすいし、肉も結構分厚くていいな」


「味からしてこいつはビネガーの味みたいだな」


「あとはスパイスも使ってあるのか?高いのに凄いな」


「スパイスは辛い感じの味って聞いてるし、多分スパイスでいいんだよな」


「それがライスと一緒に食べるとここまで美味く感じるもんなんだな」


その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が体に染み渡る。


「美味しいね」


「冷たい麦茶が美味しい季節ですからね」


「麦からお茶を作るなんて、お店で働くまで知らなかったよ」


「夏は特に美味しいですよね」


飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。


「ただいま戻ったよ」


「お帰り、はい、冷たいおしぼり」


「ありがとうございます」


「外は結構暑いデスか」


「暑いけど、暑すぎるまではいかないかな」


「でも日差しを防ぐ装備は必要かな」


「そうですね、あるなら越した事はないかと」


「なら帽子でも用意しておきマスね」


そんな夏の日差しは何かとあるものだ。

暑さ対策は万全にするのもまた大切である。


異世界の夏は暑いが暑すぎない程度の暑さらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ