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Ｒｅ：宇治金時

すっかり夏本番となり夏のフェアメニューも順調な滑り出しを始めた。

夏のフェアメニューは主にスタミナ系の料理や冷たい料理が並ぶ。

そしてデザート類もこの季節ならではのものも多い。

夏の風物詩と言える料理も揃えるのがフェアメニューである。

「またこの季節がやってきましたね」

「夏にだけ食べられるものがあるのがここの楽しさです」

「今年も夏の味をいただきに行くとしますか」

「ではいざ」

彼の名はエルク、国で魔法の研究をする宮廷魔道士だ。

甘党の彼には夏だからこそ好きなものがあるという。

「この扉のシステムは防犯上役に立ちそうです」

「中は涼しい、この涼しさの中で食べるからこそ美味しいんです」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人です」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸いませんよ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内します」

「スタッフが若いのもいいですよね」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「はい、問題なく」

「分かりました、では何かあればお呼びください」

「さて、先に水ですね」

そうしてエトは一旦下がり別の料理を運びに行く。

エルクは先に水を取りに行く事に。

「ここの水は飲み放題というのが凄いですよね」

「あとは氷と手拭き、氷も使い放題なのがまた凄い」

「さて、注文を決めてしまいますか」

「甘いものですね、この季節は夏のフェアメニューがありますし」

「これとこれとこれで確定ですね」

「このタブレットというのは便利でいいですね」

そうしてエルクはドリンクバーに飲み物を取りに行く。

迷わずに手を伸ばしたのはグレープジュースだった。

ここのジュースはどれも甘くて美味しというのは甘党の人達の談。

ジュースは甘党に人気なのである。

「はぁ、ここのジュースはどれも美味しいですが、グレープジュースは格別です」

「この甘くて濃厚なぶどうの味はここでしか飲めませんね」

「甘くて濃くて、それであって飲みやすい」

「ここのジュースは実に素晴らしいですね」

そうしていると宇治金時とオレンジシャーベットが運ばれてくる。

夏限定のデザート類だ。

「お待たせしました、宇治金時とオレンジシャーベットになります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきますか」

宇治金時、抹茶のシロップのかき氷だ。

そこにあんこと白玉などを乗せたものを言う。

使っている抹茶はそこそこいいものなので、値段は相応な感じでもある。

とはいえかき氷はフェアメニューの中では安い方ではある。

ちなみに紅茶アイスなどもあるのだが、こっちではお茶は飲むものという認識である。

なのでお茶を使ったデザートというのは新鮮に映るらしい。

それもあり宇治金時は結構な人気のメニューである。

またあんこというのも東の国から来た人以外はあまり食べないという。

あんこやお茶を使ったデザートは珍しいと言うが、食べた人には軒並み好評である。

物珍しさのあるものでも食べてみると美味しかった、そんな意見は多い。

「うん、美味しいですね、夏はやはりこれを食べなくては」

「抹茶というお茶の味がする氷、この味がいいんですよね」

「この白玉というのもモチッとしていて美味しいですし」

「そしてこのあんこというのがまた甘くていい」

「豆を甘く煮たものと聞きますが、そんな食べ方もあるのかと驚いたものですね」

「そしてこっちのオレンジシャーベットもまたいい」

「スッキリとした味に、甘くほのかに酸っぱい味がまたいい」

「ここの冷たいデザートはどれも実に美味しいですね」

そうしているうちにデザート類を完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願いします」

「はい、宇治金時とオレンジシャーベットとドリンクバーですね」

「全部で銅貨一枚と青銅貨四枚になります」

「これでお願いします」

「銀貨一枚いただきます、お釣りの青銅貨一枚になります」

「確かに」

「満足していただけていマスか」

「これはシェフの方」

「かき氷が気に入っているようデスね」

「はい、氷を使ったデザートというのは新鮮ですし」

「こっちでは氷は貴重なものだそうデスね」

「ええ、冷やす技術はありますが、凍らせる技術はまだ珍しいですね」

「なるほど、そういう事なのデスね」

「なので氷を使った食べ物というのは珍しいんですよね」

「とはいえかき氷はすっかりお気に入りのようデスね」

「ハイ、宇治金時は特にお気に入りですよ、夏限定なのが惜しいですね」

「まあかき氷を冬に出しても売れないと思いマスから」

「それはそうですね、しかしここは宇治金時以外にもお茶を使ったデザートがあるのですね」

「お茶を使うというのは珍しいと聞きマスね」

「ええ、お茶を使ってデザートを作るというのはここに来てはじめて聞きました」

「なるほど、ですが意外と好評みたいデスね」

「はい、宇治金時の抹茶というのも美味しいですよ」

「抹茶はお気に入りのようデスね」

「はい、あの少し苦くそれなのに甘い感じの味がいいんです」

「抹茶の味が分かっていただけるのは嬉しいデスね」

「ええ、それが美味しさだと思っていますから」

「それなりにいいものを用意したというものデスね」

「おっと、ではそろそろ、また食べに来ますね」

「甘党の人に人気だよね、デザート類」

「それだけ美味しいと感じてくれているのでショウね」

そうしてエルクは満足そうに帰っていった。

かき氷は夏限定のメニューである。

それもあり夏はそれ目当てで来る人も多いのだ。