260/402

新じゃがのマッシュポテトグラタン

春のフェアメニューも本格的に始まり、季節も変わった春の日。

春のフェアメニューは主に春の味覚や旬の食材を使ったものが中心だ。

また春にはデザートも春らしいものが並ぶ。

この季節はいちごのデザートが美味しいとの事らしい。

「また来てしまった、すっかり常連ですね」

「季節が変わって新しいフェアメニューが始まっているのもありますし」

「安くて美味しいものが食べられるというのはいいものです」

「さて、では行きますか」

彼の名はミッシェル、この国の農業をまとめ上げる農業ギルドのトップだ。

そういう事もあり、この店の野菜や穀物の料理をよく食べに来ているという。

「この扉の仕組みは面白いものですね」

「中はもう暖房とやらは切ってあるんですね」

「いらっしゃいませ！何名様ですか！」

「一人ですよ」

「かしこまりました、おタバコはお吸いになられますか」

「いえ、吸いませんよ」

「かしこまりました、では禁煙席にご案内しますね」

「スタッフが若いのもいいですよね」

そうして席に案内される。

説明は理解しているのでスムーズに進む。

簡単に説明を受けそのまま次へ。

タブレットの使い方も理解している様子。

「タブレットの使い方は分かりますね」

「ええ、問題なく」

「分かりました、では何かあればお呼びください、それでは」

「さて、先に水ですね」

そうしてリーザは一旦下がり別の料理を運びに行く。

ミッシェルは先に水を取りに行く事に。

「ここの水は飲み放題というのがまた凄いですよね、美味しいですし」

「あとは氷と手拭き、氷をこれだけ用意出来るのも凄いというか」

「さて、では注文を決めてしまいますか」

「注文、春のフェアメニューですね、何にしますか」

「ふむ、ではこれとこれとこれで確定ですね」

「このタブレットというキカイは大したものですね」

そうしてミッシェルは先にドリンクバーに飲み物を取りに行く事に。

迷わずに手を伸ばしたのはグレープジュースだった。

グレープジュースは濃厚で美味しいという評価が多い。

それもあり大人も子供もお気に入りの飲み物だ。

「ふぅ、このグレープジュースというのは美味しいですね」

「葡萄酒にするのが一般的かと思っていましたが、ジュースとは」

「この甘さもまた美味しさの理由ですよね」

「はぁ、癒やされますね」

そうしていると新じゃがのマッシュポテトグラタンが運ばれてくる。

春の新じゃがを使ったマッシュポテトグラタンだ。

「お待たせしました、新じゃがのマッシュポテトグラタンになります」

「どうも」

「熱いので気をつけてお召し上がりください、それでは」

「さて、ではいただきますか」

新じゃがのマッシュポテトグラタン、春の新じゃがを使ったマッシュポテトグラタンだ。

マッシュポテトを敷いたその上にミートソースをかけて焼き上げてある。

じゃがいもの美味しさがミートソースと合わさりその美味しさを引き立てる。

じゃがいもは一年を通して収穫出来る野菜でもある。

とはいえ季節によって旬の産地があったりもする。

なので使っているのは今が旬になる春の新じゃがだ。

美味しいじゃがいもを選ぶのもまた料理人の目利きである。

じゃがいもは季節が変わるにつれ産地が北上すると言われるものでもある。

マッシュポテトはそんな新じゃがを丁寧に潰したものになる。

口当たりもなめらかで、ミートソースがよく染みているのも美味しさの理由だ。

「うん、これは美味しいですね、じゃがいもをすり潰してあるんですか」

「そこにミートソースがかかっていて焼き上げてある」

「すり潰したじゃがいもがこんなに美味しいとは、意外ですね」

「それに口当たりがなめらかで溶けていくようです」

「それにしてもじゃがいもというのはこういう調理法もあるのですね」

「野菜の調理法の幅広さを感じますね」

「すり潰してミートソースで焼き上げると、興味深いです」

「じゃがいも、奥が深いものですね」

そうしているうちに新じゃがのマッシュポテトグラタンを完食する。

続いてデザートを頼む事に。

「お待たせしました、デザートですか」

「はい、お願いします」

「かしこまりました、では器はお下げしますね、少々お待ちください」

それから少ししていちごのババロアが運ばれてくる。

旬のいちごを使ったババロアだ。

「お待たせしました、いちごのババロアになります」

「どうも」

「こちらは伝票です、会計の際にお持ちください、それでは」

「さて、いただきますか」

いちごのババロア、春のフェアメニューの一つだ。

旬のいちごを使った甘くて美味しいババロアである。

「うん、これは美味しいですね、ムースといった感じのお菓子ですか」

「いちごの味もしっかりしていて実に食べやすい」

「こういうお菓子に出会えるのもまたいいですね」

そうしているうちにいちごのババロアを完食する。

飲み物を飲み干し会計を済ませる事に。

「支払いをお願いします」

「はい、新じゃがのマッシュポテトグラタンといちごのババロアとドリンクバーですね」

「全部で銀貨一枚と青銅貨二枚になります」

「これでお願いします」

「ちょうどいただきます」

「満足していただけていマスか」

「これはシェフの方、ええとても」

「それは何よりデス」

「それにしてもじゃがいもというのは興味深い野菜なのですね」

「じゃがいもは過酷な土地でも育つので、農業にも向いているのデスよ」

「それは凄いですね」

「ただじゃがいもは発芽すると毒になるので、芽が出る前のものを食べるのデスよ」

「発芽すると毒になる、それはそれで不思議ですね」

「じゃがいもは調理する際も芽を取り除いて食べるのが基本デスから」

「なるほど、発芽する前のものでも芽は取り除くんですね」

「ハイ、ですがそれさえ気をつければじゃがいもは過酷な土地でも簡単に育ちマスよ」

「だからこそ農業にも向いているという事ですか」

「ハイ、じゃがいもに限らず芋というのは育てるのが簡単なのデスよ」

「それでも素人に出来るほど甘くはないですよね」

「そこは流石にそんなに甘くないデスね」

「そこはやはりですか」

「ハイ、流石にそんなに甘くはないデス」

「おっと、ではそろそろ失礼しますね、また食べに来ます」

「こっちの世界にも似たものはあっても同じものはないっぽいよね」

「そのようデスね」

そうしてミッシェルは満足そうに帰っていった。

じゃがいもの料理は大人から子供まで人気だ。

子供でも食べやすい料理というのもまた大切なのだ。