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ミートソーススパゲティ

すっかり春の陽気になり防寒具はほぼ必要なくなった季節。

寒い日も来るには来るが、防寒着はもう必要ない程度には暖かい。

それもあり防寒着は片付けてもらった。

宅配も薄着で充分な程度にはポカポカだ。

「今回の届け先ってどこかな」

「１２番街のシャルスさんの家ですね」

「１２番街ね、なら行くわよ」

「はい、行きましょう」

今回の届け先は１２番街。

そこまで遠くないのでさっさと届けてしまう事に。

「それで今回の注文ってなんなの」

「ミートソーススパゲティですね」

「ミートソーススパゲティってあのひき肉のソースがかかってるスパゲティよね」

「はい、それですね」

「ミートソースって美味しいわよね、シンプルなのがいいのよ」

「エトさん、ミートソースとかラザニアとか好きですよね」

「ああいうのが美味しいのよ、やっぱりお肉は至高ね」

「エトさんって味覚は割と子供っぽいですよね」

「別にいいでしょ」

「とはいえミートソースが美味しいのは確かですが」

「そうでしょ？でもミートソースって意外と作るのは大変って聞くのよね」

「お店では普通に出してますけどね」

「ミートソースは子供が好きっていう料理みたいなんだけど」

「エトさんは精神的には大人ですけど、味覚は結構子供っぽいですよね」

「それは兄上や父上にも言われるのよね」

「やはり年相応なのでは」

「ただミートソースとかラザニアのソースが好きなのよね」

「あれって確か牛肉から作ってるソースなんでしたっけ」

「そうだとは聞くわね」

「牛肉も高いものから安いものまでですね」

「ただミートソースはシンプルにして頂点だと思うのよね」

「あの味は大人も子供も好きな味だと言っていましたしね」

「スパゲティはソースあってこそだけど、ミートソースは姫は特に好きなのよ」

「お店でも子供連れのお客に人気なメニューらしいですからね」

「大人も子供も好きな味っていいわよね」

「だからこそ人気メニューっていうのも分かりますからね」

「こっちかしら」

「ええ、急がなくても間に合いますよ」

ミートソースは大人にも子供にも人気な定番メニューだ。

エトも味覚は割と子供っぽいという事もあり、ミートソースはお気に入りだ。

ミートソースはあれで作るのは結構大変だったりする。

とはいえミートソースとボロネーゼは似ているようで違う料理でもある。

ミートソースもボロネーゼも人気メニューなのに変わりはない。

だからこそミートソースはパスタメニューでも人気上位をキープし続けるのだ。

「それにしても姫が子供っぽいって言われるのは味覚のせいなのかしら」

「子供っぽい料理が好みだからというのはある気はしますよ」

「でも確かに子供は野菜が苦手だったり苦いものや辛いものが苦手っていう気はするわね」

「エトさんはそういう料理を好むから子供っぽいと言われている可能性はあるかと」

「一応国の仕事でいろんな料理を食べるから、苦手なものでも一応食べられるんだけど」

「とはいえそれは仕事の話であって、好みは別なのでしょう」

「そりゃそうよ、仕事で相手が出したものに手を付けないのは失礼だもの」

「でも国の会食なんかは何かとあるのでは」

「毒を盛られないという保証もないしね」

「そこはきちんと毒見をしてから出されるという事ですか」

「王族の食事って何かと大変なのよ、だから温かい食事って嬉しいのよね」

「毒を盛られる危険もあるので、毒見をしてから出される、王族とはそういうものだと」

「まあ美味しいものが食べられるのは確かだけど、お店の料理はやっぱりいいわよね」

「エトさんの味覚についても分かった気がします」

「こっちよね？」

「ええ、もうすぐそこですよ」

そのまま１２番街に入っていく。

シャルスさんの家はすぐそこだ。

「ここね」

「すみませーん！キッチンハウスの宅配です！」

「はい！」

「お待たせしました」

「えっと、先に銅貨一枚をいただきます」

「これでお願いします」

「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文のミートソーススパゲティになります」

「どうも」

「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いしますね」

「分かりました」

「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」

「さて、いただきますか」

ミートソーススパゲティ、定番メニューでも人気が高いスパゲティだ。

大人も子供も好きな味であり、値段もリーズナブルだ。

定番メニューの中ではカレー、チャーハンと並ぶトップスリーに君臨する。

値段の安さに対してその美味しさが人気の理由なのだという。

カレー、チャーハン、ミートソースは定番メニューの中でも不動の人気なのである。

もちろん材料にもそれなりにこだわって作られているからこそでもある。

「うん、これは確かに美味しいですね、肉の味がしっかりしている」

「細かくした肉にトマトベースのソース、なるほど」

「それに加えてこの粉チーズというのをかけるとまた美味しいですね」

「チーズをかけるとまろやかさが加わるみたいですし」

「肉をここまで細かくするというのもまた興味深いですね」

「細かくした肉もそれはそれで美味しいものです」

その頃のエト達は帰り際に休憩していた。

冷たい麦茶が染み渡る。

「ふぅ、美味しいわね」

「冷たい麦茶が美味しくなる季節ですね」

「麦茶って本当に不思議な飲み物よね」

「麦からお茶が作れるというのも意外でしたしね」

飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。

「ただいま戻ったわよ」

「お帰り、はい、おしぼり」

「ありがとうございます」

「外はもう暖かいデスか」

「ええ、もう寒い日は来ないと思うわ」

「防寒着は片付けても問題ないって判断でいいかな」

「恐らくもう必要ないと思います」

「分かりマシタ、では薄着が必要な時はまた言ってクダサイ」

そうして春の陽気が本格化する。

寒い日は来ても寒すぎる日は来ないだろう。

防寒着も必要ない季節になったようだ。