257/402

上海焼きそば

春のフェアメニューが始まり店も春到来の季節。

外もすっかり暖かくなり防寒具がなくてもいい程度には暖かくなった。

とはいえこの時期は突然寒くなる事もある。

そのため防寒具は完全に暖かくなるまで残しておく事に。

「今回の届け先ってどこかな」

「８番街のローソンさんの家ですね」

「８番街か、ならそんな遠くないからさっさと届けようか」

「ええ、行きますか」

今回の届け先は８番街。

そんなに遠くないのでさっさと届ける事に。

「それで今回の注文ってなんだっけ」

「上海焼きそばですね」

「シャンハイ？」

「そういう名前の地名だそうですよ」

「つまりその街の名前がついた焼きそばって事？」

「みたいですね」

「そういえば他にも街とかの名前がついてる料理ってあったな」

「あれはその土地風とかその土地でよく食べられてる味付けとかを言うみたいですね」

「なるほど、そこで好まれる味付けとから土地の名前を料理につけてるのか」

「上海焼きそばはオイスターソースで炒めた焼きそばの事を言うみたいですね」

「オイスターソースって確か牡蠣っていう貝から作ったソースの事でいいんだよね？」

「ええ、中華料理では割とポピュラーなソースみたいですよ」

「へぇ、中華のソースなんだ」

「炒め物で結構よく使われているようですね、オイスターソースは」

「確かに他にもオイスターソースで炒めた中華料理は多いよね」

「そのオイスターソースで炒めた焼きそばを上海焼きそばと言うようですね」

「でも焼きそばって作るのは意外と簡単そうだよね」

「まあソースが手に入らないのはありますけどね」

「確かに、醤油は東の国の人が経営するお店に行けばあるのにね」

「でも焼きそばは醤油で炒めても作れるらしいので、ソースにこだわらなくてもいいとか」

「へぇ、醤油でもいいのか」

「ええ、まあ中華麺が手に入るかといえば手に入らないんですけどね」

「こっちかな？」

「ええ、こっちです」

焼きそばは必ずしもソースにこだわる必要もない。

上海焼きそばはオイスターソースだし、醤油で炒めた焼きそばもある。

他にも塩焼きそばなんかもあるので、焼きそばの味付けは割と自由である。

リーザも料理はそこそこ出来る方なので、材料が揃えば焼きそばも作れるだろう。

オイスターソースは中華の炒め物に使うものとしては割とポピュラーなものでもある。

オイスター炒めの料理は多くが人気メニューでもある。

「それにしても牡蠣ってソースにもなるものなんだね」

「牡蠣はノロウイルスというウイルスに感染する可能性があるって言いますね」

「ノロウイルス？」

「それに感染するとトイレから出られなくなる程度には酷い目に遭うらしいですよ」

「それはなんというか」

「ただ生牡蠣でなる事が多いようで、加熱してあれば感染する確率はかなり落ちるそうです」

「火を通せばほぼ大丈夫って事なんだね」

「どんな食材でも火を通して食べるっていう事は大切だそうですから」

「火を通すのはそれだけ大切、料理の基本って事だね」

「生牡蠣はノロウイルスになる確率がそこそこあるそうですから」

「牡蠣って怖いなぁ」

「生牡蠣が特に怖いと言っていましたよ」

「生はそれだけリスクもあるって事なんだね」

「そのようですね」

「こっちかな？」

「この先ですね」

そのまま８番街に入っていく。

ローソンさんの家はすぐそこだ。

「ここだね」

「すみませーん！キッチンハウスの宅配です！」

「はい！」

「お待たせしました」

「えっと、まず銅貨一枚と青銅貨二枚になります」

「ではこれでお願いします」

「ちょうどいただきます、ではこちらがご注文の上海焼きそばになります」

「どうも」

「容器は行政区分に従って可燃ごみでお願いします」

「分かりました」

「ではまたのご利用をお待ちしています、それでは」

「さて、いただきますか」

上海焼きそば、簡単に言うとオイスターソースで炒めた焼きそばである。

上海焼きそばと言うだけあり、中華風焼きそばとも言う。

基本的にはソース焼きそばなどと大きな差はないとも言える。

ただ焼きそばを炒めるソースは特に決まりはないものだ。

なので上海焼きそばはそんな上海の味であるという事だ。

中華料理も中国という広い土地の中での一つの料理なのである。

「うん、これは美味しいですね、麺がもっちりしていていい」

「ソースも麺によく絡んでいて実に食べやすい」

「他にも野菜や肉なんかも入っているのがいいですね」

「上海焼きそばはオイスターソースというソースで炒めたものと書いてありましたね」

「オイスターソース、どんなソースなんでしょうか」

「でもこの美味しさになるという事は美味しいソースなのでしょうね」

その頃のリーザ達は帰り際に休憩していた。

そろそろ冷たい麦茶に変わってもいい頃かもしれない。

「ふぅ、美味しい」

「麦茶は夏でも冬でも美味しいですからね」

「冷たくても温かくても美味しいのは凄いよね」

「この魔法瓶という水筒も不思議ですしね」

飲み物を飲んだらそのまま帰路につく。

帰ったらまた仕事である。

「ただいま戻ったよ」

「お帰り、はい、おしぼり」

「ありがとうございます」

「外はもう暖かくなっていマスか」

「はい、ただこの時期は突然寒くなったりもしますから」

「なら防寒着はまだ残しておこうか」

「ええ、そうしておいてください」

「分かりマシタ、必要ないぐらいになったら伝えてクダサイ」

そうして外も少しずつ暖かくなる。

春になりフェアメニューも少しずつ投入していく。

美味しい春の味覚も出始めるのだ。